Opening Act. 1 Act. 2 Act. 3 Act. 4 Act. 5 Act. 6 Act. 7 Act. 8 Act. 9 Act. 10 Ending
― セッション終了 ―
この事件が私にとって何であったかを知るには、
やはりそれからの長い苦しい時間が必要だった。― 島田荘司 『異邦の騎士』
<一同>「お疲れさまでした」
森谷「琴音さん、ご冥福をお祈りいたします。今まで色々と楽しんだり楽しまなかったりしてきた琴音ちゃんが、ついに、やられてしまいましたね」
琴音「ついに」
K「生き残った方で、発狂された方。神話的事件で初めて発狂したので、<クトゥルフ神話>が5%増えます」
南田「はーい」
K「次に生き残った人全員、初めて神話事件を体験した方には5%、二回目以降の方は1%差し上げます」
南田「いきなり10%だ」
K「僕のはキャンペーンじゃなくてキャラクターの寿命が短いので、<クトゥルフ神話>は最初だけやや多めにあげるようにしています」
(続いて正気度の回復/上昇です)
K「生き残っただけでもかなり勇気はつきましたので、1D10増えます」
南田「(コロコロ……)すげー赤字だな」
山形「(コロコロ……)10ーっ!」
森谷「(コロコロ……)おっ、4。ほぼ全快ですね」
琴音「そんだけしか減ってないの?」
K「あとは経験チェックをしてください」
南田「1個しか技能チェック入らなかったなあ」
(各自、役立った技能の成長ロールをおこないます。今回はあまり成長しないシナリオでしたね)
南田「AD辞めてお笑いになろう、やっぱり。ついていくっすよ、先輩」
森谷「神話お笑いとかどうだ?」
南田「いいですね。――そんなにゃるな!」
森谷「(笑)乾いた笑い。ははは」
南田「ナンダモリヤって名前で」
(なんだかんだで終了です)
―― 『妻守山の人喰いの森』 了
(プレイ時間:310分)
あとがき
一体、君は何人殺したね?― 藤木稟 『ハーメルンに哭く笛』
一読していただければお解りのとおり、某新興宗教団体の一般信者に対する日本国民の一部の人たちの行動と言動に義憤を覚え製作されたシナリオです(解らないって、そんなの)。義憤という言葉が正鵠を射ていないのであれば、自戒の念と換言しても差し支えはないでしょう。とは言いましても、神も仏もオカルトもまったく信じていない僕ですし、例の宗教団体とよい関わりを持った経験もまるでございませんから、僕が彼らの肩を持つ理由も義理もありません。同様に、彼らの人権を無視したり侵害したりする権利もありません。ただ、それだけです。自分で自分の首を絞めるのは厭です。可能ならば愚かな真似は控えて暮らしていきたいものです。とても難しいことですが、他人の意見や評価を気にせず生きてゆきたいものです。ただ、それだけです。しかし僕は、回覧板で廻ってきたその団体のマンション入居反対署名用紙に氏名を記入しました。右に倣いました。他人の多数決に身を任せました。現在居住しているマンションの大家さんと不仲になりたくない、という些細であり同時に切実な理由で。ただ、それだけのことです。
話題は変わって、ミステリの両極、「本格派」と「社会派」について。あるときは対立し、あるときは融合し、我々を楽しませてくれるそれぞれまったく違ったジャンルですが、ひとつ共通点があります。それは、いずれも作者が恥を棄てなければならないということです。本格探偵小説では、現実にありえないような状況でエキセントリックな登場人物ばかりがひしめき、子供のいたずらのような児戯に満ちた大仕掛けで壮大な嘘を語ります。これはかなり恥ずかしいことですが、作者は真剣にトリックを考案し、プロットを組み上げ、ストーリーを綴ります。一方社会派といえば、作者は大上段に構え、読者に向かって高らかに正論を振りかざさねばなりません。これも凄く恥ずかしいことです。しかし、少しでも躊躇いを見せてはなりません。迷いを見せては正論は崩れてしまいます。自信のなさを窺わせては、繊細なトリックも巧緻なプロットも壊れてしまいます。何か大切で素敵だなと思えることを閃いたら、あと必要なのは傲岸不遜なまでの自信だけです。成功を祈り、頑張りましょう。
――と、自信満々に大嘘をついたところで閑話休題。今回のシナリオは、ストレートに恐怖を演出しようと試みて創りました。わけの解らない恐さ、独りになる恐さ、純粋に命を狙われる恐さ、といったものです。ストーリーは二の次です(それはいつものことか)。まさに『ブレア…』なお話ですね。これまでは神話存在(しかも神性)に正面から立ち向かって、あまつさえ撃退してしまうという話が多かったような気がするので、今回は真逆の「ただ逃げるしかない」という状況を作りました。脹れ女を撃退する方法はたぶんないでしょう。
謎が山積みのままですが、それは次回にほぼ明かされることでしょう。明かされるかもしれません。明かされるんじゃないかな。明かされるといいな。ちと覚悟はしておきましょう。別に明かされなくたっていいじゃんか。明かされないといけないのか。
―― 2002/08/05 Trapezohedron.
【影響を受けた作品】
映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』ダニエル・マイリック&エドゥアルド・サンチェス監督(ハクサン・フィルムズ)
『暗闇坂の人喰いの木』島田荘司著(講談社ノベルス)
『ハーメルンに哭く笛』藤木稟著(トクマノベルス)
『ドルイド教の祭壇』(『暗黒界の悪霊』収録)ロバート・ブロック著/柿沼瑛子訳(ソノラマ文庫)
【オマケ】
脹れ女のデータ【◆】
浅賀助教授の資料(テキストデータです)【◆】
Opening Act. 1 Act. 2 Act. 3 Act. 4 Act. 5 Act. 6 Act. 7 Act. 8 Act. 9 Act. 10 Ending
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Darts/9144/Replay/Mp/pre.htm