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Act.9 神の妻


「見えないものを考えるのが人間の思考なのだ。
お前たちは、自分の姿が見えなくても、自分の存在を知っている」




(場面転換)


「時計塔に着きますと、皆さんご期待のとおり、時計塔の前に、ある人物がひとり佇んでおります。――麻耶野数美であります」

西郷「(ボソリ)なんで擦れ違わなかったんだろう」

(気にしてはいけない。神出鬼没なのさ!)

「いつもの格好をしていまして、裸足です。時計塔に向かって、壁面に何か書いているみたい」

西郷「時計塔に書いてるんですね」

「そうです」

浮田「そしたらですね、車を降りて、――観念しろ!」

山形「あ、言いたかった!(笑)」

浮田「――今回の連続猟奇殺人の犯人は、お前の息子だ! そして、ジャーナリスト殺しの犯人は、お前だな! と言います」

山形「て言うか、その前に、――早くあの数式を! 完成させるな! 早く捕まえろ!(笑)」

浮田「いいですか、山形さん! あの子供は、失踪したジャーナリストとあの女の息子なんですよ! ――と、さも俺が突きとめたぜ、と言わんばかりに」

西郷「ジャーナリストとあの女の子供?」

浮田「そう! (真面目な口調で)――ジャーナリストと数美は、東京で出逢った――(一同笑)」

西郷「(爆笑)」

浮田「ジャーナリストには妻も子もいた。そして、数美がたった独りで産んだのが、あの子だったんです」

西郷「(爆笑)」

浮田「ジャーナリストはあの子を認知しようとしなかった。だからジャーナリストを殺したんです! ――そうなんですね、数美さん!」

(無粋かもしれませんが注記しておきますと、浮田のプレイヤーは確信犯です。浮田というキャラクターを上手くロールプレイしています)

「数美は、ゆっくりと振り向きます。そして、『今、書き終えた』」

山形「うわっ!」

「彼女が時計塔の表面に文字を書いていた筆記用具は、鉄筆です」

山形「ああ、傷つけてるわけだ」

「彼女はその後、みんなのことを無視するような感じで、数式をそらんじ始めました」

西郷「eイコールなんとか、みたいな、そういう読み方をしているんですか?」

「そうですね」

西郷「何、何? 何読んでるの?」

浮田「数式じゃないですか?」

西郷「言わせないようにしないと!」

山形「じゃあ、こっちはノートの式を言う」

「それと同時に彼女は懐からナイフを取り出しまして、刃を自分の手で握って引きました。すると血が出ますが、血に濡れた手の平を時計塔にピタッと当てます」

西郷「何か時計塔変わりました? 別に変わりません?」

「特に変わりませんけれども、何か、数式をそらんじ始めた途端、上空のほうが、夜のはずなのにぼんやりと明るくなってきたような気がしないでもない」

西郷「今の距離はどれくらいですか?」

「30メートルくらいです」

山形「(浮田に)ノートよこせ、ノート! ――ノートを読み上げます」

西郷「ハンカチを出して走っていって、彼女の口にハンカチを突っこもうとします」

「では、戦闘ラウンドに入りましょう」

 第1ラウンド

「では、DEXが一番高いのは西郷さんの13ですね? 30メートルですから、1ラウンドで到達はできます。到達して終わりですが、よろしいですか?」

西郷「はい」

「次がDEX11の浮田さん。数美も11なので、D100振り合って、低い目を出したほうが先に行動できます」

浮田「(コロコロ……)28」

「(コロコロ……)56。では、浮田さんから先に何かしてください」

(DEX11の番のD100振り合いは、今後、表記を略します。あしからず)

浮田「えーとですね、こちらは、自分の推理のどこが間違っていたのか自問しています」

「(笑)どうぞ」

浮田「おっかしいなー、ジャーナリストは殺されて埋められたんだろ? 埋めたのは木辺で……酸で女子高生の死体を処理しようとしたのも木辺……」

「次は数美の番ですけれども、近づいてきた西郷さんに向かいまして、――何か、発音不能の言葉を発して片手を突き出す(一同笑)」

西郷「英語じゃないんですね?」

「違います」

山形「吹っ飛ぶのか? どーん!」

西郷「POWで抵抗かな。《ヨグ=ソトースのこぶし》とか」

(察しがいい。これは、目に見えない一撃を与える攻撃呪文です)

「西郷さん、STR+CONは?」

西郷「17」

「(呪文のSTRは、ダイスを振って24に決定)――24と抵抗してください」

西郷「15%以下。(コロコロ……)失敗」

「西郷さんのSIZが11だから、1/3が4。呪文のSTR24-4=20。じゃあ、20メートル吹っ飛ばされました」

西郷「痛ぇー。また離れてしまった」

浮田「吹っ飛ばされすぎだ!」

「目に見えない衝撃が、身体全体を襲いました」

西郷「ダメージはないですか?」

「ダメージは、この呪文はないですね。ただ、抵抗に失敗したので、意識不明になります」

西郷「ハンカチを持ったまま意識不明」

「他の皆様は、凄い光景を見てしまったようですね(笑)。では、次はDEX10の岸野さん」

岸野「ナイフはもう、山形さんに返したんですよね?」

山形「ナイフは自分で握っています。彼女の真似をしようとしてます(笑)」

西郷「でも、数式詠唱を妨げるだけでもいいんじゃないですか?」

山形「俺、何か投げつけたいと思ったんですよ。石ころぐらいしかないですよね。石ころ探します」

「石ころ都合よくあるかな? <幸運>ですね」

岸野「なさそうな気がするな。なきゃねえで、何か考えないと。(コロコロ……)53。あっぶねえ。ぎりぎり幸運だったですね」

「投げてぶつけて痛そうな、程よい石を1個見つけた」

岸野「じゃ、今度はそれを<投擲>で」

「探して拾って終わりなので、次のラウンドで投げてください」

岸野「判りました」

「では、次はこちらですね。――DEX9の番」

山形「ん? 誰かいます?」 何かの痕跡と建造物

「時計塔の場所を見ていただくと、ぎりぎりまで湖岸が来ているのが判りますね?」

浮田「あ! ざっぱーん!」

岸野「えーっ!」

西郷「あー、私それ見たかった見たかったー♪」

「ざっぱーん! と、まるでアメリカ版ゴジラのように(笑)水面が盛りあがったあと、“何か”が出てきた! ――けれど、まったく姿が見えない」

浮田「ほー」

「何かがいることは確かです。とてつもなく大きく、そして、この世にいてはならないものであることが、気配だけでも判ります。というわけで、知覚した人、全員<正気度>ロールを」

西郷「見たかった見たかったー(笑)。意識ないけど、見てもいいですか?」

浮田「(コロコロ……)成功しました」

山形「(コロコロ……)失敗しました」

岸野「(コロコロ……)成功」

「成功しても1ポイント減らして、失敗したら1D8減らしてください」

山形「(コロコロ……)5!(笑)」

「では、<アイデア>ロールを」

山形「さようなら皆さん。山形さんの伝説も、ここで終わりです(笑)。(コロコロ……)成功しちゃいました」

「一時的狂気ですね。ルールブックの表を使いましょう。1D10振ってください」

山形「(コロコロ……)1」

「気絶あるいは金切り声の発作。お好きなほうをお選びください」

山形「金切り声を(笑)。うきぃー」

「もう1回、1D10を」

山形「(コロコロ……)7」

「11ラウンドの間、続きます(笑)。このラウンドは1ラウンド目としてカウントして構いません。それと、<アイデア>ロールに成功したので、こいつはきっとアレだ、ということが判ります」

西郷「アレだ!」

「昨夜襲ってきたあの子供の仲間なんじゃないかな、と」

山形「なるほどね。双子の、父親に似ているほうなんだろう、と」

「プレイヤーのほうが詳しいですね(笑)。――さて、ではこのラウンドは、山形さんが金切り声を発し始めて終わり(笑)」

(例によって、敵データを載せておきます。若干ネタバレ気味ですので、要反転にしておきます)

 麻耶野 数美 (まやの かずみ)
STR 20DEX 11INT 30
CON 30APP 16POW 36
SIZ 12SAN 0EDU 30
耐久力 21MP 36ダメージ・ボーナス:+1D4
武器:儀式用短剣 30%、ダメージ 1D6+1D4


 β (ベータ)
STR 15DEX 9
CON 15INT 3
SIZ 34POW 7
耐久力 25MP 7ダメージ・ボーナス:該当せず
装甲:なし。物理攻撃無効。食事時以外は不可視。
武器:つかんで吸う 100%、ダメージ 毎ラウンド1D6(押しつぶし)、
2ラウンド目から1D10(消化吸収)


 第2ラウンド 第2ラウンド開始時

「西郷さんが気絶状態。次に数美ですが、数式の続きを唱え始めます」

西郷「あ、そっか、1回途切れたんだ。私に向かって変なことを言ったから」

浮田「そうしたら、どうしよう。――オロオロするな」

山形「一生懸命読もうとするけれど、うひゃひゃひゃひゃ(笑)」

浮田「明らかに、何か、宇宙怪獣みたいなのがいることは判るんですよね?」

「判ります。正気度は1減っただけなので、普通に動くことはできますよ」

浮田「凄ぇオロオロするけど、宇宙怪獣は倒せないので(笑)、数美を狙うことにします」

「ちなみに宇宙怪獣は想像しづらいかもしれませんが、ぶっちゃけ、SIZが30代です」

浮田「拳銃で数美を狙います」

「では、このラウンドで取り出して撃つということで。――銃は何を持っているのかな?」

浮田「ナンブだと思います」

「30メートル離れているので、命中率半分で」

浮田「あ、そしたら、構えて、撃つのはやめて、近づきます」

「どのくらいまで近づきますか? やろうと思えば、全力疾走で一気に数美の隣まで行けますが(笑)」

浮田「射程距離ぎりぎりまで」

「では、西郷さんが倒れているあたりまで行けます」

(キーパー、拳銃の基本射程を20メートルと勘違いしています。正確には15メートルです。あとで気づいてごまかします)

浮田「そうですね、できるなら彼女を守りましょう」

岸野「今回、一発、石ころを投げたいのですが」

「はい、どうぞ。<投擲>の射程は、石のSIZを1として、岸野さんのSIZ11-1=10に×6で、60メートル。余裕ですね」

岸野「25%で。頼むぜ(コロコロ……)失敗」

「はずれた」

岸野「明後日の方向に行ってしまった」

「では、次は不可視のナントカ。つい正体を言ってはいけない(笑)。えーと、バレバレなやつですけども(笑)」

浮田「まだ、『ウィザードリィ』風に不確定名で」

「地面の凹み具合から、こいつがゆっくり近づいてきているのが判ります。で、『おおーん、おおーん』」

西郷「鳴いてるー。お母さんを呼んでるんだー。――お父さんを呼んでるのかな」

山形「ヤグ=サハ!」

「ケジマ!」

西郷「何語だー」

「人間の泣き声を野太くしたような感じの鳴き声で、宇宙的でもある。
 ――さて、山形さんですが、ただ叫んでいるだけでもなんですので――」

岸野「メロディーをつけてくださいとか(笑)」

「金切り声を上げつつ、わーわー叫びながら、敵に向かって銃を乱射してもいいですよ。狂ってはいますけど、ある程度戦闘に参加してもいいです」

山形「ああ、はい」

「乱射の場合は未照準のルールを使うので、1ラウンドの攻撃回数を2倍にできます」

西郷「(笑)」

(山形の9mmオートマチックの場合、1ラウンドに6発撃てることになります。ちなみに装弾数は17発(笑)。グロックを持っているという設定だそうです)

「命中率は1/5です。対象が複数ある場合は、どれに当たったかはランダムに決めます。このラウンドで銃を取り出して撃てるだけ撃ってもいいですよ」

浮田「08%以下ですか」

山形「うーん(命中率の低さに逡巡中)」

(基本射程の2倍離れているので、元の命中率の1/2のさらに1/5(つまり1/10)になるはずですが、もちろん失念しています)

山形「(コロコロ……)(4発はずれ)そうそう出ないよね」

(9mmオートマチックの攻撃回数は3/Rなので、2倍の場合6発撃てるのですが、山形のプレイヤーがキャラクターシートに2/Rと間違えて書き写してしまっており、4発しか撃っていません。キーパーも気づけばよかったのですが……)

 第3ラウンド 第3ラウンド開始時

「数美はまだ、数式を読み続けています」

浮田「銃を撃ちます」

「射程内からなので、通常の命中率で。すでに構えていたので、ラウンドの最初に1発、さらに自分のDEX順にもう1発、撃てます」

浮田「あ、はい。1発目。(コロコロ……)97です、失敗。――2発目。(コロコロ……)81です。駄目でした」

「あ、拳銃の射程、15メートルでしたね。まあ、前のラウンドでそこまで近づいたことにしましょう」

浮田「バキューンバキューン」

「次は岸野さん」

岸野「こいつ、他に何かできるかな。最初、石投げる前に写真撮ろうかとも思ったんですけどね」

山形「読んで読んで。読めるんだったら読んで。今、乱射してるから、ノート落ちてるから」

岸野「あー、じゃあ、拾って読む」

山形「俺の願いが通じた(笑)」

「読んでもいいですけど、<アイデア>ロールどうぞ」

山形「そうか、気づかないといけないのか」

岸野「そうだよね。(コロコロ……)失敗。読めばいいってことには気がつかないってわけだ」

「いや。――読めばいいと思いこんでしまう」

山形「ああー」

岸野「じゃ、読もうとします」

山形「あ、読んでも駄目なのか」

「では、次がオロローンですね」

岸野「オロローン(笑)。名称が決まった」

「また、ずりずりっと這ってきますね。距離的には浮田さんが近いので、狙ってきます」

浮田「明らかに脅威なんですよね。恐いんで、避けます」

「まあ、まだ攻撃はしてきませんが、10メートルくらいまで近づいてきました」

浮田「それはそれで、やっぱり脅威なんで」

「では、次のラウンドに逃げるということで。――では山形さん、どうしますか?」

山形「撃ちまっせー」

(面倒なので、DEX3の番にまとめて4発撃つことにしました)

山形「とりゃ! (コロコロ……)駄目」

岸野「まだ西郷は気絶から回復しないんだ?」

「うん、気絶から何ラウンドで復活するかというのは、ルールに書いていない」

西郷「これは手当をしてもらえば回復すると思う」

「そう、<応急手当>で」

浮田「あ! そうか! じゃ、そうしましょう」

 第4ラウンド 第4ラウンド開始時

浮田「そしたらですね、数美さんに<応急手当>をします」

西郷「数美にするなー!(一同笑)」

浮田「あぁーっ!」

「では、西郷さんへ<応急手当>どうぞ」

浮田「そうしないと、敵の前に置いて逃げることになってしまう」

岸野「すぐそばにいるんだもんね、オロローンが」

浮田「(コロコロ……)失敗しましたー」

「数美は数式を唱え続けている」

岸野「唱えればいいと思いこんじゃってるから、唱えようとしてるんですよね。<アイデア>もう1回振って、いや、そんなはずはない! と気がついたりしませんか?」

「それはちょっと判らないですね」

岸野「ということは、読んでます。別に邪魔されずに読めるんですね?」

「読めます」

岸野「何も起こんないんだろうね(笑)」

「ではオロローンの番ですが、大変ゆっくり這ってきます。5メートルぐらい進みました」

浮田「うー、恐ぇー」

「西郷さんへの応急手当のため、さっきよりは若干後ろに下がったので、こいつとの距離はそんなに変わりません」

浮田「オロローンはやっぱ、こっちにやって来てるんですか?」

「そうですね、やっぱ、手近なやつということで」

浮田「うわー。やる気満々じゃーん」

「さて、山形さんどうぞ」

山形「1回、2回……(コロコロ……)全部はずれ」

浮田「グロックって、何発入ってるんですか?」

山形「17発」

西郷「昨日も撃ってるから、そろそろなくなるころか」

山形「いや、補給してあります」

「(笑)」

 第5ラウンド 第5ラウンド開始時

「数美は唱えるだけです」

浮田「はーい、じゃあ、早くここから西郷さんをどかさないと。――あ、でも、もう<応急手当>はできないの?」

「いや、いいですよ、何回でも」

浮田「あー、早くここから逃げないとー。(コロコロ……)01。おっ!」

「目覚めた」

浮田「起きれっ! ばしっ!」

「このラウンドで起きて、次のラウンドから行動できます」

西郷「見て、凄いビックリします」

「あーっ!(忘れてた)

浮田「ぎゃーっ!」

西郷「きゃーっ! (コロコロ……)あ、成功だ」

「では、1ポイント減らしてください」

西郷「生物出てきたのに、写真に撮れないじゃーん!(笑)」

岸野「カメラ持ってるんでしょ?」

西郷「持ってるけど、とりあえず、ビックリして悔しがっていよう。――あ、早く、あの呪文を止めさせないと!」

「次は岸野さんですね」

岸野「岸野は唱えようとしているだけですから、何かで気がつかないと、自分が死ぬまで唱えようとしています」

「何か、プレイヤーとしてでも、気づくようなことはないですか?」

山形「何も起こってないような気がする」

西郷「変わりがない」

「それなら、数美が唱えているのも、何も変わらないように見える」

岸野「うーん、そこが判んないんだよね。――あ、唱えてるだけじゃ駄目なんだ! 塔にそれを書いて、何かしたりしないと駄目なのかなー、と思えますかね?」

「でしたら、キャラクターがそう思いついたということにしていいですよ」

岸野「じゃ、きっと、このままじゃ駄目に違いない! と思って、唱えるのはやめて――」

山形「塔! 塔!」

岸野「うん、塔まで結構距離空いてますよね?」

「約30メートル。1ラウンドで到達はできます」

岸野「車で来てましたっけ、みんな」

「そうですね」

山形「よーし、車であの化け物に突っこんじゃうぞー!(笑)」

岸野「あの化け物というか、塔が壊れちゃえば、数美のもくろみもパーになるのかな」

西郷「いや、塔より、数美さんをやっつけるのが一番――」

岸野「じゃ、車に乗りこんで、エンジンかけます。特に自分の車とかこだわらず、手近の車を」

「はい、エンジンかけました。では、こいつ――β(ベータ)という名前なのですが――」

西郷「あ、来た! 前進した」

浮田「ぎゃーっ!」

岸野「β、突然変形して四足歩行型とかになったりしないのかな」

「近づいてきましたけど、来ただけです(笑)」

山形「車で時計塔にぶつかって、ドーン! と」

岸野「それを考えてる」

山形「ぶつかる間際に飛び降りるの」

岸野「それ、できるかな」

「で、山形さんは」

山形「撃ちきります。――1発残るんだけどね」

「最後の1発が貫通したりして」

岸野「そして数美までやっつけたりとか」

山形「(コロコロ……)惜しい!」

「当たらないもんだねえ」

山形「あと1発です」

 第6ラウンド 第6ラウンド開始時

「では数美ですが、5ラウンド唱え続けましたので――どうやら、証明式をすべて言い終わったらしいです」

(一同)「あちゃーっ!」

「すると、遙か上空、虚空の合間から、何かキラキラとした光が見えたような気がするなーと思ったら、――玉虫色の大量の球体めいたものが見え隠れし始めました!」

西郷「空が光ってるよー」

「次第に数が増えていっているような気がする。迫ってきてるような気もする。――というわけで、皆さん<正気度>ロールを」

山形「すでに正気ではないので」

「あ、なら振らなくていいです」 Yog-Sothoth

(振ってもいいかな、という気もしますが。ここはキーパー各々のさじ加減でしょうか)

西郷「(コロコロ……)成功」

浮田「(コロコロ……)92!」

岸野「(コロコロ……)あー、失敗だ!」

「成功しても1ポイント減らしてください。失敗したら1D10!」

岸野「(コロコロ……)8」

浮田「(コロコロ……)10減りましたー!」

「もしかして、“不定の狂気”だったりしますか?」

浮田「いえ、不定ではないです」

岸野「戦闘始まった時点で正気度49だったから、大丈夫です」

「では、ふたりとも<アイデア>ロールですね。成功すると、一時的狂気です」

浮田「(コロコロ……)成功です」

岸野「(コロコロ……)成功してるし(笑)」

山形「山形さんの気持ちが解ったんだ」

「ふたりとも成功しましたので、先に狂気の内容を決めましょう。まず、1D6で奇数なら短期、偶数なら長期で。その後、結果を決めるための1D10をお願いします」

(山形のときにこれ決めるの忘れてた。まあ、あのときはβという“小物”での発狂だから、短期でもいいでしょうか)

岸野「(コロコロ……)奇数だ。短い。(コロコロ……)9だ」

浮田「(コロコロ……)偶数です。長い。(コロコロ……)0でーす」

「岸野さんは、奇妙なものや異様なものを食べたがる(一同笑)」

西郷「食べたくなっちゃうんだ」

山形「あー、あそこに、見えないものがあるー♪」

浮田「寒天だと思っちゃう(笑)」

「何を食べたいかはご自由に、泥とか粘着物とか人肉とか」

岸野「うわー(笑)」

「透明な化け物を見て、これがきっと色んなものを喰う怪物なんだなということを理解して、それと同時に、この生き物と同化したがるかのような感情を抱きました」

岸野「初めて、自分の意識外で狂ったよ(笑)」

(岸野のプレイヤーは、『神の子らの密室』において、狂ってもいないのに狂ったような行動を取っていた、西谷頼人の人です)

「そして浮田さんは、強迫観念に取り憑かれたような行動。手を洗い続けるとか、祈り続けるとか、特定のリズムで歩き続けるとか(笑)。――ふたりとも、これらの症状は即座に出さなくても構いません。今は、自由に狂っておいてください。こういった症状は、生還してから後遺症のように出てきます(笑)」

(不定の狂気のルールとごっちゃになっている気がしないでもない)

浮田「解りました」

岸野「じゃあ、今はどうしてればいいんだろう。とりあえず突っこむけど。最初の予定どおりに行動していいわけですか? ハンドル食べたりしないで」

「そうですね。理性的ではないですが。――ただ、このラウンドは、皆さん球体に見とれまして、行動不能です。βも動きません。
 さらに、<アイデア>ロールに成功したふたりは、球体の正体に気づきます」

浮田「はい」

「あれこそ、麻耶野数美が唱えていた“他元”です。他の世界そのものです」

浮田「おー、来た来た来た来た」

「そもそも、この塔を使って他の世界と交信するんだろうな、ということが解りまして。きっと塔自体は石造りで10メートル必要なんだろうな、とか(笑)」

(どちらかというと、プレイヤー向けの情報ですね)

岸野「ということが数式に書いてあったんだ」

浮田「そうか! これが! これが数学なのか!(笑)」

「塔に刻まれていた数式と、塔にぶちまけられていた血の跡。それらがおそらく塔に力を――ありていに言えばPOWを付与してあったような状態で、数式を唱えることによって、他元そのものが、この世界を浸食し始めているということを理解しました。
 つまり、放っておくと、こちらの次元が他元に取って代わられると言うか同化すると言うか、きっとそうなるんだろうなということを理解しました」

(ついに出現した他元と宇宙怪獣を前に、3人が発狂。頼みの綱の武闘派刑事・山形も残弾1。絶体絶命のピンチに、どうする、4人の探索者たち!?)

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