Opening Act. 1 Act. 2 Act. 3 Act. 4 Act. 5 Act. 6 Act. 7 Act. 8 Act. 9 Act.10 Act.11 Act.12 Act.13 Act.14 Ending
Act.4 やがて夜も更ければ各々が気儘に動く
ただし、今回の事件の性質からして、
『密室』という呼び名は余り正確ではないように思う。― 速水慎二
(我孫子武丸 『8の殺人』)
(場面転換。山形&淀川の出番です)
K「図書室に行くとですね、先客がいました。庵さんと典子さんがいますね」
琴音「友達同士だ」
K「庵さんは難しそうな顔して、分厚い本を捲って、時折、横にあるノートに何かメモしている。その横から典子さんが、ちょこちょこと親しげに話しかけている、って感じですね。――ま、それはそれとして、図書室は広い部屋にたくさんの本棚がひしめき合ってますね。踏み台使わないと取れないような高さにまで本がある」
<一同>「うわー。凄いな」
K「ドアを開けた途端、本独特の匂いが。この匂いが好きな人もいれば嫌いな人もいるみたいですね」
山形「じゃあ、ふたりのところに行って、ああ、ここにいらっしゃったんですか、と声をかけてみます」
K「それじゃあ典子さんが、『あ、どうも』なんて感じで気さくに返事をしてくれたけど、庵さんはチラッと見て、また手元に視線を戻す」
山形「また養蜂ですか?」
K「『いえ、違います』――覗き込んでみると、何か、横文字がずらーっと」
山形「読めん(笑)」
K「英語みたいだけど」
淀川「<英語>技能がないです」
山形「これは、何が書いてあるんですか?」
K「『これは――晶さんから依頼されている翻訳の仕事ですよ』」
淀川「何の本読んでんですか?」
K「『これは、ヨーロッパの魔女信仰の歴史ですね』」
山形「そういえば、祖父の方の肖像画のペンダントに不思議な紋章があったんですけど、あれは、そういう関係でしたっけかねぇ、と。――<オカルト>持ってるので、一応――。ちょっとそれについて調べてみようかなぁ、と思いまして、ここに来たんですけど。どのあたりにありますかねぇ、と言いつつ<心理学>(笑)」
K「どうぞ」
山形「(コロコロ……)あ、失敗した! 読めなかった、心は」
淀川「えっ? 何見てるんですか? <心理学>で」
美崎「そういう話振ったときの相手の反応ですね」
K「それじゃあ普通に、『そうですね、歴史や装身具関係でしょうかね。それともオカルトかな、ああいうのは』」
淀川「こっちも振ってみていいですか? (コロコロ……)はい、成功しました」
K「うん、何か知ってそうですね。知ってるけど、別に言わなくてもいいやみたいな、そんな感じですね」
淀川「どうやって(山形に)教えよう?(笑)」
K「まあ、別段言う必要もないだろう、ぐらいの態度でいます」
淀川「凄いいっぱい本あるんですよね?」
山形「オカルト系はどのへんにあるんですかねぇ、と」
K「『ああ、それはそこの角を曲がって……』なんて教えてくれます」
山形「言われたとおり行ってみると、英語ばかりかな?」
K「そういうわけじゃない。やっぱり、日本語が主ですよ。洋書もちゃんと充実はしておりますが」
山形「ちょっと探してみる」
K「じゃあ、<図書館>ロールですな。時間かかるから、成功しようが失敗しようが、もう寝る時間になるよ(笑)」
山形「25%しかないんですよ」
淀川「その訳してる本あるじゃないですか。その本は、晶さんの趣味なんですか? そういう本ばっか訳してるんですか? オカルト系っぽいじゃないですか」
K「『そうですね、こういう本が多いですね。晶さんの趣味というよりは、榮太郎さんの趣味なんじゃないですか? あくまで榮太郎さんの遺品を訳していますので』」
淀川「あ、そうなんだ。――なぜ、昆虫写真家の貴方に? こういった知識があるわけでもないでしょうに」
K「『ああ、英語堪能なんです、僕』(一同笑)と教えてくれた」
淀川「それって、本当っぽいんですか?」
K「本当っぽいですよ。『だからというわけじゃないですけれど、一応、英文科卒ですし。英文科に行きながら、昆虫の本ばかり読んでいたっていうふしもありますけどね(笑)』」
西谷「うわ、何か親近感湧くな(笑)」
淀川「庵さんが晶さんと知り合いになったのは、何でですか?」
K「『典子さんが僕のことを紹介してくれたんですよ。晶さんが翻訳をしてくれる人を探していたので。安く、長期的にですね』」
淀川「じゃあ、翻訳関係でお知り合いになったんですか」
K「『更に、昆虫関係に詳しい人も同時に探していたという』」
淀川「うってつけな人だ(笑)」
K「『それで僕に。まあ、悪くない仕事ですよ』」
淀川「知り合ってどのくらいになるんですか?」
K「晶さんと知り合って、半年くらいですね」
淀川「典子さんのほうとは?」
K「『学生時代から友達ですね』」
淀川「ほう。――こんなオカルト系の本ばかり調べて、頭おかしくなったりしませんか(笑)」
K「『いや、これはこれで、歴史として面白いですよ。ひとつの学問として楽しめます』」
淀川「そうですかぁ」
相原「――ああ、図書室に行ってれば読めたんだけどなぁ。<英語>できるし<図書館>70%あるし」
山形「25%に賭けてみる。あの炎の目がある五芒星について調べる」
美崎「その図像の出てくる本を探すわけですよね」
山形「四時間かかる。で、見つからないかもしれない(笑)」
美崎「もとよりないという可能性もありますけどね」
淀川「見つかりそうにない感じがする。大学生探偵は(一同笑)」
美崎「探偵の直感だ(笑)」
淀川「大学生探偵は当てにならないですから(笑)」
山形「現場を混乱させるだけだから(笑)」
淀川「大学生探偵は思った――いや、見つからない! ……じゃ、刑事さん、僕はそろそろ――(一同笑)。今度は展示室に行きます」
山形「寝るまで時間潰しに来たわけだから、いいや、やってしまえ! ――典子さんに、どのへんかちょっと教えてください、と」
K「『私もちょっと詳しくないんですけど……』」
山形「しょうがないな、じゃ、ひとりで。(コロコロ……)失敗!」
K「はい、じゃあ深夜まで調べていてください。
――それでは、展示室」美崎&琴音「はーい♪」
(場面転換)
K「時間的には食後すぐだね。展示室では佐伯社長がひとり、なんか興味深げに色んなものをじろじろ見ている。――やはりだだっ広い部屋の中、色々な芸術品・美術品がひしめき合って展示されていますね」
美崎「絵があったり彫像や胸像があったりっていう感じですか?」
K「うん。あと剥製も結構多いですね」
琴音「剥製って、いわゆるニホンカモシカ〜みたいな?」
美崎「ヘラジカの首とか」
K「まあ、そうですね。ニホンカモシカ〜みたいなのもありますね」
琴音「クマ〜とか」
K「あと、壁から鹿の首とか熊の頭とか、鉄郎のお母さんとか(一同爆笑)」
美崎「男爵だったんかーっ!」
西谷「人間の敵め(一同笑)。ミルク飲ませて錆びさせてやる」
美崎「アンドロメダ帰りだったんですね」
(松本零士ファンのフリートークになりそうなので割愛)
琴音「展示品には、テーマが決まっているわけじゃなさそう?」
K「そういうわけでもないですね」
琴音「端から見ていこう」
美崎「お金持ちって感じだよねー、って言って。見ていきますね」
琴音「剥製みたいなのじゃなくて、綺麗な美術品みたいなのもあるんですか?」
K「ああ、あります」
琴音「宝石がついてたりとか、そんなのは」
K「そういうのはないですね」
美崎「ああ、なんだ」
K「それじゃあ、佐伯社長が、『何だ、お前ら解んのか、こんなの?』なんて声かけてきます」
美崎「解んなくたって見たっていいじゃないですかーっ! そういうのは解らなくたって、いいものはいいって解るんじゃないんですか!? ――と、わけの解らないことを(笑)」
琴音「オロオロするばかりだな(笑)」
K「じゃあ、『ふん!』って感じで鼻で笑って、相手にしないって感じですね」
美崎「小声で――感じ悪いよね、あのおやじ(一同笑)」
琴音「貴ちゃんだって、感じ悪かったよ、今(笑)」
美崎「そうかなー? ――だって、いいもんはいいじゃーん、とか言って。でも本当にいいのかどうか解らない(一同笑)」
K「そんなとこかな。それじゃあ、やがて展示室に淀川くんが合流しますね」
琴音「あ、淀川くん、図書室に何かあった?」
淀川「図書室、凄いものがあったよ」
美崎「何があったの、淀川?」
淀川「僕の頭の中に入っている。あとは任せてくれ!(一同笑)」
美崎「また何か言ってるよぉ」
琴音「もともとおかしかったけど……(笑)」
淀川「なんか、山形さんがひとりで調べてるんだが、そういえば。あそこ何もないと思うんだけどなぁ」
K「どうしましょう? しばらく展示室にいるんですか? ――そしたら、館内の写真を撮って廻っているふたりのジャーナリストもやってきます。で、佐伯社長はもういなくなった」
相原「じゃあ、早速展示室の写真でも撮りながら」
K「撮っててくださいませ、鉄郎のお母さんを(一同笑)」
美崎「まだ拘ってるんですか!」
(再び松本零士ファンのフリートークになりそうなので割愛。誰だ、話を逸らしたのは!)
淀川「明かりとか、全部の部屋に点いてるんですか?」
K「点いてます。贅沢です」
相原「とりあえず、全体図を撮ったら、今度はひとつひとつ撮りながら」
K「<写真術>ロールどうぞ」
相原「(コロコロ……)大成功しています。さすがに70%あると」
淀川「何か、面白いものありますか?」
K「面白いものですか――そうですね、暖炉の上にフェンシング・フォイルが二本、クロスさせてあって、ああ、これは殺傷能力のある本物だなと解る」
淀川「暖炉に向かってニコニコしてよう(笑)」
美崎「また淀川ヘラヘラ笑ってるよ」
相原「展示室が終わったら、リビングのほうに行ってみますけどね」
K「はい。リビングでは――誰もいないかな――まあ、やはり広くて豪華な部屋ですね」
淀川「館が鳴る音の変化ってあるんですか? 部屋によってとか」
K「こうしている間にも何回か鳴風館の風鳴を聞いたけど、やっぱり毎回、微妙に音程が異なっているような感じだね。場所によってなのか、風の強弱や吹き込みかたによってなのかは謎だけど、毎回微妙に違う感じはします」
相原「リビングを撮ります。そのあとは図書室かな」
琴音「トイレに行ってから礼拝堂に行こうか?」
K「じゃあ、ジャーナリスト組と学生組か。でもどうせそのうち礼拝堂で合流するだろうから、纏めちゃいましょう」
西谷「あと、MDに鳴風を録音しておきます」
相原「ああ、そうかそうか。ナイス!」
淀川「そのへん、うろついていてもいいですか? 特に部屋には入らずに」
K「いいですよ」
琴音「淀川が野放しになってしまう(笑)」
淀川「じゃあ、ふたりがトイレ入ってる間に――やばい、このままだと一緒に連れ廻される――離脱!(笑)」
美崎「――淀川、どこー?」
琴音「まだトイレじゃない? とか言ってる間に、もういなくなってる(笑)」
K「それでは、礼拝堂に着いた四人ですが――、ここも現在人はいませんね。両開きの、重々しい、鉄枠で補強されたドアをギギギっと開けると、図書室やサロンよりも更にひと回りほど大きく、天井もかなり高い」
美崎「天井高いんですか」
相原「明かりは点きます?」
K「ここはもともとは消えてましたけど、点けることはできます。――点けますと、長机と長椅子が二列、全部で六個ありまして、奥には祭壇があって十字架があって、その奥の壁の上のほうにステンドグラスがあって、という感じですね。で、壁じゅうですね、豪華なタペストリーで囲まれていますね」
相原「では、そのタペストリーを撮りながら」
美崎「どんな絵なんですか?」
K「どうやら、キリスト関係の宗教画というか、聖書に描かれている場面を絵にした感じですね」
美崎「へえ、凄いねー」
K「色んな場面が一枚一枚に」
相原「そっち(西谷)にタペストリー撮ってもらって、こっちは正面のほうを。」
西谷「無駄を承知で、とにかく撮りまくる」
K「タペストリーはそうだね、三十枚ぐらいあるから」
琴音「ここさ、雪明かりでステンドグラス見えたりしないのかな」
美崎「ステンドグラスの模様を注目してみます」
K「まあ、今は夜ですし」
琴音「昼間ならよかったかも。どんな絵なんですか? ありがちなやつ?」
K「はい。ステレオタイプな(笑)」
琴音「天井はどうなってるの?」
美崎「四角い天井ではなくて、屋根になってるんですか?」
K「そうですね。尖ってますね」
美崎「屋根裏があるというわけでは、ない」
相原「――あと図書室かな、行ってないのは」
西谷「そうですね、うちらは図書室に」
相原「じゃ、図書室に行きましょう」
K「学生さんふたりは?」
美崎「礼拝堂のままで」
K「――では、そのとき淀川くんは――(笑)」
琴音「見てはならないものを――(笑)」
淀川「なんか面白いもんないかなぁ〜」
K「そのへんをうろついてるわけですね」
淀川「入りはしないですよ」
琴音「でもドアにこうやって耳当ててみたりはするんじゃない?(笑)」
淀川「まず書斎の前に立ってみます。どうしよっかな〜」
K「そうしていると、後ろで執事室のドアががちゃりと開いた」
淀川「しまった!」
K「六平執事から『おや、何をされてるのですか?』と背中に声をかけられた」
淀川「いや、ちょっと<聞き耳>を(一同爆笑)」
美崎「正直な探偵ですねー!」
K「『困りますねぇ、そういうことをされては』」
淀川「わっはっはっはっ。――笑いながら去る(一同笑)。止められますか?」
K「いや、止められはしない」
淀川「執事をよけつつ。危なかった、探偵危機一髪(笑)」
山形「何してんだよ(笑)」
琴音「まあ、でも、"虎口に入らずんば…"だからね」
相原「"身体は大人、頭脳は子供"って感じだよ、もはや(笑)」
淀川「ひととおり廊下を見て回りますが」
K「まあ、静かなもんですね」
淀川「全然聞こえませんか、中の音っていうのは」
K「聞こえないですね。よほど騒いだら聞こえるでしょうけど」
淀川「人がいるかどうかも全く判んない?」
K「判んないですね」
淀川「ここに来るまでに使用人とか、誰にも会いませんでした?」
K「会いませんね。もう、あとは寝るだけって感じで」
淀川「ここは、明かりは全部電気なんですよね? ランプとかじゃなくて」
K「電気です。ランプじゃない」
(場面転換。図書室です)
相原「で、図書室に行くと、この人(山形)がまだ調べものしている?」
K「まーだやってますね、はい」
山形「四時間だから」
K「図書室で、そのうち典子さんは出ていったけど、庵さんはまだひとりで何かやってます」
相原「図書室のほうは、あまりうるさくできないんですよね、やっぱり。まあ、正面からパチッと撮って、蔵書の多さが際立つくらいに。――で、何調べてるんですか? って訊いてみるけど」
山形「ん? ああ、肖像画の男性のしてた――」
相原「ああ、ペンダント」
山形「あれについて調べてるんだ。ちょっと気になったもので」
琴音「なんでそれがそんなに気になるんだろう」
山形「うん、気になったから」
相原「ああ、気になりますかぁ。じゃあ、私も調べてみようかなぁ(笑)。<図書館>(コロコロ……)成功しています」
山形「あ、ありました? なーんだ、三時間も探しちゃった(笑)」
K「それでは、例の五芒星っぽいのですね。ある本を読みますと、そうですね、古来より伝わる魔を退ける紋様として紹介されていましたね」
相原「魔除けですか」
K「そうですね。平たく言えば、魔除け」
相原「他には何も書いてないですね?」
K「他には見つかりませんでしたね」
西谷「西谷は、そのへんにある、背表紙が日本語で書かれていない本を一冊抜いてみて、パラパラと見ちゃったりなんかしますけど、<英語>振ってみていいですか?」
K「ああ、英語の本を適当に取ってみるわけですね。はい、どうぞ」
西谷「(コロコロ……)OKです」
K「まあ、ランダムに引いて捲っただけですからねぇ、大したことは判りませんけど、やはりこのへん一角ですから、オカルト関係の書物があったなぁ、というのは判りました。結構本格的に学術的な内容ですね」
西谷「ほう……」
山形「お前、読めるんか?!」
西谷「そりゃそうですよ、見損なわないでくださいよ」
山形「庵さん、さっきあっちで英語の本読んでたぜ」
西谷「え? 興味湧いちゃうなぁ。庵さんに訊いてみてもいいかな」
山形「ほら、まだ読んでる。あそこで」
西谷「――庵さんに、自分がパラパラと見た本を持ちつつ近づいていって――、いやぁ、ここの御当主のお爺さんでしたっけ、ずいぶん変わったご趣味の持ち主みたいですよねぇ。って、カマかけてみます」
K「『そうですね、相当のコレクターだったみたいですね』」
相原「――ちなみに、この本の書名は何ですか?」
K「その情報が書いてあるやつですか? ――『西欧における魔女信仰』ということで。ゆっくり読んだので、<オカルト>技能に+01%差し上げましょう」
(場面転換。礼拝堂です)
K「そのころ礼拝堂では――誰も来ないです」
美崎「誰も来ないですか? じゃあ、そうですね、――なんか暇だねぇ」
琴音「うーん……」
山形「たそがれてるんだ、女性ふたりで(笑)」
琴音「今頃スキー場のみんなは、きっと騒いでるんだよね」
美崎「そうだよねぇ――」
K「そろそろ寝てるかもしれない」
琴音「あ、そんなに遅いんですか?」
美崎「もういいや。寝ちゃおう寝ちゃおう?」
琴音「うん。明日の朝ご飯とかどうなるのかな。またあそこでみんなで並んで食べるのかな」
美崎「なんか厭だね、そうゆうのね」
琴音「と、ぺちゃくちゃ喋りながら」
美崎「部屋に戻ります」
K「風呂入って寝ちゃう?」
美崎「浴室、使ってもいいんですかね?」
K「もちろん使っていいですよ」
琴音「大浴場みたいな感じ? 大浴場というか――(笑)」
K「まあ、大きい風呂場ではあるけど、別段そういった旅館じゃないですから(笑)」
琴音「ところで淀川は? 結局どしたの?」
美崎「あ。そういや、どこ行ったんだ、あいつは? ――でもいいや、あいつ放っといても(笑)。明日か明後日、帰るときに一緒にいればいいって」
琴音「うーん。そうなのかなぁ」
相原「探偵は彷徨っている(笑)」
淀川「家の中で迷っちゃったら――(笑)」
琴音「じゃ、お風呂入って寝るということで」
K「はい、じゃあ図書室の人たちも寝ちゃうのかな? これが終わったら」
相原「ええ。これが終わったら客室に引っ込んで、ノートパソコン起ち上げながらカタカタと」
美崎「じゃあ、起きてはいるわけですね?」
相原「起きながらノートパソコンをカタカタやって。考えながら」
山形「杖をつきながら帰りますか」
西谷「庵にもうちょっと具体的なこと訊けばよかったなぁ」
K「ああ、そうだ。庵さんもそろそろ――」
西谷「寝ちゃいましたか」
K「うん。今日はこんなもんかな、みたいな感じで。本とノートを閉じて、二冊とも小脇に抱えて」
西谷「そうかぁ……。ほとんど嫌がらせに近いノリで、その庵さんが手に取っていたあたりの本を、ランダムに抜き出して、読むわけじゃないけど持ってって隠す。困るだろう(一同笑)。――三冊ぐらい持ってったことにします。決定的な一冊が中に入っていりゃ面白いんだけど(笑)」
K「はい。――では皆さん部屋に戻るというわけで。淀川さんも、いつのまにか戻って来るということで(笑)」
琴音「夢遊病のような(笑)」
淀川「一応、ひととおり廻って、この屋敷の感覚を身体に覚えさせます」
K「(笑)覚えさせるんだ」
美崎「名探偵だ(笑)」
淀川「よしっ、覚えた! ――んじゃ、寝よう」
K「さて、それじゃあ、部屋に一番最後に戻ることになるのは、結局誰かな? やっぱりダークホースの淀川さんかな(笑)」
美崎「淀川探偵が(笑)」
淀川「ひととおり廻って、誰にも会いませんでした?」
相原「たまにすれ違っている可能性はあるが(笑)」
K「うん、たまにすれ違ってるかもしんないけど、別段なぁ。
――じゃあねえ、そろそろ部屋に戻ろうかなというぐらいのときに、客室Gから佐伯さんが出てきて階段を下っていったのは見えた。もう夜だいぶ遅いね。みんな寝ちゃうというぐらい」淀川「佐伯さん……ほう」
琴音「老人は、ほら、トイレが近いから」
美崎「なるほどなるほど」
淀川「普通に歩いていく感じ?」
K「そうだね。別にソワソワしてたりとかいうのはないですね」
淀川「私がいるということには気づいていった感じですか?」
K「まあ、ちらっと見たとことにしましょう」
淀川「まあ、別段気にせず……時間にして何時ぐらいですか?」
K「そうですね、もう日付変わる前ぐらいって感じかな」
淀川「十二時ぐらいか――。無駄だと思いつつも、ついて行ってみようかな」」
琴音「トイレに行くだけだって」
淀川「…………戻る(一同笑)」
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