Opening Act. 1 Act. 2 Act. 3 Act. 4 Act. 5 Act. 6 Act. 7 Act. 8 Act. 9 Act.10 Act.11 Act.12 Act.13 Act.14 Ending
Act.5 そしてようやく密室で人が殺される
何故なら、犯人が犯罪を単なる殺人に終わらせず、
そこに密室という面倒な状況までも加味するには、
何か深い理由が存在していたからですわ。― 二階堂蘭子
(二階堂黎人 『悪霊の館』)
K「というわけで、夜。寝る人は寝てください」
相原「今は吹雪いてますか?」
K「吹雪いてます。しばらく止みそうにないらしいですね」
相原「窓は二重窓?」
K「そういうわけじゃないですね。まあ、分厚いガラスですけど。あと鎧戸もありますんで」
相原「じゃあ、鎧戸落としていますね」
淀川「私は佐伯さんが気になって、三時ぐらいまで起きてます。――どうしたんだろう? うう……」
美崎「意外に神経質な探偵なんですね(笑)」
K「それじゃあ、起きてる人は<聞き耳>ロール。寝ている人は<聞き耳>の半分ロール振ってください」
淀川「何時ですか?」
K「深夜一時半」
淀川「じゃあ、起きてる(笑)」
(コロコロ……)
(相原、淀川が成功しました)
K「成功した人は、くぐもった、男の悲鳴のようなものを聞いた」
相原「ガチャッと開けてみますが」
K「相原さんは一番奥の部屋ですね――」
淀川「どっちから聞こえたっていうのは、人によってまちまちですか?」
K「そうですね。淀川さんだと壁の向こう側ですね。礼拝堂のほう」
相原「私のほうから見ると?」
西谷「同じじゃないですか?」
K「そうですね、やはり礼拝堂の方向ですね」
淀川「ぎゃあ! って感じなんですか? それとも、ううっ! って感じですか?」
K「ぎゃあ! って感じですね」
淀川「探偵、ダッシュ!」
相原「私は西谷さんの部屋をトントンってやって、起きてるかぁ!?」
西谷「何すかぁ? もう寝ますよぉ!」
相原「なんか今、悲鳴みたいなの聞こえなかったか?」
西谷「悲鳴?! それは楽しそうだ、と言いつつも――」
山形「楽しそう(笑)」
相原「向かうだけ向かおう。ちょっと気になるんだ。礼拝堂の方向からなんだよ」
西谷「西谷は聞こえなかったけど、相原さんのあとについていきます」
K「さて、そうすると、客室Kから霜月くんも出てきた。眠そうに目を擦りながら。『今、悲鳴ですよね?』なんて言いながら」
西谷「げっ、俺だけ聞いてない――。俺はやってない! とか言いながら」
琴音「怪しい(笑)」
K「で、下り階段のあるホール上まで来ると、――礼拝堂の中から、何か跳ね回るというか、どったんばったん、家具が倒れたり移動したり――」
西谷「ポルターガイストか!?(笑)」
K「――するような音とともに、部屋の中から、猛吹雪のような音が聞こえてくる。ごぉぉぉぉって。――それに掻き消されるように、さっきの男の悲鳴のようなものが時折、断続的に聞こえてくる」
相原「扉のほうは?」
K「閉まってはいますけど、試してみますか?」
西谷「試します」
K「おおっと、鍵がかかっているようだ」
相原「じゃあ、執事室にダッシュ!」
淀川「おおっと、僕は<錠前>やってみる(一同笑)」
西谷「扉は体当たりとかでは駄目ないのかな」
K「かなり重たそうで、しかも鉄で補強されてますね」
西谷「ああそうか、駄目だ。ひ弱だから(STR6)、見ただけで諦める。――<錠前>、お願いします」
淀川「大学生探偵、胸元から、何でお前持ってんだ? と言われてもおかしくないものを(笑)。<錠前>(コロコロ……)はい、成功しました」
美崎「うわ、素敵だぜ(笑)」
K「出目が技能値の半分以上ですね? この鍵は特殊なんですねぇ。特殊な作りの鍵であるために、開けるのが非常に難しいということは解りました」
淀川「やばい、これは(笑)」
西谷「開かないんだ」
相原「もうちょっとで執事室に着きません?」
K「もう着いた」
相原「ノック」
K「少しするとガチャッと開いて、寝間着姿の――」
相原「申し訳ございませんが、礼拝堂で凄い音がして、なんか、人の悲鳴みたいなのが聞こえてるんですが」
K「『凄い音? 人の悲鳴?』と、ちょっと考え込んで、『――は、はい、解りました。行きましょう』と」
相原「礼拝堂の鍵お願いします」
K「『ああ、もちろん持っています』」
相原「連れて戻ってきます」
K「上がってきた。――そうだね、そうこうしているうちに、やがて中から嵐のような凄い音は聞こえなくなった。どったんばったんも聞こえなくなった。悲鳴っぽいのもね。シーンとした」
相原「静かになりましたね――。じゃあ、連れてきて、すみません、開けてください」
K「『開けますね』」
相原「お願いします」
K「この場にいるのは――淀川、西谷、相原、霜月、六平、でいいんですね。では――、ガチャリ……と鍵を開けてドアを開くと――!」
相原「はい」
K「中から、ムッとする臭いが漂ってきます。今まで嗅いだこともないような」
西谷「うわ」
山形「血の臭い――?」
K「生々しいとでも言いましょうか、生き物の発するような、有機的な臭いです」
西谷「粗相かな」
琴音「粗相(笑)」
K「嗅ぐと厭な気分になるね」
淀川「淀川、撤退(一同笑)」
美崎「早ぇーよ! ――この態度でいつも、事件現場を混乱させてるんだ(笑)」
西谷「西谷は、うっかり中に踏み込んじゃう」
K「踏み込んだ。――そうですね、中は真っ暗ですよ」
西谷「真っ暗」
淀川「誰が中を覗ける立場にあるのかな?」
K「全員いいですよ、もちろん」
西谷「電気を点けられるというのは、一回入って解ってますから、点けていいですか?」
K「いいですよ」
西谷「点けます」
K「パッ。――まるで嵐後のような惨状になってますね、部屋の中が」
西谷「メチャメチャに家具も壊れてるわけですか?」
K「うん、壊れているのもあるし、壊れていなくとも、倒れたりひっくり返っていたり。タペストリーなんかは全部剥がれちゃってます」
西谷「あややや」
K「祭壇やステンドグラスなんかは無事みたいですけれども。
――そして、まず入口付近、入ってすぐ左手のところに、男がひとり倒れています。見たところ、逆木原晶さんですね」相原「ええっ?!」
K「すぐそばにステッキが転がっていまして、気絶しているのか、目を瞑っていますね。見たところ、外傷はなさそうですが。
そして部屋の奥、中央よりも更に奥まったところに、やはりもう一体、人影が倒れていますね」美崎「真ん中より奥まったところ――」
西谷「祭壇のほうですか?」
K「まあ、そうですね。中心部と祭壇の中間ぐらいかな」
相原「それは――誰か、判らない?」
西谷「勢いに任せて走っていく」
K「走ってった」
淀川「現場荒らしまくり(一同笑)」
相原「あ、一応、写真は撮ってますから」
K「近づいてみますと、一瞬、誰か判りませんでした。が、服装から、恐らくこれは佐伯さんだと判りますね」
淀川「やっぱし」
美崎「"恐らく"という言い方をしなきゃいけない――ようなんでしょうか?」
K「なぜなら、それには首がなかった――」
琴音「うああ」
山形「SANチェックかー!?」
K「首だけでなく、一緒に右の肩口まで無いですね」
西谷「佐伯さんの着物の切れが残った肉の塊ってゆう感じなんですかね」
K「そうですね、そんな感じですね。ぶらーん、と右腕が辛うじて皮一枚で繋がっている」
西谷「うわ、こりゃあ、肉しばらく食えないな」
K「中から詰め物がいっぱい出てる(笑)」
美崎「うはあ」
K「というわけで、見た人全員<正気度>ロール」
(コロコロ……)
相原「成功です!」
西谷「14!(成功)」
淀川「――やった!」
K「成功しても1ポイント減ります。惨殺死体であると同時に、怪奇現象でもありますので」
西谷「記者魂が騒ぎよる」
K「まあ、1でも減ったということは、ある程度気分は悪くなったということで、把握しておいてください」
美崎「うぇえ、ってなるわけですね」
相原「――確か、警察官いたよね?」
淀川「山形さん(笑)」
相原「起こしてこなきゃいけないんじゃないか、これは」
西谷「おーい、山形さーん!! って叫んでみる。喚いてるだけで動けない」
淀川「じゃあ、呼んでくる。タッタッタッ……」
K「それじゃあ、霜月くんも吐き気を堪えるように口元を押さえながらどこかへ行った」
淀川「走りながら思い出していいですか? あの悲鳴っていうのは誰だったか、判らないですか?」
K「<アイデア>ロールしてみてください」
淀川「(コロコロ……)あ、04で成功しています」
K「あの声は、そうですね、佐伯さんの声だったね」
西谷「ははあ、まだ首がついてた頃の声か」
琴音「そうですね、声が出るってことはね」
淀川「タッタッタッ……、ダンダンダン! グッモーニング!(一同笑)」
山形「何だ!? 今、寝たばっかりなのに――」
淀川「事件だぜ!」
山形「事件? お前はいつもことを大きくする! ――で、何があった?」
淀川「首なし死体がっ!(一同笑)」
山形「荷物を持ってドカドカと行って、ほら、どいたどいた!(笑)」
K「そのころ、女性陣ふたりですが、部屋のすぐ外の廊下で騒ぎが起きてますので、自動的に目覚めていいですよ」
琴音「はぁい」
美崎「じゃあ、ガチャっと開けて、――淀川、うるさいっ!! バタン!(一同笑) また寝ちゃいますね」
淀川「じゃあ、ガンガンガン! って叩こう。――く、首なし死体! 首なし死体!」
琴音「なんで起こしに来るの!(笑)」
淀川「ワクワクしてるから(笑)」
美崎「琴音ちゃん、ちょっと淀川黙らせといて!」
相原「――みんなにSANチェックをさせようという(笑)」
琴音「とりあえず、服を着替えてですね、ガチャって開けて出てみます」
淀川「たぶんもう、部屋の前にはいない。やり逃げに近い(笑)」
琴音「やり逃げって、何を!?(笑)」
美崎「ホントに探偵なのかぁ?(笑)」
琴音「廊下は明るい?」
K「明るいですよ」
琴音「ガヤガヤしてる?」
K「うん。――ざわ… ざわ…」
淀川「臭いはこっちまで来てるの?」
K「次第に漂ってきますね。凄い酷い臭いです。まあ、血の臭いも混じっているからなんでしょうけど」
琴音「とりあえず、ゆっくりと行ってみますけど」
美崎「後ろからそれに追いついて、何、何ー? って、寝ぼけまなこで」
琴音「何か臭わない? ――キョロキョロしながら進んでいきますが」
相原「現場の写真のほうは――?」
山形「一応、お前撮っとけ、と言って。――刑事だからSANチェックは?」
K「これは、してください」
(死体に見慣れているキャラクターは、こういった場面で<正気度>ロールをしなくてもよかったり、喪失する正気度の量が少なめだったりします。ですが、これはただの惨殺死体ではなく、"宇宙的"なものですので――)
山形「刑事で失敗したら最悪(笑)。(コロコロ……)あ、大丈夫」
K「そうですね、刑事特権で減らさなくていいです、成功したら」
山形「持ってた警察無線で――殺人事件発生、殺人事件発生、来られるかぁ? ――って言ってみるが(笑)」
K「えー、『吹雪で行けない』(笑)」
山形「現場保存しとくからー!」
K「『頼む。――吹雪が止んでからも、まだしばらくかかると思われる』」
相原「とりあえず、現場保存の写真を撮りますが」
西谷「おえーっ、とか言いつつ撮ってよう」
琴音「で、みんなこの部屋の中に? ――じゃあ、見ちゃうね」
美崎「見ちゃいますね。さあ、こいつの正気度は低いんですよー」
K「<正気度>ロール」
(コロコロ……)
美崎「ああ! 成功だ!」
琴音「ああ! 失敗だ〜っ!」
K「成功しても1減らして、失敗したら1D6!」
琴音「ああ、でかいよ、これは。(コロコロ……)3」
山形「危ない」
琴音「きゃーっ! と言ってしまうわな」
山形「はーい、関係ない人、出ていって出ていって! 現場荒らさないで!」
K「遅れて他の人たちも来ましたね」
山形「入口に黄色いテープ張っちゃて。ビーって」
美崎「持ってるんですねぇ!?」
相原「あのー、逆木原晶さんのほうは?」
K「調べてみると、息はあるよ。どうやら気絶しているみたい」
相原「晶さんが気絶してるから、とりあえず運ばないと」
山形「ああ。――執事さん!」
K「六平さんの様子を見るとね、なんか、必要以上に脅えている感じがする」
山形「うわあ」
琴音「だって、1D6だぜ」
K「『こ、これは……、あのときと同じ――、いや、――!』とか」
<一同>「何ぃぃぃーっ!?(笑)」
山形「ちょっと待て! 今、何と言った!?」
西谷「MDに録音しちゃうぞ(笑)」
K「『い、いえ、な、何でもございません。それよりも、晶様を――』」
山形「重要参考人として、あとで取り調べさせていただきます」
K「『あ、晶様を、お、お運びしないと――』――えー、遅れて典子さんと直人さんも来たので、ふたりも死体を見てうわーって言ったあと、直人さんと執事さん、使用人も手伝って、晶さんを寝室のほうまで運びました」
相原「とりあえずこっちは写真をパシャパシャ撮ってましょ」
西谷「驚いた執事さんも一枚、パシャリ(笑)」
K「さて、とりあえず晶さんを運び出して、ひと息ついたところに、遅れて最後に庵さんが――『どうかしたんですか?』と、やってきた。恐らく寝起きであろうにもかかわらずオールバックですね(笑)」
相原「実は寝てなかったとか。あるいは早く目を覚ましてセットしてた(笑)」
K「それで、室内見てもいいでしょうかねえ、庵さんは」
山形「いや、もう現場封鎖したあとでしょ」
西谷「じゃあ、中には山形さんしかいないんですか?」
山形「いや、写真撮ってるでしょ?」
淀川「探偵もいつのまにか現場に戻ってる(笑)」
K「いつのまにか死体を観察してるんでしょ?」
美崎「ほーう、これは……」
K「駄目でしょ、コナンくん!(笑)」
美崎「またお前かぁ!」
(ああ、一度でいいから、蘭姉ちゃんに叱られてみたい……)
淀川「現場荒らして帰っていく(笑)」
K「では、庵さんは見てねぇな」
淀川「ご主人は、目を覚ますんですか?」
K「まだ判らないですね。とりあえず、寝かしてはきたみたいだけど」
山形「一応、現場検証」
K「どう検証しましょうねぇ」
相原「死亡推定時刻は、およそ一時半」
山形「聞いたのか?(笑)」
K「まあ、状況的に」
相原「悲鳴は一時半に聞いたので」
山形「首と――あと他の部分は――?」
K「ない。見つかんない」
山形「ない!?」
美崎「あららら」
相原「とりあえず、現場の荒れた状況ももちろん写真に撮っときますが――」
山形「猟奇的だな」
K「ちなみに、淀川さんが最後に見たときの服装のままですね、佐伯さんは」
美崎「トイレに行ったかと思われるときの」
淀川「あれは夜中の十二時くらいか――」
山形「悲鳴が聞こえて行ってみたら鍵がかかっていて、そのときまだ悲鳴が聞こえていたんだから――、犯人はこの部屋からどうやって出ていったんだろう――」
西谷「密室なのでは」
山形「密室――」
K「そのとき、ドアの外でも、霜月くんが興奮したように――『これは密室殺人事件ですよ!』」
琴音「うわあ(笑)」
淀川「ワクワクしてきた(笑)」
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