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Act.11 殺人は繰り返されるものである



この手の掛金に細工をして密室を作るトリックには、
実に沢山のヴァリエーションがあるからねえ。

― 鹿谷門実

(綾辻行人 『黒猫館の殺人』)



「夜」

美崎「蛇なんかどうでもいいから、早く帰りたいわよ」

「寝ちゃう?」

琴音「寝ちゃいます」

「眠っている人は<聞き耳>の半分。起きている人は<聞き耳>振ってください」

淀川「何時ぐらいですか?」

「深夜一時過ぎということで」

(コロコロ……)

「聞こえた人ー?」

相原「はい。俺だけかよ!(笑)」

山形「何か考え事してたんだろう。聞こえない」

淀川「ぐぐー。ぐぐー」

「相原さん、また礼拝堂のほうから何か物音が」

相原「今度は何ですか? 悲鳴ですか? それともぐちゃぐちゃって音ですか?」

「まあ、嵐が吹き荒れてるような。家具が踊るような。どったんばったん」

相原「西谷と山形を起こして――」

山形「この隙に晶の部屋へ(笑)」

相原「いや。私は、とりあえず、扉が開かないことを確認してから執事の部屋に飛び込むから、その間にみんなは晶の部屋へ」

西谷「でも同じでしょ?」

琴音「下に行くことには変わらない」

相原「執事の部屋に飛び込もう」

「それじゃあ、この廊下での騒ぎが聞こえるでしょうから、皆さん<聞き耳>普通に振っていいですよ」

(コロコロ……)

淀川「あっ(笑)。爆睡中。おやすみなさーい」

美崎「あ、やっと判りましたね」

琴音「やった」

美崎「何よ、うるさい。とプンプンしながら起きます」

「じゃあ、ワンテンポ遅れて外に出ることになります。
 では、下におりた三人。執事の部屋をノックすると、すぐに六平さんが出てきますね。晶さんの部屋をノックしても、反応はないですね」

西谷「その場合、執事ふん捕まえて、何で晶さんの反応がないんだ!? と言う」

「『えー、奥の部屋でお休みだと思うのですが』」

西谷「開けろ」

「(笑)『解りました。一刻も早くお知らせしないといけませんね』と言ってガチャリと鍵を開けた。書斎の鍵ですね。ノブを回して開こうとするのですが、開きません」

西谷「なぜだっ?」

「恐らく――内側から掛け金が」

西谷「ああ、鍵は開いてるけど」

美崎「さすがだぜ。お金持ち」

相原「細い隙間から何か入れて――」

「できないですね。ぴったりとドアは閉まっています」

西谷「どういうことなんだ!? 明らかにおかしいだろ? と執事に充分印象づけたあと、ぐずぐずしててもしょうがないから、礼拝堂に全員取って返して、開けて飛び込みますね」

「取って返した頃には、物音は止んでるね。で、全員揃っちゃっていいですよ」

淀川「え? 僕も起きていいんですか?」

「まあ、誰かが起こしてくれたということで」

美崎「淀川を叩き起こしましょう」

淀川「やったー!」

「――ガチャリとドアを開けますと、まあ、例のような惨状ですが、そうですね、前の首なし死体の位置が派手に動いてるね。ずれてるね」

西谷「ああ」

相原「他は?」

「他はですね、服装からして――というか服からして、滝口かほりさんですね」

相原「ああ、また死んでる」

「しかし、」

琴音「中身がない」

「YES! 服しか置いてない」

美崎「ん?」

琴音「お爺ちゃんと同じ」

「うん、そんな感じですね」

琴音「芳樹と同じだ!(笑)」

山形「二回目は成功したんだ……いや、成功したかは判らないか」

「で、全員(時間がないので)急いで<目星>を」

(コロコロ……)

相原「成功です。14」

淀川「成功」

「えーと、あ、その前に、怪奇現象なんで、一応<正気度>ロールをしてください(笑)」

(コロコロ……)

山形「<正気度>ロールは成功するんだよなぁ」

淀川「失敗しやした」

美崎「ああ、やべっ! 失敗した! 恐い、恐い」

西谷「失敗」

「失敗した人、1D3減らしてください」

(コロコロ……)

淀川「MAX(3)減りました。ひとり脅えてます」

美崎「やだもう、とか言ってますね」

西谷「1。よかったぁ」

「さて、それはそれとして、礼拝堂の左側の壁の真ん中あたりに、一枚だけタペストリーが掛かったままですね。他は全部落ちている」

美崎「左側? ここか……」

相原「この前は落ちてた?」

「この前は全部綺麗に落ちてました。でも今回は一枚だけ掛かっている」

山形「そこを調べる」

「どう調べるのかな」

西谷「まず絵柄の内容」

「絵柄はですね、みすぼらしい男が跪いてて、その男には鎖などが巻きついてたりもしてますけど、その前にイエスが立っていて、手かざしをしているという、そんな感じですね」

山形「そういえば、隠し扉がありっぽいなぁ」

西谷「手に取ってみて――どういうふうに固定されてるのかな」

「上のところだけで引っかかっていて、ぺろーんと捲ってみることは可能です」

西谷「捲っちゃいますね」

「はい、捲っちゃいました。――壁にですね、幅は一メートル弱、高さは一メートル半ぐらいの、奇妙な紋様が描かれている。まるで浮き出ているかのごとく、染みのような紋様が」

美崎「ははあ。こないだまではなかった?」

相原「なかったですね」

「<クトゥルフ神話>ロールしてみてください」

琴音「(コロコロ……)ああ、全然判んなかった」

美崎「判んねえ」

相原「ちなみに、何となく、そこらへんにある物を放り込んでみますが」

「(笑)"放り込む"って表現をもう使っているのが面白い。――放り込めた(一同笑)」

美崎「あららぁ(笑)」

相原「追いますか」

山形「追いましょう」

相原「ということで、みんなで飛び込む(笑)」

琴音「ええっ!」

淀川「飛び込むの?」

美崎「厭よ、そんなの!」

琴音「それより滝口さんを――」

西谷「滝口さんの下着を(一同笑)」

美崎「こんなときも色気ですか(笑)」

「下着もあるよ」

西谷「もちろんそれを確認のうえ回収」

「(笑)」

淀川「ここには全員来てるんですか?」

「この場には、晶以外全員来てます」

西谷「なるほどね」

淀川「今放り投げたとき入ったのは、壁を抜けたってことなんですか?」

「何か、向こうにスッと消えた(笑)」

琴音「どうして?」

「<正気度>ロールしてもいいくらいの怪奇現象ですが、まあいいでしょう」

西谷「滝口の服を回収したときに、他に余分な物なかったですか?」

「そういうのは――ありました!」

西谷「ありました?」

「うん。例の紙(礼拝堂にひとりで来るよう書いてある紙)。恐らく、同じ人が同じように作った物であろう」

相原「もはやこれで晶さんの犯人が確定だ。――ということで飛び込みたいんですが」

西谷「歌いながら今すぐにでも飛び込んでいきそうだな」

相原「特攻隊長で飛び込みましょう」

琴音「ええ〜。やだ〜」

西谷「プレイヤーとしてはやだけど、キャラクターとしては止まんない(笑)」

美崎「キャラクターも厭ですね」

「じゃあ、西谷が飛び込んじゃいました」

琴音「人が消えた!(笑)」

山形「結局、何人が?」

「三人(西谷、相原、山形)。目も眩むような、もの凄い吐き気を催すような、一瞬の空間旅行」

美崎「うわあ」

「飛び込んだ人、自動的に正気度とMPが1ずつ減ります」

琴音「あ、でもMP1だった。近いからね」

「そして――にゅうっと、どこかに出てきましたね(笑)。ええと、ここは、見たことのない部屋ですが、まあ恐らく、晶の寝室でしょう」

西谷「あぁあ」

「そこの東側の壁からにゅっと出てきた」

相原「ちなみに、何か武器になりそうな物って、礼拝堂に落ちてませんでしたか?」

「ないですねぇ」

西谷「燭台でも盗んでくればよかった」

「でも<幸運>ロールに成功したら、程よい長椅子の切れ端を見つけたことにしてあげましょう」

山形「私は既にナイフを持っているので」

(コロコロ……)

西谷「全然駄目ですね」

相原「(コロコロ……)成功です」

「じゃあ、小さい棍棒(命中率25%、ダメージ1D6)を手に入れた」

相原「(笑)」

西谷「滝口の服を身につけてアーマークラスを下げよう(一同笑)」

美崎「何ですかアーマークラスって(笑)」

山形「D&Dじゃないんだから」

「――ここは寝室ですが、豪華なベッドや家具やら……壁にね、ショットガンが飾ってあるね」

山形「ショットガン。――弾は?」

美崎「得物ですよ得物」

「入ってはいない。――えーと、それとベッドがですね、どうやらもとあった場所から移動しているらしくて、――――地下へ〜の縦穴〜♪」

琴音「穴が〜♪」

「あっるよ〜♪」

相原「ショットガンの弾を探したいんですが、とりあえず」

「さて、残された人たちはどうしましょう(笑)」

琴音「とりあえずびっくりしてるわな」

相原「あっ、開けられます? 書斎のドア?」

西谷「掛け金外します」

「書斎に廻って掛け金を外すことは、もちろん可能です。ちなみに、寝室にも書斎にも、誰もいません」

相原「じゃあ、展示室までダッシュしていって、そこでフェンシングの剣を持ってきてもいいな」

西谷「そうだ。走っていって――二本ありましたよね? フェンシングのサーベル」

相原「上に行って呼んでくるから」

山形「ショットガンの弾を探す」

「<目星>です。これは」

山形「(コロコロ……)失敗しました(笑)」

西谷「頑張りますんで。(コロコロ……)成功」

「弾はですね、小さい箱ひとつ。二十発入りのが」

西谷「これは結構いいかもしれない」

「それでは皆さん、あら、下から相原さんが来たぞ、ということに気づいて――」

淀川「よかった、入んなくて(笑)」

山形「無線で――犯人確認。犯人、晶。以上――ピッ」

相原「証拠は?(笑)」

山形「それしか言わない(笑)」

琴音「ところで、他の人たちはどうしてるの? 私と同じようにびっくりしている?」

「もちろんびっくり。――庵だけ平然としている」

琴音「訳した人だもんね」

相原「どたどたどたって上がってきて、――下に行くだけだ! 晶の部屋に通じてるぞ! って言う」

美崎「琴音ちゃん、こんなとこにいるの危ないよ! 早く出ようよ! って」

琴音「出るって、どこに?」

美崎「判んないけど、こんなとこにいたら危ないよ! 絶対死んじゃうよ! って、狂乱ですね」

相原「――庵がそこにいることを確認したら、全て話してくれよ、って言う」

「ああ、なるほど。まあ、『皆さんご承知のとおりですよ』と言う」

琴音「全然ご承知じゃないよー」

相原「晶はいったい何しようとしてるんだ!」

「『たぶん、自己満足のためでしょうね。心の中までは僕も解りませんけれども』」

相原「何の儀式をしてるんだ?」

「『それは――ご本人にお会いすれば、全てはっきりすると思いますよ。僕の口からわざわざ言うまでもない』」

西谷「面倒臭がり屋なんだから(笑)」

「うん。まさに面倒臭いって感じだね。『別に僕が言うよりも、本人に訊くほうが手っ取り早い』」

相原「ほう。じゃ、君にも来てもらおうか」

「え?」

山形「引っ張っていくの? 無理矢理」

淀川「よく解んない強引さだ(笑)」

相原「何ならここで、もうひとり壁に突き飛ばしてやってもいいぜ」

美崎「居合わせた人間がどんどん狂気に陥っていくという(笑)。――やっぱり『シャイニング』だったんですね、これ(笑)」

西谷「そうでしょうね」

山形「『クトゥルフ』らしいじゃないか」

「『それじゃあ僕は遠慮させていただきます』」

相原「じゃあ言えよ」

「言わない」

相原「言わないなら突き飛ばす!」

琴音「(笑)」

淀川「なんか、喧嘩しようとしてる」

山形「喧嘩してんの二階だから、こっちは止められない」

西谷「迎えに行ったほうがいいのかな。相原さん何やってんですか!? って。滝口の下着を身につけながら――(一同爆笑)」

美崎「何やってんですか!?(笑)」

山形「そっちのほうが変だよ(笑)」

西谷「頭から下着被って、サーベルもシャキーンと抜いて。この姿に畏れを為した庵が、西谷に恭順の意を表して喋る(一同爆笑)。
 要するに、馬鹿記事しか書いてない三流記者じゃないですか。だから当然、風俗ネタが一番こいつとしては――」

山形「何でそうなるんだよ!(笑)」

美崎「理路整然としてるんだか狂ってるんだか判んないですよ(笑)」

西谷「理路整然と狂ってるんですよ(一同爆笑)。こいつはね、蜂と蛇の話のときから、普通の精神じゃなくなったんだよ」

美崎「『シャイニング』だよー」

「それじゃあ、その格好で上がっていくと――」

西谷「上がっていって、来い! と呼び出しだけかけて、また走って戻る」

山形「恐い(笑)」

美崎「客室に逃げ込んでいって鍵掛けますね。――もうやだ! 厭よ、こんなの! 絶対おかしいよあの人!」

西谷「甲冑に見えてあまり違和感ないと思うんだが(一同爆笑)。あまりのスピーディーさで」

相原「毒気が抜かれてしまったなぁ」

山形「――縦穴を下りるのは<登はん>?」

「梯子です」

山形「梯子」

相原「それはさておき、庵の反応は?」

「ちょっとびっくりした(笑)」

西谷「駄目かぁ」

美崎「そりゃあびっくりしますよ」

「とにかく庵さんは、同行は拒みますので」

相原「うん。まあ、何の儀式か言ってくれよ。そうすれば別に無理強いはしないよ」

「『あなたに無理強いする権利はない』」

相原「これだけ人が死んでてもか?」

「『うん』」

相原「うん、じゃねえよ! これだけ人が死んでるのに、何が"うん"だよ」

「『僕には興味がないことですから』」

相原「知ってんのか知らねえのかどっちだよ! はっきりしろよ、お前!」

「『知ってはいますけど、別に――』」

相原「知ってるなら言えよ。知らないなら知らないでいいから」

「『じゃあ、知りません』」

相原「それならそれでいいんだよ。じゃあ、知らないなら見に行こうな!(大笑)」

山形「そこまでするかぁ?」

相原「とりあえずあんたは殺人幇助の疑いがあるので」

琴音「庵さんが非常に気になるんだけど、逆に恐いんだよね(笑)」

相原「つまり殺人幇助でいいんだな!? ということは、みんなに聞かせてますけどね」

西谷「下着何色ですかね?」

山形「(笑)そんなの知るか!(笑)」

西谷「忘れてください」

山形「先に進もうよ」

相原「私も戻ります」

「はい、戻ってください」

山形「――穴の下は、電気点いてますか?」

「うん。あ、ところで他の学生はどうするんですか?」

琴音「どうする?」

美崎「学生は――恐いんで、客室に逃げ込みます」

相原「淀川連れていくかな」

淀川「<正気度>ロール失敗してるから、ひどくドキドキしているよ」

琴音「うーん、でもあの滝口さん、芳樹と同じだったんだよなぁ……。ちょっとこれは、対決――というか――、まあ、懐中電灯持っていれば何とかなる、の精神で行こう。
 私は行くわ、と言って」

美崎「えっ!? 琴音ちゃん、危ないよ! って言って、ヨロヨロついていきますね」

淀川「後ろから淀川もヨロヨロとついていく(笑)。もう、腰抜けてるから」

美崎「淀川役に立たない」

相原「ということで全員寝室に行きました」

山形「西谷に、何て格好をしてるんだ! と言ってから――」

西谷「あまり聞いてないけどね。――ヤツはどこだっ!」

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