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Act.5 死体と地図



でもこういう人に、特別道徳心が欠如しているというわけじゃない。
日本中の人が今、似たようなことを考えて暮らしているのだ。

― 島田荘司 『眩暈』



(場面転換・都筑&南田&森谷は転轍機の隣のヘクスまで来ました。次に山形は川沿いに南下、そして琴音)


「歩いているとね、地面に、木の根っ子とも石ころともちょっと違う感触を足に感じた。ゴリッて固いものを踏みつけた。何か白いものがいっぱい落ちているね」

琴音「厭ー(笑)。骨やーそれってー」

「骨が落ちています」

琴音「新鮮な骨ですか? それとも――」

「新鮮じゃないですね」

琴音「昔の骨か。――き、木村くん、こ、これ、骨、骨、骨」

「『骨だね』」

山形「骨だねって(笑)、あーた」

琴音「いつもこんな人でした?」

「うん」

琴音「じゃあいいのかなあ。パリパリ踏んで歩いてるんですか?」

「いや、踏んでは歩かないけれど」

琴音「ああ、散らばっているわけじゃなくて」

「一角に、何体分か」

琴音「ちょっと待って木村くん、って言って、骨チェック」

「骨チェーック! <医学>2倍」

琴音「(コロコロ……)失敗」

「詳しいことは判らんが、あんまりおっきい骨じゃない」

琴音「子供っぽい骨」

「子供っぽいですね。幼児というほど小さくはないですが」

琴音「足跡と一致するような」

「それはない。では<目星>を」

琴音「(コロコロ……)ああ、やっと成功だ」

「頭蓋骨のひとつをじっくり見ていたら、頭部に丸く穴が空いているのを見つけた」

琴音「外から刺さったふうなの?」

「そこまでは判らない」

琴音「<医学>がないと判んないんだね。うーん、反対側を見てみると? 突き抜けたような跡とか」

「うん」

琴音「もろに突き抜けたような跡? ていうことはきっと、槍とかなんかかな。手を合わせておいてから、――ごめんありがと木村くん、行こう」


(場面転換・都筑&南田&森谷は転轍機まで来ました。次に山形は川沿いに南下)


「あ、橋がある」

山形「さっき渡った橋?」

「そう」


(場面転換・琴音は北上して崖沿いに出ました。三人組はレールの分かれ道を南東へ向かいました)


「レール沿いのずっと遠くに、誰かの後ろ姿が見えた」

森谷「え? こっちですか?(自分たちの進行方向を指す)」

「そうです」

南田「大声で呼びます」

<三人>「おーい!」

森谷「――って、言ってから――ヤバイんじゃないか?」

南田「なーに、こっちは三人だ」

「くるん、と振り向いた。白い服を来てるね」

森谷「白い服? どんなのですか? 遠目にはまだ判りません?」

「まるで幽霊のように存在感のない人影」

南田「君も道に迷ったのかーい? 一緒に行こーう!」

森谷「知り合い、かなあ?」

「三人とも見たことはないですね」

南田「誰だ」

森谷「てことは、じゃあ、犯人かもしれん」

南田「じゃあ、弔い合戦だ」

森谷「ええーっ」

南田「鎌を構えて近づいていきます。女性っぽいんですか?」

「いや、男性ですね」

森谷「南田、先行って」

南田「近づいていく」

「近づいていくとね、イッちゃってるような、にへらぁ、という笑いを浮かべる」

森谷「うわー、イッちゃってる」

「右腕を真っ直ぐ伸ばす」

琴音「ほらほら(笑)」

「拳銃のようなものを持っている」

南田「やべ、銃持ってやがる」

森谷「うわ、拳銃だ!」

南田「今まで銃なんか使ってなかったくせにー、とか言いながら、森の中に飛び込もう」

森谷「茂みの中に駆け込みます」

都筑「同じく」

「遅れて、パーン! と乾いた音が」

森谷「ええーっ!? 撃ってきた!」

南田「いっぱーつ」

森谷「どうしましょう!? とりあえず、茂みからちょっと顔を出して、そいつが何をしているか探ってみる」

「姿が見えない。どっか行っちゃったみたい」

山形「岩手刑事は死んで、銃を奪われた――?」

南田「白い服って、どういうやつなんですか?」

「まあ普通の洋服です。ズボンとジャンパーと」

森谷「南田、見てきて(笑)」

南田「じゃあ、森から盛大に飛び出してきて、俺ならここだーっ!」

「しーんとしてます」

南田「いませんな、もう」

森谷「道に復帰して、とりあえず、じゃあ、あんなおかしなやつがうろついているのは厭だから、どうしましょう? 合流を計るためには、とりあえず線路沿いに移動しましょうか」


(場面転換・山形は川下りを続行)


山形「あ、銃声は聞こえた?」

「それは<聞き耳>しないと駄目ですね」

山形「(コロコロ……)聞こえなかったらしい」


(場面転換・琴音は森の最北端に来ました)


「こちらに行くとですね、動物のうなり声――犬の声のようなものがいくつも聞こえる。がるるるがるるる」

琴音「木村くーん、どうしよ、どうする、これ(笑)。前から来るんですか、声は?」

「いや、声はその場にとどまってます」

琴音「動いては来ないんだ。木村くんは?」

「『見てみたいな』」

森谷「木村くん、豪儀な人じゃ」

琴音「だって、なんか、野犬っぽいよ」

「『野犬だろうね』」

琴音「何匹ぐらいいそうですか? 一匹じゃないですよね?」

「複数(笑)」

琴音「どうしても木村くんが見たいって言うんなら――じゃあ、行ってきていいけど」

「じゃあ、見てきました(笑)」

南田「どう考えても木村くん頭おかしい(笑)」

琴音「ひとりで行かせる。そして聞いてみる」

南田「木村くんが食べられる音が(笑)」

琴音「ひゅん、ひゅん、って鎌を振る音がとか(笑)。やだなー」

「戻ってきた。『犬が何匹かいて、何かを食べてるみたい』」

琴音「ええっ!」

森谷「冷静だなー」

南田「SANが0なんじゃないかなあ」

琴音「何を食べてるのかな。別に危害は加えなさそうだった?」

「『こっちに気づいてないと思う。食事に夢中みたい。何食べてるかは、ちょっとよく見えない』」

琴音「今のうちにこっそり通り抜けられるかな」

「『かもしれない』」


(場面転換・三人組はレール沿いにひたすら移動します。山形は川沿いに歩き、ついに森の端まで到達しました)


「洞窟の中に川が続いています」

山形「何ぃ? 壁に突き当たったんだ」

「見るとね、洞窟の中で滝になって流れ落ちている」

南田「ダイブ(笑)」

山形「壁沿いに下がっていきます、私は」


(場面転換・琴音は野犬の晩餐をすり抜けて行こうとします)


琴音「犬たちが何を食べてるか見えませんか?」

「遠目に見えたことにしよう。犬たちが群がっている隙間から、人の腕らしきものがダラーンと出てる(笑)」

琴音「犬は何匹ぐらいいました?」

「五、六匹」

琴音「普通の犬っぽかったですか?」

「まあ。やさぐれてる雰囲気ではあるけど(笑)。人が貪り食われてる光景なので、<正気度>ロールどうぞ」

琴音「(コロコロ……)59は失敗」

「予想してはいたことだし、一部しか見えなかったし、腸を引きずり出してるところは見えなかったし(笑)、1でいいです」

森谷「琴音ちゃんもここに来て、そろそろピンチか」

琴音「一緒にいる人が一番厭なんだけどさ、これ(笑)」

森谷「謎の無口くん」

「別れればいい」

琴音「それもなんか厭なんだけど。――私たち、もう別れましょ――なんて言えない(笑)」

「僕は結構言われてるよ(一同笑)」

琴音「だと思ったから言えないのよ、ね(笑)。キーパーに向かっては言えないでしょ、そんな言葉」

「糞」


(場面転換・三人組)


南田「歩きながらですね、線路を鎌でガーンガーンて叩いて、大声で誰かーって呼んでみます」

森谷「とりあえず、線路をガンガン蹴りながら歩くという方針で」

「今のところ、何も反応はないです」


(場面転換・山形は壁沿いに南下し、例の資料を見つけました)

で不衛生な建設業等々。物乞いに従事する者も少なくなかった。
 中でも最も多かったのが、見せ物小屋の演者である。無論中には大道芸みたような特技を有している者もいたが、そういったことができずとも、畸型でさえあれば食い扶持には困らない。先天的な畸型者はもちろん、後天的な「つくられた」畸型も多かったという。手足の切断された部落民――しかも彼ら自身がそう望んだと言われている――が何十人もいっぺんに見せ物小屋の舞台を埋め尽くすさまは、怪奇と猟奇を混濁し、そこにえもいわれぬ背徳と耽美を掛け合わせたかのごとき、あらゆる出し物の極北に位置する娯楽をなし

(場面転換・琴音は南下しました)


「さっき自分たちのキャンプ地の近くで、枝から紐がぶら下がってたと言いましたが、そんな感じでいくつもの枝から何本もの紐がぶら下がっていて、その先に、木でできた人形がぶら下がってますが」

森谷「ブレア・ウィッチ!」

「その人形の両手両足がなくなってますね」

琴音「人形はいくつも吊り下がっているんですか?」

「いくつも」

琴音「全部手足がない」

都筑「人形かどうか判らない」

「途中で切断されてるんですよ」

琴音「私は、うわっと言いますけど、木村くんは――?」

「別に(笑)」

琴音「木村くんって、こういうの見ても恐くないのかなぁ、とか思っちゃったりして、えへへ」

「『恐いの?』」

琴音「恐そうに見えないよね」

「『ただの木だからねえ』」

南田「僕がやったからさ(笑)」

琴音「進もっか、じゃあ(笑)」


(場面転換・三人組)


南田「誰も来ねえなー。ガーンガーンガーン」

都筑「また地響きになったらどうしよう」

南田「そうしたら、今度は崖が崩れて道ができるかもしれない」

「はい、それでは、炭坑にたどり着きましたとさ」

森谷「おやぁ? 周りに何かありますか?」

「ないですね」

森谷「照らしながら、炭坑の入口をのぞき込んでみますが」

「ちょっと行くと崩れてるみたいですね」

森谷「崩れてる。なるほど。そのへんに何か落ちてませんか? 人がいた形跡とか、靴の跡とか」

「ないですね」

森谷「ということは、ここに逃げ込んだ人はいないようだね」

南田「うん、我々は違う方向へ来てしまったようだ」

森谷「もちろん、ここに潜伏している変な奴もいないみたい」

南田「いれば出てくるでしょう」

森谷「きっと壁沿いに行けば、もう一個の炭坑にたどり着くかもしれないので、そのへんを狙って北へ行きましょう」

南田「ここに書き置きでもしておきましょう。――“ここに来た人は、線路の分岐点で待っててください”」

森谷「ていうふうにメモ書きをして」

南田「“――Mより”とかって(笑)」

「そういう書き置きを残していきますね」

南田「“なーんちって”」

琴音「よけい混乱する(笑)」


(場面転換・山形は壁沿いに移動し、レールにたどり着きました。続いて琴音は南東へ。三人組は北上します)


「皆さん<幸運>ロールをどうぞ」

(コロコロ……)

南田「はい成功」

森谷「うん、成功です」

都筑「――失敗しました」

「じゃあ都筑さんが歩いていると、一箇所地面がやたらと窪んでいるところがあって、そこに足をズボッと填めちゃった」

都筑「うわ。怪我しますか?」

「怪我したかどうかは――身体の柔らかさにもよるから(笑)――<回避>ロールをどうぞ」

都筑「(コロコロ……)あ、成功です」

「若干足は挫いたけど、別段酷い状況ではない」

森谷「ちょっと、助けましょう」

南田「大丈夫かい」

都筑「すいません」

「見てみるとそのあたり、ちょうど足が填るぐらいの大きさの縦穴がいくつか掘られています」

森谷「何ぃ? 誰かが罠張ってるー」

南田「罠かな、これ? 人が掘った穴かどうか見てみましょう」

都筑「中にもしかしてトラバサミとか入ってないでしょうね?」

森谷「そのへんの枝を折って、穴にブスブス刺していってみます」

「深さは30センチから50センチくらい」

南田「人が掘ったような穴ですか」

「そうですね」

森谷「膝ぐらいまでが填っちゃうわけですね。死なないけど足挫く」

南田「誰かが待ち伏せをしてるってことでしょう? こんな確実性のない罠では。我々が填ったところを捕まえに来るっていうのが」

森谷「医学の知識がないので、とりあえず、枝を杖代わりに使ってもらって、歩調を緩めて先へ進みましょう」

都筑「<応急手当>でどうにかならない?」

「<応急手当>に成功したらすぐ治るよ、その程度なら」

森谷「僕がやってみましょうか(コロコロ……)あ、成功しました」

都筑「ありがとうございます」


(場面転換・山形)


「森の入口らしきところが、崖崩れになってますね」

山形「何ぃ? ――仕方がない、壁沿いに行こう」


(場面転換・琴音は南西へ行き、テントを見つけます)


琴音「発見! やったーっ!」

「TVクルーのキャンプをね(一同笑)」

琴音「見てしまったー(笑)」

「<正気度>ロール。死体がいっぱいだよ♪」

琴音「(コロコロ……)成功」

「じゃあいいですけど、妙に赤いテントがひとつあるよ(笑)」

琴音「うー。血なまぐさいんでしょ? プンプンしてるんでしょ? もう行かないよー。ていうか、木村くんはどうしてる?」

「すでに一度見てるから」

琴音「誰かーっ、生きてる人ーっ」

「返事がない。ただの屍のようだ」


(場面転換・三人組)


「北上すると、また何か見つけたぞ。ちょっと足を庇いながら歩いていた都筑さんが、何かに足を引っかけた」

都筑「はい」

「あ、なんだろう、と見てみたら、人が倒れていた」

南田「おお」

森谷「顔だのなんだのを照らしてみますね」

都筑「顔がなかったりして」

「顔が滅茶苦茶に切り刻まれています(笑)。服装から、TVスタッフの一員だと判りますね。というわけで、全員<正気度>ロール」

森谷「絶命してることがありありと判るわけですね」

「ありありと」

(コロコロ……全員成功)

南田「これで、助ける人がひとり減ったなあ」

琴音「なんて冷静なんだ(笑)」

南田「このあたりに、他に死体がないか探してみましょう」

「これだけのようですね」

森谷「顔は、どんな手段でやられたかってのは、<医学>がなくても判りますか?」

「刃物か何かですね」

南田「これかね?(鎌を突き出す)」

森谷「うわあ(笑)」

都筑「撃たれた傷とかはありません?」

「ないですね」

森谷「どこから運ばれてきたかとかって判りますか? 地面をズルズル引きずってきたんなら、跡がついてるんじゃないかと思うけど」

「そういうのは見あたらないですね」

南田「ここで殺されたんじゃないか? まあ、どこで殺されても関係ないよ。先に進みましょう。南無南無南無」


(場面転換・山形は壁沿いに東へ。琴音は南東へ進みました)


「例の変な道に当たりまして、そこに誰かが横たわっています」

琴音「あ、誰かいるっ(笑)」

「見知らぬ人の死体があります」

琴音「うはー(笑)」

「死体に驚く。<正気度>ロール」

琴音「(コロコロ……)成功」

「じゃあオッケー」

琴音「またキャーッて叫んで、誰? 誰? 菜っちゃんじゃないよね。知らない人だもんね。どんなふうに死んでるのかな?」

「胸のあたりから血が流れているなあ。服来てるから、どんな傷口かは判らない」

琴音「男の人」

「男の人」

琴音「菜摘ちゃーん、て呼びながら歩きましょう」


(場面転換・三人組は壁沿いに北上を続けます)


「次々に申し訳ないですが(笑)、木の一本から何か大きなものがぶら下がっている」

森谷「ホラー映画みたいだなあとか思いつつ、照らしますが」

南田「教授の逆さ吊りじゃないか?(笑)」

「逆さではないですが、人がぶら下がってますね。首に縄が巻きついて」

森谷「どんな人ですか?」

南田「また、うちのパーティーか?」

「ほとんど白骨化している。首吊り自殺のように見える」

南田「連続殺人とは関係ないのか」

都筑「ないかもしれないです」

森谷「これは――自殺でしょう」

「これはまあ、正気度はいいや(笑)」

森谷「どんな服を着てるかって、判りますか?」

「ちょっと判りづらいけど。ボロボロになっちゃって」

南田「殺人鬼が棲んでるから近づいちゃなんねえって、みんなが言ってるんじゃないでしょうか?」

森谷「だから自殺者が」

南田「そんな治外法権があるのか?」

森谷「そのへんに落ちてるものって、ありますか?」

「ないですね」

南田「このホトケさんは、どう考えても関係ないから先に進もう」

森谷「死体が多すぎる……と、かっこいい台詞っぽく言ってみながら先に行きます(笑)」

南田「これは密室殺人だ!(一同笑)」

森谷「ちゃうやんけ!」


(場面転換・山形)


「壁沿いに行くと、木の一本がなんだか不自然な気がしたのでライトで照らしてみると、木の皮がダイナミックに剥がされている」

森谷「(笑)なんかいる(笑)」

山形「それは何か知識で判る?」

「<博物学>でどうぞ」

山形「(コロコロ……)関係ないね(笑)」


(場面転換・琴音は南西へ。三人組は壁沿いに北上。そして山形)


「地面の一部が大きく窪んでいまして、見下ろしてみますと、人工的に作られたかのような洞穴がある」

山形「照らしてみる」

「どうやら防空壕のようですね」

山形「<目星>(コロコロ……)関係ないね(笑)。何も見えなかったみたい」

「で、どうしましょう?」

山形「………………下りてく(笑)」

「入っていきました」

南田「さようなら」 防空壕

「防空壕ですけど、天井の低い穴が奥へ続いて、ちょっと右手に曲がってますね」

山形「曲がっているのか……行ってみる」

「右手のほうに曲がってみると、今度はすぐ左手に曲がってますね。たぶん、近くで爆風が起きたときにそれが直接中に吹き込まないようになっているのでしょう。よく知らないけど(笑)」

山形「さらに行く」

「そうすると、広くなってる部屋がある」

山形「何かありますか? この部屋で<目星>(コロコロ……)成功」

「じゃあねえ、まず、足跡がいくつか見つかった。小さな足跡ですね、比較的」

山形「子供の?」

「に見える。裸足に見える」

山形「あ! そういえば! (集めた資料を読み返している)」 地図?

「そして、何か一枚、絵の描いてある紙が。大きさとしてはB5ぐらいかな。かなり古びていて汚れていて、紙に何か印刷してあるんですが、そこに石墨か何かで落書きしたかのようなものがゴチャゴチャ描いてある(ハンドアウトを手渡す)」

山形「…………地図だなぁ。あ、妻守山からなんかが出てきて――火事が起こって――なんだこりゃあ。風が吹いて火が燃えて? ええ? ……なんだこれはーっ!(笑)」


(場面転換・琴音は南東へ行き、助教授の資料を拾いました)

 やがて時は経ち、鳴兎子の大火自体が人々の記憶から消えゆき、陰惨な過去を知る者も少なくなった今でも、人喰いの森だけは――理由は忘れ去られているとしても――決して入ってはならない魔の森として、鳴兎子の人々に受け伝え続けられているのである。

(場面転換・三人組は北上し、炭坑と小屋にたどり着きました)


「ついに、誰かさんが前に来たところに(笑)」

森谷「じゃあ、まず、小屋の中に入ってみる」

「小屋の中は、まあ、特に何もない。裸足の足跡と、靴を履いている足跡もある」

森谷「とりあえず、二種類の人間がここにやってきましたね。洞窟のほうにも行ってみます」

「錆びたピッケルと、古い白黒写真がある」 写真の瞳

南田「目が写ってる写真」

森谷「何人かの人影はあるけど、はっきりしたものはこれしかない?」

「そう、暗闇の中に誰かが。奥のほうですね、写真の構図としては」

南田「これは貰っておこう」

森谷「写真とピッケルは」

南田「いただきです。この炭坑にもまたメモを残しておきましょう。“分岐点で我々は待ってます”」

琴音「待ってないやんかー」

南田「これから行くんです」

森谷「あとは分岐点に向かえばいいんですね」

南田「そこで夜を明かしましょう」

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