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Act.14 最終的に密室に神の子らが集う



これが密室の解答です。
地獄の門は完全な密室でした。
その鍵を閉めたのは、何を匿そう神の御手だったのです。

― 木更津悠也

(麻耶雄嵩 『翼ある闇』)



「《神》がいよいよ動き出しました。――《神》だからランダムでいこう(笑)。(コロコロ……)おっ!」

(1D6の出目は4、ということは)

<一同>「わー(笑)」

美崎「やばいなー(笑)。また死んじゃうのか」

「触手の一本がするすると伸びてきて――」

美崎「はい」

「(コロコロ……)もちろん当たった」

美崎「うーん、避けられませんからねえ」

「むんず、と掴んで引き込みますね」

琴音「ええっ」

山形「さようなら〜♪」

美崎「これ、抵抗はできないんですよね?」

「<回避>はできないでしょうね」

美崎「しゅるしゅるってやられて、ずるっと持っていかれちゃったんですね」

「まあでも、このラウンドはまだ生きている(笑)」

美崎「まだ生きてます(笑)」

「でも身体半分埋まってる感じですよ。その瞬間に、どうぞ次」

相原「その印を、突っ込みながら押しつけますけど」

「じゃあ、<拳/パンチ>振ってもらえます?」

相原「はい。(コロコロ……)駄目です」

「駄目でした? それじゃあ、押しつけたはいいけど、どうやら当てが外れたというか、押しつけられた一角の触手たちは厭がってよけたけれども、大した効果はあげてないですね」

琴音「今、もののけに向かってやったの?」

「うん。もののけ(笑)。――というわけで西谷さん、ショットガンの弾は切れましたけど、まだ撃ち続けそうかなぁ?」

山形「カチッ、カチッ、カチッ、……(笑)」

西谷「バンザイ・アタックですね、とりあえず。ショットガンを両手で掲げて、グリコのポーズで雄叫びをあげつつ」

美崎「パンツ頭に被って(笑)」

「攻撃しますか?」

西谷「別段、何も。走っていく」

美崎「レッツゴー! って言って終わりですか?(笑)」

「さて次、こっち。――また呪文かけます」

美崎「魔法使いGOGO」

「(相原に)50%以下」

相原「(コロコロ……)駄目です」

「あ、やった♪」

相原「さすがにそれは」

「首を絞められたぞ。見えない何かに」

相原「それでもやってやる」

西谷「走り来る狂人に印を託すって手もあるよ(笑)」

「次は?」

琴音「(美崎を)引っ張り出せますか? 距離的に」

「距離的にはOKですね」

琴音「じゃあ、やってみたいと思います」

「うーん、STRは幾つでしょう?」

琴音「10です」

「それじゃあ、05%以下振ってもらえますか」

琴音「(コロコロ……)あ、駄目でした」

美崎「いやあ〜」

「駄目でしたね」

琴音「私も一緒に引き込まれるのかしら(笑)」

「じゃあ、――(美崎に)引き込まれました」

美崎「うわあー」

「まだ死んでないけどね。中で蠢いていてください」

琴音「貴ちゃんは外から見えないの?」

「もう見えなくなっちゃった」

美崎「ずぶずぶずぶずぶ……」

淀川「開けて逃げるよ。もう開いてるかな」

「開いてるよ」

相原「このふたりは逃げましたね」

淀川山形「うわー♪」

「ふたりで逃げた(笑)」

美崎「淀川狐南!(笑)」

「探偵と刑事が(笑)」

淀川「もう、無我夢中(笑)」

美崎「さすが迷探偵(笑)」

西谷「凄いな。探偵と刑事が真っ先に逃げるという(笑)」

山形「振り向きもせず(笑)」

「さて、次のラウンド。ロイガーの畸型児たちの行動ですが――美崎を磨り潰しました」

美崎「うわっ。磨り潰されちゃいます」

「以上」

美崎「えっ!? もう死ぬの?(笑)――というわけで、さようなら」

「衣服だけを残して」

美崎「いやん」

相原「殴りつけます」

「どうぞ」(首絞めのペナルティーを失念してますが――、)

相原「(コロコロ……)成功です。01!」(まあ、01成功だったので結果的には問題ないでしょう)

「それじゃあですね、ずぶずぶずぶっと腕を沈め、01でしたので、まさに真芯を捉えたって感じですね。印を中央に突っ込まれた途端に和が乱れまして、社会性が崩壊したかのようにバラバラバラ、と一気に散開しますね。中から美崎の服だけが出てくる」

美崎「またかーっ!(一同笑) こないだも死んだっけなぁ」

「ワンタイミング遅かった!」

山形「こないだも(笑)」

「このときの衝撃が強くてですね、手からメダルを離してしまいました」

相原「はい」

「ごろん、と床に転がるメダル。散らばる子供たち。――そんなところでしょうか。
 それを見た晶氏ですが、呪文の集中が途切れまして、『ああっ、何てことをっ!』って感じで部屋の中央に向かって走り出します。
 ――で、西谷は何かしますか?」

西谷「いきなり目的がいなくなったから、たぶん、持っていたショットガンをスイングでしょうね」

山形「スイング(笑)」

西谷「ここにもしかしたら晶おじさんが走ってくるかなとか――考えていたはずはないけど」

「まあ、来ないですね(笑)」

西谷「どうしようかな」

「あ、そうだ、琴音さん。また友人の死を目撃」

琴音「そうなんですよ(一同笑)」

美崎「不幸な女性ですね(笑)」

琴音「しかもふたりとも服だけ残して消えるし(笑)。(<正気度>ロール。コロコロ……)あ、成功しました」

山形「やっぱり服だけ残るのか(笑)」

「じゃあ、逃げたふたりは放っといて――(笑)」

琴音「どうしよう、私は。――とりあえず、あいつが悪いんだよな、もう。晶氏に掴みかかっていきましょう」

「掴みかかろうと近づいて終わりですね」

琴音「はい。近寄っていきましょう」

「次のラウンド」

相原「印を拾うのと、それから――」

「あ、拾う前にですね、さすがに腕がだいぶ痺れると思うので――《神》に手を突っ込んだから――、<STR×2>ロールに成功しないと、痛くてここは動けない」

相原「てっ! (コロコロ……)駄目です」

美崎「《神》にパンチ繰り出すなんて」

相原「さすがに凄いですよね」

「青痣ができている。腕全体に」

相原「仕方ない」

美崎「祟り神じゃあ〜(一同笑)」

相原「アシタカだよ(笑)」

西谷「空っぽのショットガンで、無茶苦茶にバッティング練習をしている」

「はい。次こっちですが」

相原「印のほうに突っ込んできた?」

「うん。晶氏は『貴様なんてことをしてくれたんだ!』と怒鳴りながら、印を拾い上げて『この神の子らは私のものだ! 私の《神》なんだ!』と印を高く掲げた。そうすると、やはり触手は一定数いるので集まってきましたね、また」

相原「逃げようか、これは」

「それで一気に集まった。――逆木原晶氏を中心にして」

美崎「あらら。大変だ」

山形「自分が合体するのか?」

「にゅるにゅるっと、一気に彼の姿が見えなくなって、彼の断末魔の悲鳴すらも、くぐもって聞こえなくなってしまった。手だけが塊からはみ出していて、そこから印がボロリと床に落ちた。その手もやがて、ずずず……と引き込まれる」

美崎「わお」

「ぐちゃっぐちゃっと、厭ぁな音がしたね」

相原「これ持って逃げるしかないだろ」

「――さて、逃げ出したおふたりですが、梯子を誰かが下りてくるのを見つけた」

山形「誰?」

「黒いコートですね(笑)」

淀川「問答無用で前進しますね」

「まあ、それはそれとして――、部屋の中ですが、生贄を二体も受け取って満足したのでしょうか、一気に、部屋に入ってきたときの逆回しのように、穴の中にもの凄い勢いで帰っていきました」

美崎「あらら」

「じゅるじゅるじゅる……。あとに残ったのは、例のメダルと、逆木原晶氏の衣服」

琴音「また?(笑)」

相原「とりあえず、塞ぎますか、これは。痛い手を押さえながらメダルを取って、穴を塞ぎます」

「ぴったり填りました」

相原「ぴったり填りました? はい」

「さて、ロイガーの畸型が立ち去ったと同時に、例の強風も止みまして、地下はしんと静まり返りました。
 ――で、逃げてる最中のおふたりですが、庵に何かしますか? 庵のほうは別に、ふたりのことは気にも留めずに部屋に向かおうとしていますが」

淀川「やばいぜ! って言って逃げるんじゃないですか? この場合」

山形「君、危ないから上に逃げるんだ! とか言って」

「それじゃあ、それを無視して進みますね」

山形「君っ! と声をかけつつ腕を掴むが」

「掴むんですか? <グラップル>どうぞ」

山形「彼がニャルさんだったら……(笑)」

美崎「そんなことはないです(笑)。たぶん」

山形「(コロコロ……)失敗」

「パッと躱されますね。で、スタスタと大股で部屋へ」

山形「じゃあ、無視して私は上にのぼる」

「おふたり、上にのぼっちゃっていいですよ(笑)」

琴音「ああ、行っちゃった(笑)。――とりあえず、貴ちゃんの洋服を拾うべし(笑)」

相原「こいつ(西谷)をどうするかだな。振りまわしてて危なくて近づけねぇよ!(笑)」

西谷「もう疲れ切って倒れてるよ。大の字になって。さすがに」

相原「こちらもさすがに疲れ切っているよ。手が痛いし」

琴音「あ、『ナコト写本』をしっかり持っておかなくては」

淀川「あ、凄え(笑)」

「さて、それじゃあ、皆さん疲れていますと、庵利御くんが入ってきましたね。で、(相原に)『――こういうことですよ』と言って、『ここで起きたことは、皆さんの心に留めておいたほうが賢明でしょうね』と言い、スタスタと部屋の奥のほうまで歩いていきまして、例の机――もうひっくり返ってますけど――のあたりを見渡して、『ここにあった書物は、いかがされました?』」

琴音「は?(笑)」

西谷「何のことかしら?(笑)」

山形「あ、隠してるな」

「小脇に抱えてますね? じゃあ、琴音さんに近づいてくるね。つかつかと」

琴音「後ろに下がりますけど」

「『いえ、別にあなたに危害を加えようというつもりはありませんから、ご安心を。――ただその魔道書を、お渡しいただきたい』」

琴音「いや、これは絶対、焼き捨てるべきです――!」

「『いや、そんなことをするべきではない』」

琴音「だってもう、あなた中身読んじゃったんでしょ? もう要らないじゃない」

「『いや必要です。僕には』」

琴音「何のために必要なのか言って。また貴ちゃんとかうちの弟とかみたいな、いっぱい事件が起きたら厭だもん、私はそんなの……」

「『なるほど……単に僕の知的好奇心を満たすため、という理由では駄目ということですね?』」

琴音「はい」

「『解りました。――意志の強い女性だ』――何か納得したように無言で頷くと、『それじゃあ、僕はこれで』と言って、くるりときびすを返した。
 ――『そうそう、最後に。――こんな可能性を思いつかれた方はいらっしゃいませんかね? 晶氏が僕を利用したんじゃない。僕が彼を利用したんだ、と』」

美崎「なるほど」

「『それでは、失礼します』」

琴音「貴ちゃんを返して! と、一応叫んでおこう。背中に向かって(笑)」

「意に返さず、立ち去っていきます。
 ――その後、図書室にあったオカルト関係の書物がどっさりとなくなっているという話があるけど、誰かが持っていったんでしょう(笑)」

琴音「誰かが(笑)」

「誰かは判んないけど(笑)。
 ――では、騒ぎを聞きつけて、みんなやってきました。吹雪も止んで何日かあとに警察もやってきました。
 というわけで、行方不明者三名を出したこの事件、『神の子らの密室』事件は、ここに幕を閉じるわけでございます。
 ――さて、後日談ですが、この館は逆木原姉弟のものになりますが、彼らは皆さんから話を聞かされるのかな? それとも皆さんは黙っているのかな?」

相原「いや、聞かせてしまいますね。ここは危険だって言ってしまいますね」

「それじゃあ、近いうちにこの館を処分することを約束してくれた。
 ――というわけで、なんとか命からがら鳴風館をあとにした君たちでありました」


―――――――――――――――――――――――――閉幕(カーテンフォール)。

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