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Act.7 小屋と牢獄



あの時代、影の部分ではこのような陰惨な事件が起こっていたのである。
そう、この事件は、間違いなく暗いあの時代を引きずっていた。
あの時代への理解を抜きには、到底語ることができない。

― 島田荘司 『暗闇坂の人喰いの木』



(場面転換・琴音)


琴音「今の銃声は聞こえるんでしょうか?」

「聞こえないです」

琴音「じゃあ、南へ行きます」


(場面転換・三人組)


森谷「パーティーは、川を遡上します」


(場面転換・山形)


山形「洞窟」

「中には何もないです」

山形「じゃあ、北へ」

「岩手くんと同じコースになりますね」

山形「あ、そっか、トロッコの合流地点に行くってメモあったんだから、レール沿いに」

「はい、切断されたレールのところに来ました」

山形「先へ進もう」


(場面転換・琴音はさらに南下。三人組は北上し、丸木橋を見つけます)


森谷「渡って向こう岸に行ってみるっていうのも面白いかなと思いましたが、とりあえず、渡らずに川沿いに真っ直ぐ進みます」


(場面転換・山形は線路沿いに移動)


山形「線路に耳を当ててみて、音がするかどうか」

「しないです」


(場面転換・琴音は北東へ)


琴音「自分のテントがまだ見つけられないんすけど(笑)。自分のテントって、どこにあったんだろう」

「(逆方向だよーん)」


(場面転換・三人組は北上し、滝に行き着きます)


「崖の上から落ちてくる滝です」

森谷「滝はもちろん、登れそうにないですよねえ?」

「もちろん。普通の崖より大変そう」

南田「戻ろう戻ろう。で、また待ちましょう。誰か帰ってくるかもしれない」


(場面転換・琴音は北東へ行き、血溜まりに足を入れてしまいます)


琴音「血溜まりだー。きゃー」


(場面転換・三人組)


「はい、ズッコケ三人組」

森谷「ていうか三人祭は、川を戻っていって、分岐点に戻ることにしましょう」

「丸木橋に来ましたが、渡るんですか?」

南田「渡りません」

森谷「うーん、俺こっち行ってみるわ、って勝手にひとりで橋を渡っていっちゃいます」

「普通に渡るなら渡れます」

南田「別れるよりは、一緒に行きますよ」

都筑「うん、そうですね。じゃあ、全員渡ります」


(三人組は橋を渡って北西へ移動。場面転換・山形)


「転轍機に来ました。で、トロッコがありまして、例の、色々書いてあるメモが」

森谷「みんなのこととか、事件のあらましを書いたメモが置いてあります」

山形「結構な人数が来てるなぁ、この森には。――保護しなければ(笑)」


(場面転換・琴音は南東へ)


「茂みの中から、ガサガサガサと何かが動いているような物音が」

琴音「はっ! 誰? 誰?」

「誰でしょうねえ。何も起きずに、そのまま音は消えてしまった」

琴音「木村くん、聞いた? 今の」

「『聞いたけど』」

琴音「うーん、ついていってはいけないんだろうなあ」

「北のほうに動いていったような気がした」

琴音「自分の行きたい方向じゃないんだよなあ、そっち。……でもいいや、ちょっと行ってみましょ」


(場面転換・三人組)


森谷「壁沿いでしょうかねえ、出口を探して」

「地面に大きな穴が空けてありまして、そこに布やボロ切れやら、動物の骨やらが、いっぱい入ってますね」

森谷「下りれそうですか?」

「ええ、簡単に下りて上がってこられます」

森谷「下りて、何やら探してみたりとかしますが」

都筑「また死体とかあるかもしれないし」

「死体というのは、動物の死骸ぐらいですね」

森谷「あんまり触りたくないなあ」

都筑「大きさ的に、たいしたことないんですか?」

「その穴? 結構な規模ですよ」

森谷「目を引くものとかないでしょうか」

「ゴミばっかですから」

森谷「このへんに誰かが住んでいて、これをゴミ捨て場にしてるんではと、勝手に推測したりなんかしてます」


(場面転換・山形)


山形「移動します」

「どちらへ?」

山形「推測するに、このまま真っ直ぐ行ったら森の出口で…………出口のほうへ行く」


(場面転換・琴音)


琴音「そのガサガサを追う形で」

「何もないですね」

琴音「ガサガサはいますか? もう消えちゃいました?」

「うん、何も聞こえない」

琴音「なんだったんだろう」


(野兎だったんだろう。あるいは、琴音と山形を出会わせようというキーパーの策略だったんだろう。だけど山形が離れて行っちゃったので失敗に終わったんだろう。どうしてこんなにもニアミスが多いんだろう。多すぎるんだろう)


(場面転換・三人組は壁沿いに移動)


「お、ひさしぶりに資料が落ちていたぞ」

森谷「おや? 誰か撒いてる奴がいるんですよねえ」

 この夜、部落民のほぼ全てが殺された。彼らは皆焼かれ、火事で焼死したことにされた。全員で口裏を合わせてしまえば、犯罪など起こらない。
 からくも生き延びた部落民たちが何人か、北の山中へと逃げ込む姿が目撃されている。翌朝に徹底的な山狩りがおこなわれたが、彼らの行方は杳として知れなかった。どうやら、妻守山の奥地に広がる盆地内の樹海へと逃げ込んだものと思われる。足を踏み入れた者が確実に迷い、のたれ死ぬとされている魔の森である。鳴兎子の者が「人喰いの森」と称し



(場面転換・山形は南西へ。次いで琴音は北東へ)


琴音「デジカメの祭壇の写真、何時ごろになってた? 襲撃前の時間? 襲撃後の時間?」

「襲撃後ですよ(そりゃあ当然)」

琴音「襲撃後に撮られたもの」


(場面転換・三人組は壁際を移動)


「いくつか、骨が散らばってますねえ。人骨ですねえ」


(困ったことに、一同無反応)


(場面転換・山形は北へ)


「荷車がある」

山形「そのへんをちょっと<目星>」

「例のメモ以外に何もないよ」


(場面転換・琴音は北東へ)


「沼があって、キャンプ跡」

琴音「あー、やっと来たー。自分が逃げちゃったあとのテントを色々見てみましょう」

「かなり物色された跡がありますね。それと、黒焦げの死体がひとつ」

琴音「それってもしかして助教授」

「そう」

琴音「そこでしばらく、みんなの名前を叫んでましょう。木村くん、あんたも叫ぶのよ」


(場面転換・三人組は壁際に)


「ここの地面は、ところどころ盛り上がってる箇所がいくつかありますね」

都筑「ただ山になってるだけなんですか?」

「そうですね。で、こんなものが落ちていました」

 論理的思考など発生する余地はなかった。鳴兎子の人々にとって重要なことは、部落民を根絶やしにしなければならないという強迫観念であった。無論それは、勝手で一方的な決めつけと予断から生じる差別感情が根底にある、どうしようもないほどにくだらない、しかし強烈な、集団意識の発露であった。
 燃えさかる鳴兎子を背に、暴徒の行進は集落へと迫った。手には棍棒、包丁、鎌、鍬、思い思いの得物を持って。
 詳細を書くことは避けるが、夜明けを迎える前に部落民の虐殺は終了した。寝込みを襲われたうえに、多勢に無勢である。しかも意気込みからして違う。殺意を持つ者と持たぬ者の差。しかも部落民には見せ物小屋の畸型が何十人といる。手足がない彼らに、いった

(場面転換・山形は北西の橋へ。一方、琴音は南東へ。努めて他のPCから離れていこうとします(笑))


「死体がゴロン」

琴音「えっ、誰ですか、それ」

「顔が切り刻まれた見知らぬ人。<正気度>ロール」

琴音「久しく何も見なかった。(コロコロ……)成功」


(場面転換・三人組は壁際に南下。山形は真っ直ぐ北西へ行って三人組と合流――するのかと思いきや、南西へ(笑))


「そして山形さんは、また資料を発見です。資料長者」

 最初に誰が言い出したのか。これも判っていない。あるいは、皆が同時に言い出したのかもしれない。
 ――部落民が火つけをおこなうのを見た。(いつ、どこで、誰が、といった事項を問い質す者はひとりとしていなかった)
 ――部落民は我々を焼き殺して全滅させようとしている。(先に暴力を振るったのはどちらか。それに、彼らは今まで暴力を振るったことがあったのか)
 ――その証拠に、部落民の集落はこの大火を免れているではないか。(実際には、集落が町外れであったために飛び火しなかったということは言うまでもない)



(場面転換・琴音)


琴音「じゃあ、死体を見た恐怖で、ちょっとこっち(南西)のほうに」

「で、こちらでも見つけます」

 どこの家でも皆ぐっすりと寝静まった深夜のことである。炎が燃え広がり町を襲う怪物へと成長を遂げるさまを見たという者はいない。気がついたときにはもう、自分の寝床が紅蓮に囲まれていたのだ。
 逃げ遅れた者多数。目を覚ますことなく煙の中に息絶えた者も少なくない。
 内陸部の山村が、ようやく町と呼べるほどに発展を遂げた矢先の出来事である。区画整理の計画など、はなから立てているはずもなく、狭い区間に幾つもの木造建築がひしめき合い、寄り添うように隣接していた。建物の間に自然とできた隙間が路地と呼ばれ、比較的幅のある路地が道路と呼ばれていた。

琴音「でも全然、菜摘さんとか会わないんだよねえ。どうなっちゃったんだろう」


(場面転換・三人組)


森谷「壁沿いに南下します」

「えーと、男がひとり立っているのを見つける」

森谷「男がひとり? じゃあ、おーい、と」

「杖をついてる男だね(笑)」

山形「あれっ?」

森谷「大学の方ですかぁーっ?」

南田「こんにちはー」

山形「警察です!」

森谷「ふえっ!?」

山形「迷い込んだ人たちですかー?」

南田「助かった、警察が来た。じゃあ、帰りましょう」

森谷「あの道は通れるようになったんですね!」

山形「いえ!(一同笑) 崩れたまんまです」

森谷「ぎゃー! 助けに来てくれたんじゃないんですか」

山形「お怪我はありませんか?」

都筑「犯人誰なんすか、犯人は!」

山形「いや、犯人は射殺しました」

森谷「じゃあ、あとは出るだけ?」

山形「そうですねえ。――言いながら銃構えてるけど(笑)。ライトついてるから」

南田「こっちも鎌構えてる(笑)」

山形「鎌ね。……鎌ぁっ!?」

森谷「あ、いや、こいつは関係ないんです」

琴音「血濡れた鎌で(笑)」

山形「もしや、犯人の仲間では! ……あ、そういえば、タレントさん(笑)」

南田「そうですよ」

山形「それで納得、ということで」

南田「とりあえず――我々の他に、誰かいなかったんですか?」

山形「いや、まだ見てませんね。同僚がもうひとりいるんですが、今、出口を向こうで探してます。無線機があったので、それで報告してるんですけど」

南田「さっさと分岐点に戻って、誰かが待ってないか見に行きましょう」

山形「いや、ちょっと待ってください。私はもうちょっと捜索します」

南田「じゃあ一緒に行きます。バラバラに動くのはやめましょう。あなたにどこまでもついていきます」

森谷「警官がいれば心強いし」


(互いの地図と資料をつきあわせる一行。山形の行動順に北上しました。で、琴音は南西へ行きレールに出ます)


「パーティーはさらに北上しましたね(出会った場所の北の北)。ここですが、木から何かぶらさがってますね」

森谷「刑事さん、刑事さん、と言いながら照らしますね」

「照らしました」

山形「死体?」

「ですね」

山形「新しい?」

「ですね。逆さになってます」

森谷「逆さま? 僕らの中に見覚えのある方は?」

「うーんと、首がないんで断定はできない」

森谷「首がない……」

山形「SANチェックじゃん(笑)」

南田「ここにある首じゃないですか?(秋原の生首を指して)」

森谷「なるほど。それだ」

(コロコロ……)

南田「失敗しちゃった」

「1D4でいいです」

南田「(コロコロ……)恐ろしい。首は恐くないが、胴体は恐ろしい」

森谷「どんなふうにされてるんですか? 上から足とかを紐で結ばれて?」

「そうです」

森谷「で、首がない」

「そう。死体の下に、血がいっぱい溜まっている」

都筑「さっきの血溜まりに足を入れたとき、もう一個死体があったのかもしれないな」

森谷「とりあえず、死体を下ろそうと思うんですが。木にくくりつけられちゃってるんですか?」

「木からロープでぶらさがっています」

南田「任せてください」

「<登はん>どうぞ」

南田「(コロコロ……)シャカシャカシャカ。下ろしますよー。スパッ」

森谷「わーっ」

「どちゃ」


(場面転換・琴音はさらに南西へ。そして四人組は北東へ)


山形「あ、なんかあるらしい」

「お家がある。木造建築二階建てのようです」

森谷「家? 誰か住んでるんだ」

南田「中に入ってみましょう」

森谷「わーい、やったー、家ですよー」

「もちろん、見るからに空き家ですけど」

森谷「ここに犯人が潜伏してるかもしんないっす」

山形「<聞き耳>(コロコロ……)失敗」

(コロコロ……全員失敗)

「何も聞こえないですね」

山形「うーん、何もいないみたいだ。でも、調べてみよう」

森谷「中に入ってみたいですね」

山形「一般市民は危険ですから!(笑)」

南田「私、芸能界の人間なんで(笑)。一般市民じゃありません」

山形「じゃあ、一緒に(笑)」

(結局、ぞろぞろと入っていきました)

「ところどころ壁が破れていまして、かなり古いなというのが判ります」

山形「サバイバルゲームにぴったし」

森谷「建築された年代とかって、判るでしょうか?」

「うーん、かなり古いとしか」

森谷「入口は土間なんですか?」

「土間ではなく、ほんとに小屋といった感じ」

山形「私は二階を調べるので、一階を調べてください」

都筑「床がないとか? もしかして」

「床はありますね」

森谷「そうですね、手分けして探しましょう」

山形「私、二階行きます」

森谷「じゃあ、僕らは下を」

都筑「あと小屋の周辺を見て回ります」 小屋

「(平面図を見せながら)二階はこんな感じです」

山形「<目星>(コロコロ……)成功」

「床なんですが、結構綺麗ですね。埃が積もっていない」

森谷「誰かが使っていることが判っちゃうわけですね」

「一階の床にですね、四角い上げ蓋が」

森谷「あ・げ・ぶ・た?」

都筑「地下室か」

琴音「やったー♪」

山形「開けてみちゃう?」

森谷「開けちゃいます」

「下へ続く階段が」

森谷「これはひとりで行くのは恐いんで、刑事さんが下りてくるの待ってよーう」

南田「上にのぼって、刑事さんを迎えに行きますよ。刑事さーん、刑事さーん」

山形「二階には何もなかったの?」

「うん」

山形「一階に下ります」

南田「地下室がありますよ」

山形「じゃあ、先頭で」

森谷「大学生が戻ってくるまで待ったりはしないんですか?」

都筑「周りには何もないんでしょうか」

「ないですね。合流していいですよ」

南田「行きましょう」

「下りていった。地下室は細長い部屋になっておりまして、地面を直接掘った感じで、壁も天井も床も土が剥き出しですね」

森谷「階段が設えてある以外は、掘ってそのまんま」

「そう。でも、結構綺麗に掘られてはいるね。角もきちんと。そして、壁の一角に穴が空けられています」

森谷「その中を、ちょっと見てみますが。穴って、どのくらいのもんなんでしょう」

「人ひとりがやっと通り抜けられるくらい」

森谷「んんぅ?」

南田「入りますか、そん中」

山形「入ります」 小屋の地下

「入っていきますね? 入っていきますと――――中ですが、木製の格子がまず目に入った」

琴音「座敷牢だあ」

「そう、牢屋。そして牢屋の中に、動く人影が」

山形「誰何。――警察だっ!」

「そうすると、『えっ!? 警察っ!?』という男の声がする」

山形「このあたりに殺人犯が動き回っているので、保護しに来ましたー、みたいなことを叫ぶ」

「『やった、助かった!』とか言って、格子に飛びついてきました。若い男性ですね。眼鏡かけてる」

山形「名前は?」

「『えーと、えーと、護です。身鍔護って言います』」

都筑「ああ!」

山形「ここが出口?」

「いや、閉じ込められているのですが……」

山形「あなたはどうしてここに入れられたんですか?」

「『それが、訳が解らなくて』」

山形「気絶している間に来たとか?」

「『うん、なんだか――』」

南田「よく殺されなかったな(笑)」

琴音「生贄に取っておく(笑)」

山形「犯人を見ましたか、あたなは」

「『見たと言えば見ましたけど、そんなはっきりとは』」

山形「白い服の男ですか?」

「『白い服は見てないけど――あ、そうだ、菜摘さんを! 菜摘さんも一緒に入れられたんですけど――!』」

山形「どこに? この中にですか? 違う部屋に?」

「『いや、ここですけど。つい先ほどまでいたんですけど、連れて行かれちゃったんですよ、どっかに』」

山形「犯人は? どんな姿ですか?」

「『いやあ、暗くてよく見えなかったんですけど。でも――ひとりじゃなかったですよ』」

山形「うわ、犯人いっぱいいるじゃないか」

南田「ばれた!」

山形「格子をナイフで壊す」

「まあ、壊せます」

山形「で、助ける」

「『やったー。助かったー』」

山形「皆さん、よく聞いてください」

南田「こいつが犯人ですか?」

山形「違うっつーの」

「穴の中から、刑事と身鍔くんが出てきた」

南田「ひょろ眼鏡が」

「『あ、都筑さんじゃないですか!』」

都筑「何やってんのこんなところで」

「『何やってんのって、捕まってたんですよ囚われの身ですよ』」

都筑「誰に!」

「『あと、菜っちゃんも』」

都筑「菜っちゃんはどうしたんだ?」

「『さっき連れて行かれちゃったよ』」

都筑「お前は何をやってたんだー!」

山形「皆さん、よく聞いてください。犯人は、ひとりではありませんでした!」

森谷「なにぃ?」

山形「皆さん集まって、周りをよく警戒して移動しましょう。と言ってから出る」

南田「まあ、これで全員確保できたでしょう」

森谷「いや、まだまだ生き残りがいるかもしれないよーん」

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