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Act.6 現場検証という名の知的遊戯が催される



後頭部を殴打されての死なら、これは他殺に決まってる。
それなのに何で密室にしなきゃいけないんだ?
密室というのは自殺に見せかけるためのものだろう?

― 御手洗潔

(島田荘司 『占星術殺人事件』)



山形「部屋の中は、誰かが出入りしそうな、隠された抜け道のようなものは――?」

「<目星>をどうぞ」

(コロコロ……)

山形「駄目だぁ! 見つからない!」

相原西谷「成功です」

山形「あ、お前ら、手袋使え!」

美崎「常備してるっていうのが……」

「それじゃあ、まず、<目星>に成功しなくても、探せば見つかったのが、隅っこに聖書が落ちているんですが――」

相原「聖書?」

「新約聖書ですね。結構、装丁が豪華な感じです」

山形「じゃあ、ちょっと薄いか。新約じゃ」

「うん。それが、途中のページが開かれた状態で、落ちているのか置いてあるのか」

相原「開かれてるページは?」

「ああ、これは――英語だな」

西谷「よっしゃ、どんと来いや」

山形「英語? ――頼む。読めるかー? ――触るなよ、でも(笑)」

(コロコロ……)

西谷「ああ、失敗!」

相原「成功です」

山形「あ、これも写真撮っとけ」

「これはですね、"マルコによる福音書"、四章の後半と五章の冒頭の部分が見開かれてますね」

山形「マルコ――?」

「まあ、内容は、四章後半が、湖を渡ろうというときに風が吹いて渡れず、イエスが突風を鎮めた話です。五章は、イエスが悪霊に取り憑かれたゲラサ人を癒やす話ですね。そんな感じですか」

山形「風が吹いて――?」

「それはいいとして、<目星>に成功した人、ステンドグラスがあるところの下のほうの壁――高さにして、床から一メートルちょっと、ってところかな、それぐらいの位置に、直径五センチぐらいの丸い穴が空いているのを見つけた」

西谷「ほーう」

相原「壁に穴。五センチ。――一応、写真撮っときます」

「丸い穴の周りがね、やたらベトベトしている」

相原「んんぅ!?」 密室

「無色透明。とは言っても多少濁っているけどね。液体がびっしりと」

相原「刑事さん、刑事さん」

西谷「はみ出したセメダインみたいな感じですか?」

「そうですね」

山形「ペチャって取って、何か、仕舞うやつは?」

「糸引いてますね。ちなみにその穴は、壁の中の空洞に直接繋がっているみたいです」

山形「犯人は、ここから何かを中に入れて殺害しようと(笑)」

淀川「刑事さん、ちょっと無茶な推理だ(笑)。――いつのまにか入っている(笑)」

「礼拝堂広いし、いっぱい家具散らばっているから、<忍び歩き>か<隠れる>どっちかに成功したら、探偵特権で、いつのまにかいてもいいや(笑)」

淀川「じゃあ、<隠れる>だな、ここは。(コロコロ……)04で成功しました(笑)」

「いつのまにか入っていた」

山形「お前、何でいるんだ!(笑) ――それじゃあ、頼む。タッパーか何か貰ってこい!」

淀川「せっかく入ったのに(一同笑)」

山形「コレを採取するから、重要な役目だぞ」

淀川「騙されてるよ。まあいいや、また戻って来れるし。――どこに貰いに行こうかな」

琴音「使いっぱ(笑)」

相原「じゃあ、貰ってこいって言ったあとに、――刑事さん、さっき荷物を部屋に置いたときに、壁から妙な音が聞こえてなぁ、ズルズルと」

山形「ほう」

相原「最初は鼠かと思ったんだが――この状況では、ひょっとして人が這いずり廻ってたのかもなぁ」

淀川「俺がいるとき言えよ(笑)。俺が去ったあと、わざわざ言うか、この男は(笑)」

山形「じゃあ、壁を調べてみるか」

「まあ、これ以上特に変わったものはないですね」

山形「どこかしら空洞なのかな」

「そんな感じはしますけど」

相原「全体的に空洞ですよ」

淀川「厨房から勝手にかっさらって来ます」

「はいどうぞ」

淀川「渡す。はい」

山形「採取」

「はい、採取した。
 ――それとね、死体をじっくり見た人は<医学>ロールしてみてください」

(コロコロ……)

<一同>「失敗」

美崎「みんな判らない」

「判らんねぇ」

琴音「あ、ごめん、貴ちゃん。もう大丈夫だから、見たかったら見に行ってきてもいいよ」

美崎「えー? でもいいよ、あんな気持ち悪いの」

琴音「部屋にいる」

淀川「こっちでは、うひょーっ! とか言ってる」

美崎「また淀川、はしゃいでるよ」

相原「名探偵くん、名探偵くん。ちなみに、壁から怪しい音が聞こえなかったかい?」

淀川「いや、聞いてないっす。――なるほど、聞こえたんですね? ――勝手な推論をまた立てて」

山形「隠し扉があるかもしれない!」

相原「ところで君は、悲鳴で起きたのかい?」

淀川「そういえば十二時前に会いましたよ、佐伯さんに」

山形「お前が犯人か!?(笑)」

淀川「さぁ、どうかな?(一同笑)」

山形「お前が最初に来たんだよなぁ。怪しい(笑)。――事件が解決できないからって、遂に自分で事件を起こしたんだな!(笑)」

美崎「探偵だったら、あの台詞を言わないと(笑)。雪の館で密室殺人事件が起こって――っていったら、あれしかないですよ。宣言しなきゃ(笑)」

淀川「みんなが揃ったら言おう」

美崎「頃合いを見て(笑)」

淀川「絶好のタイミングで言うから」

美崎「じゃあ、美崎も鷹見琴音を置いて、――ちょっと行ってくるね」

琴音「気をつけてね」

美崎「礼拝堂を覗き込んでますね」

山形「無線使えます?」

「使えていいですよ(さっき使ってたし)」

山形「警察に連絡して、――ここにいた執事が、前と同じ事件があったみたいなことを洩らしたから、前に殺人事件がここで起こったかどうか、そっちで調べてくれないか、と」

「『ああ、解った。調べておくよ』」

淀川「今、私たちここにいて、他の人たちは何やってんですか?」

「それでは、晶さんを部屋に寝かせてきて、みんな戻ってきたというところですね。使用人ふたりと晶さん以外は全員揃っていると見ていいですね。滝口かほりさんも遅れて来ました」

淀川「じゃあ、みんな死体見てるんですか?(笑)」

「ドア閉ざされてから来た人もいるわけで――」

琴音「あたしは気分が悪いので、部屋で寝てます」

山形「まだ逆木原晶さんは寝てる?」

「寝てる」

山形「執事は?」

「執事さん来てるよ」

山形「取り調べる(笑)」

淀川「あのう、晶さん見たときに気づいたことはないんですか、僕は? 外傷は特になかったみたいなんですけど――」

「気づいたことねぇ――じゃあ、<アイデア>ロールで思い出してください」

淀川「(コロコロ……)成功しました」

「外傷とか、服の乱れとか、そういうものは一切窺えなかった。顔色も別に悪くなかったです。目をつぶっていた顔も穏やかだったね」

淀川「単純に気絶しているだけ――?」

「――に見えたね」

淀川「……あ、そっか。被害者ってわけじゃない可能性もあるんですよね。――気絶したフリっていう」

美崎「うーん。そうかもしんないですねぇ」

相原「聖書があった位置っていうのは、晶さんが倒れてたところのそばなんですか?」

「いや、離れてましたね。晶さんは、入口のすぐ左。聖書は、右の隅っこ、手前側ですね」

相原「手前ですか。祭壇のほうではなくて」

淀川「――気絶してるかどうかっていうのは、判りませんよね」

「分かんないですね。パッと見ただけじゃ」

淀川「……死体って、このままずっと放置?」

山形「シーツは掛けてあるよ」

淀川「あとは、めぼしいもの何か見つからないかな」

「うーん、そうだね、逆木原直人くんが、『僕、医学、多少囓ってますけど……どうしましょう? 見ましょうか?』と進み出てきます」

琴音「ああそうか、医大生だった」

山形「じゃあ――、頼むぞ」

「『よろしいですか?』――じゃあ、入ってきて、色々見ている。(直人の<医学>ロール。コロコロ……)『うーん……』」

琴音「失敗?」

「首を捻ってるね」

山形「判らんかね」

「『いや、判らないというか――どうやったら、こんな傷口がつくんでしょうね?』」

山形「怪訝な顔をしてみる」

琴音「展示室に飾ってあったのは! ――フェンシング・フォイルだ、斬れないよ(笑)」

美崎「刺すだけですね」

山形「何か鋭いものでバッサリとやったのか、それとも鋸みたいなものでやったのか、レーザーみたいなものでやったのか――」

「『いやあ――"ちょんぎった"というか――。ぎゅうっと締めつけて切り取ったというか』」

美崎「んんぅっ?!」

「『何かを巻きつけて、締めちぎった感じですね』」

美崎「んんんぅ?」

琴音「ワイヤー?」

山形「ワイヤーでぶちっとやった感じ?」

「『そんなに鋭利な感じもしないですね。鋭い切断というわけではないです』」

山形「ぶちぶちぶちっていう」

美崎「なんだそりゃあ」

琴音「直径五センチの触手が――」

淀川「彼がなぜ殺されたのかっていうのが一番、よく解んないとこですよね」

美崎「あぁ」

琴音「――でも、頭通らないもんね、この穴ね」

美崎「そうですねぇ、謎の穴。頭は入んないですもんね」

相原「調べてみたほうがいいんじゃないですか? 刑事さん」

美崎「――穴の周りに粘液が……。手は入らないんですよね?」

「入らないですね」

相原「五センチですから」

美崎「指が何本か入るぐらい――」

「では、現場のほうはそろそろいいかな?」

山形「うん。次は事情聴取」

相原「どっかの部屋を借り切って事情聴取ですか」

山形「そう、ひと晩かけて」

美崎「ええっ? 寝ないで?」

琴音「睡眠不足は何とかの敵だよ」

美崎「琴音ちゃん寝てるし(笑)」

淀川「こっち、何か用ないですか?」

山形「ちょっと手伝ってくれるか? ――やっと出番を(笑)」

淀川「その前に、他の部屋がどうなっているかを見ておいたほうがいいんじゃないですか? 現場だけじゃなくて。――犯人がいるかもしれないじゃないですか。――あと、外に誰か出た形跡があるかどうかってのを見ておいたほうが――雪ですから判るんじゃないですかね」

「でも現在吹雪だからね。足跡はすぐ消えちゃうでしょう」

相原「いや、すぐは完全に消えないでしょう」

美崎「雪の量が半端じゃなければ、すぐに」

西谷「判別できないでしょう」

淀川「一応、僕、見てみますわ。外を一周」

「外には、特にないですね、そういった跡は。足跡も何も」


(事件発生からだいぶ時間が経過しています。たとえ何かがあったとしても、この時点では既に判別不能となっているでしょう。よって、この点に関しては謎のままです。もっと早くに調べていればよかったのでしょうが)


山形「執事に、さっきのサロンを使って取り調べをおこなう」

「サロンに行った。――執事とマンツーマンですか?」

山形「マンツーマン」

「はい。――もの凄くソワソワしているね」

琴音「(ぼそり)トイレに行きたいに違いない」

山形「そんなアホな(笑)」

「『私に何か御用でしょうか?』」

山形「先ほど言っていた、前と同じとはどういうことですか?」

「『そんなことを――申しましたか?』」

西谷「何ならMD聞かせようか(笑)。――74分回しっぱなしだもん」

山形「ズバリ訊いてみる」

「<言いくるめ>か<説得>振ってみていいですよ」

山形「どっちも45%だ。<言いくるめ>(コロコロ……)駄目だった。99が出てしまった(笑)」

琴音「空回ってる」

山形「奮わないね、今日、ロールがね」

「そういうわけで、『いや、何のことでしょうか――』と。でも明らかに動揺している(笑)」

山形「その動揺が! ――更に突っ込む」

「そうだね、じゃあ今度は<説得>振ってみて。――失敗するんだな、これが(笑)」

山形「(コロコロ……)なんで95が出るの?(笑) ――ダイス変えよう」

西谷「西谷がフェンシングの剣持っていって、突っつく(笑)」

淀川「じゃあ、僕がその場にバッと現れて振りましょうか?(笑) よくあるパターンで」

「いいですよ(探偵特権(笑))」

淀川「これで失敗したら立場ないっすよ。(コロコロ……)ああーっ!(笑) ――そそくさと帰ります」

山形「お前はいつも混乱させる!」

淀川「畜生(笑)」

山形「取り調べ中に入ってくるなーっ!」

西谷「ドアを開けて山形さんに、これ、これ! と剣をちらつかせる。拷問、拷問(笑)」

相原「西谷さん、ちょっとそれは拙いですよ(笑)」

淀川「自分の部屋でいじけてます(笑)」

山形「――このままだと、あなたも犯人隠匿の罪で――と言ってみる」

西谷「あっ、それいい。追い込め」

「えーと、執事のPOWロールを(コロコロ……)、――『何のことやら』(笑)」

山形「躱された(笑)。まあしょうがないな、ロールたくさんしてるから、結構時間使っただろう。――じゃあ一応、今は帰っていい」

「じゃあ、帰った」

淀川「刑事さん自身、知らないんですか? ここの過去の事件について」

「知らないですね」

山形「知らない。ただ、今、鳴兎子市警に無線では連絡した。過去にそういう事件があったかどうかを調べてもらってる最中」

「さて、他の人はどうしてるのかな」

相原「取り調べを待ってますが、時間かかりそうなので、いったん客室に戻ってる」

山形「とりあえず、滝口、庵、霜月に、取り調べ。――それぞれ、その時間に何してたか」

「そうですね、みんな寝てたと答えますね」

山形「気がついたのは何時頃?」

「まあ、状況そのまんまですけど、霜月が悲鳴を聞いて気づいて、そのあとみんなが騒ぎを聞きつけて出てきた、と」

山形「なるほどね。――晶さんはまだ気づいてないの?」

「まだ寝てる」

山形「明日取り調べをしよう。――尾道夫婦は事件のときは?」

「寝てた」

山形「全く気づかなかった?」

相原「プレイヤー・キャラクターも取り調べ受けるんですよね」

西谷「話すいきさつは、さっきの状況と一緒だね」

山形「淀川だけ、取り調べと言いながら、説教を懇々とする(笑)」

淀川「死んだやつの最後の姿見ちゃったりとかしてるのに、よく解んないんだよな」

琴音「最後かどうか、まだ判らない。もっと他にいるかもしれない」

美崎「誰か黙っているのかも」

琴音「少なくとも晶さんは、たぶん最後に見てるしね」

美崎「ですね。何があったか――」

淀川「一応、私は正直に全部言いますよ。刑事のほうが信じるかどうか判んないけど(笑)」

琴音「私らも、呼ばれるのかな」

美崎「どうなんでしょう。――学生も事情聴取に呼ばれるんですか?」

山形「呼んだ」

琴音「寝てても起こされた?」

山形「うん。起こした」

琴音「うーん、ひどい」

美崎「起こされて――チョームカツクよね、あの刑事! 寝てるとこいちいち起こさなくてもいいじゃーん。あたしら全然、何も知らないんだしー。――プンプン言ってから寝ます」

「まあ、ひととおり事情聴取は終わって――」

山形「どのぐらい時間経ちますか?」

「朝になりますよ」

山形「ちょっと仮眠を取る」

相原「それじゃあ、こっとはデジカメの写真のほうを見る」

山形「取り調べのときに見せてもらったことにしようか。何か気がつくようなものは写っていましたか?」

「特に。まあ、脅える執事が印象的だったり(一同笑)」

西谷「今月の一枚」

山形「仮眠を取って、朝になったら、無線連絡で、事件がなかったかどうかを」

「調べていてくれたみたいだね。――特にこの館では、過去に殺人事件の類はなかったみたいですね」

山形「特にと言うことは、この周りではあった?」

「いや、ないですよ。――だた、先々代の榮太郎という人がいるけど、その人の死亡記録がちょっと変わってまして、"行方不明"から"死亡"になったと、そういうことは判った」

山形「ほーう! そう繋がってくるか」

「それは気になったけど、別に、事件というものは、記録上はない」

山形「執事にもう一度、詰め寄ろう。それをネタに」

「どうする? 朝食前に詰め寄る? それともあとに? ――喉通るかどうか判らないけど、一応、朝食の用意はしてあるみたい」

山形「喉、通る通る(笑)。死体なんていつでも見てる」

「じゃあ、新鮮な肉料理を食べてください(笑)」

琴音「朝から肉料理(笑)」

「これは何の肉ですか?(笑)」

山形「犯人を追い詰めるのに体力をつけるため、確実に食べなくてはいけないのだ」

「というわけで飯食って、――何かしますか?」

山形「執事に、また(笑)」

琴音「気分は悪くないですか?」

「全然」

琴音「昨日行ってない図書室にでも行こうか」

「ところで、もちろんのことですけど、今晩のパーティーは中止です」

相原「ちなみに、鍵を持ってるのは、どなたなんですかね」

「鍵はですね、執事が教えてくれたけど、『私と、晶さま。このふたりだけが、マスターキーを有しております』」

相原「礼拝堂は、中からは自由に鍵がかけられるタイプ?」

「『外からも内からも、施錠のためには鍵が必要です』」

美崎「ふんふん、なるほど。内側からカチャッと閉めるわけにはいかない」

「つまみ捻ったりとか、そういうことではないですね」

相原「ちなみに晶さんは昨夜、鍵を持っていたんですかね」

山形「判らない。調べてないもん」

「『それは、私も判らないですが』」

淀川「礼拝堂だけ特別な鍵なんですか? 他は全部共通?」

「いや、共通というか、礼拝堂以外は複雑じゃないです」

琴音「ピッキングできるってことね」

「うん。ピッキングは普通にできる(笑)」

淀川「マスターキーが一本あれば、礼拝堂も他も開いちゃうんですか?」

「ですね」

美崎「礼拝堂も開くし、佐伯さんを部屋から連れ出すこともできるわけですよね。執事か晶さんは」

山形「晶さんは起きてますか?」

「『目は覚まされましたが、どうやら混乱されてるようで――』」

山形「ちょっと、会わせてもらってよろしいですか?」

「『もうちょっと落ち着くまで、お待ちいただけないでしょうか』」

山形「一応、警察なので――待ってられん。どういう状態なのか確かめたいので」

「『いや、そう言われましてもね――』」

山形「押し通す」

「<言いくるめ>か<説得>振ってください」

山形「(コロコロ……)失敗したぁ!(笑)」

「会わせてもらえませんでした」

淀川「鍵のある場所は、今どこでしょう?」

「鍵の場所ですか? 『ひとつは私が。――もうひとつは、晶さまが直接お持ちか、でなくともお部屋にあることは間違いないでしょう』」

淀川「見ることできないのかな、どこにあるのか。それによって、誰が開けられたかが絞られてくる」

「晶さんが持っているか、部屋の引出にあるか、ってところでしょうね」

淀川「今は確認できないと」

山形「執事さんに、榮太郎が消息不明から死亡になった経緯みたいなのを、カマかけてみる」

「ドキドキドキドキ……(笑)。目に見えて動揺してるね」

山形「経緯を訊きたいんだが! ――ああ、また失敗するかな」

「いや、これは振らなくてもいいです。『そ、それは、ちょっと、ここでは何ですので――私の部屋に――』」

山形「部屋に? 行く行く」

「さて、その間、他の五名様は?」

山形「(淀川に)来るなよ、お前(笑)」

淀川「学生探偵は<忍び歩き>の準備をしてるんですけど(笑)」

美崎「足で調べるタイプですね。話を訊いて推理するだけじゃなくて(笑)」

「――ジャーナリストおふたりは何をしてましょう?」

相原「そうですね、とりあえずは、礼拝堂をもう一度調べてみたいんですが、それだと現場荒らすことになるんですよねぇ」

山形「鍵掛けてもらうようにさっき言ったよ、執事さんに」

淀川「執事の話、聞きたいな。――絶対あの刑事は話してくれない。自分で聞くしかない!(笑)」

琴音「どこかから、壁の中側に入れれば、蟹のように移動して――」

淀川「たぶん見てるんだろうな。ベタベタと出ているものは」

琴音「ああ、そっか」

淀川「入ったらベトベト」

山形「一応、信用しているものとして、西谷に他の部屋もちょっと調べてくれないか、と。今、執事に尋問してくるから」

西谷「解りました。(相原に)一緒に廻っちゃいましょう」

相原「一緒に行っちゃいましょう。一階の寝室とか物置のほうから、調べてみましょうか」

西谷「一番奥から行ってみますか」

相原「物置のほうからグルッと廻って、」

西谷「執事室の前まで調べて、」

相原「そして二階に上がって、空室、物置から、客室A、Bまで」

「はい、そんな感じですね。――じゃあ、結局、淀川さんはどうするのかな?」

淀川「(琴音と美崎に)ふたりはどうするんですか?」

美崎「図書室に行きますね」

淀川「どうしようかな。じゃあ、探索につきあいますわ。どうせたぶん、刑事のところに忍び込むのは失敗するから(笑)」

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