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Act. 8Act. 9Act. 10Ending



Act.7 神の子


「博士にとって数学とは何ですか?」
「ゲームのルールだ」




(場面転換)


「では、もう夜遅くなり、平常でしたら寝る時間ですが、寝ずに頑張る人は、ふたりだけかな?」

西郷「起きて待ってる」

浮田「同じく」

「じゃあ、全員が起きていて、まずは山形さんですが」

山形「カメラとかの機材を車に積んで」

「制服警官は?」

山形「立たせておく。森に自分らがいることは伝えておいて、森で何かガサガサあっても、それは俺たちだから、と」

「警官は麻耶野家の正門に?」

山形「うん、入り口に」

「ひとりだけですか? 裏手の森のほうには?」

山形「森のほうは、こっちがやるから」

「ということは、制服警官はひとりだけですね?」

浮田「その警官、可哀想だな」

西郷「『ジュラシック・パーク』のヤギみたいじゃない?(一同笑)」

山形「そのつもりで置いてるから」

岸野「恐ろしい人だ(笑)」

「さて、では、山形さんと岸野さんが合流しました」

岸野「どうすんの、山形さん?」

山形「第一線に戻りたいでしょ? いいネタあるんだよ(笑)」

岸野「あんたの世話にはなんないけど、とりあえず、力は貸すよ。どうするの?」

山形「史丈のノートの話をちょっとして――」

岸野「ノートって何?」

西郷「蔵の中でガメって来た(笑)」

岸野「えーっ! ガメちゃったのー!?(笑)」

山形「ガメちゃったの。――あの数学者と話してみて、おかしいっていうのは警官の勘としてピンと来た。さらにノートを見て、ピンと来た。あの蔵の中に何かが隠されているのは――」

岸野「間違いない?」

山形「間違いない。で、俺が探っているときに、何かが出てくる可能性がある。それを撮ってくれればいい」

岸野「うーん……」

山形「もしかして、何かが出てくるかもしれない」

岸野「出てくるったって、イノシシやなんかじゃあるまいし、どう撮るべきか――。言っとくけど、巨大生物なんていうのも、俺は半分信じてないんだからね」

西郷「信じてないんだ……」

山形「真面目な顔して、……いるんだよ……と言っておく(笑)。自分は<脹れ女>とか見た経験あるから」

岸野「?マークが頭に浮かんでいる。――とりあえず、どっちを撮っとく? 屋敷のほうなのか? 山形さんの狙いは」

山形「一応、蔵のほう」

岸野「蔵か。――あれ、でも、森からは塀の向こうにある蔵は見えるんだっけ?」

山形「裏門からは」

岸野「あ、裏門開いてるんだっけ」

山形「そこから撮っておいて」

岸野「じゃあ、なんだろう――? 暗視のカメラ? を構えていればいいのかな?」

山形「そう。他に何かやることある? この家、そっちの取材と何か関わってるんだろ?」

岸野「いや、個人的な興味だからね、あの麻耶野数美は。インタビューはしたものの、写真は撮らせてくれないし、確かにカリスマチックなところはあるけど、どうにも妙なところがあるんだよなあ」

山形「それと、うちの若いの(浮田)が、お前の連れ(西郷)にペラペラ喋ってるみたいじゃないか(笑)」

岸野「それは知らないよ。俺のせいじゃないだろう(笑)」

(と、作戦会議なのか口論なのかよく判らないやりとりが続き……)

岸野「暗視ゴーグルも持っているんで、それも使いつつ、何か出てきたときに撮らなきゃならないから、カメラも覗いてる。<写真術>60%あるんで、バッチリ撮りますよ。――ヤブ蚊とか飛んできたりしそう」

山形「記事にするとき、情報源言うなよ(笑)」

岸野「あからさまに書けるわけないじゃない」

「では岸野さんが森の中で待機している間、山形さんは?」

山形「蔵の中へ」

岸野「俺、いなくなるかも。ジャーナリストは消える運命で(笑)」

「あたりはひっそりとしており真っ暗で、しかも屋敷の2階の部屋には、明かりがついていません」

山形「えっ! ついていない!? ――<聞き耳>する。(コロコロ……)何も聞こえませんでした(笑)」

「じゃあ、なんか消えてるなあ、ということだけは判った」

岸野「じゃあ、ジャーナリストの本能でですね、ICレコーダーの録音をONにしておいて、もしかして本人が行方不明になったあと、レコーダーだけが発見されて、というのを狙ってみたいと思います(一同笑)」

西郷「ガサ、ガサ、ガサ、うわーっ! とかって録音されてて」

「蔵に近づきつつ、山形さんが表門のほうをちらっと見ると、外側には制服警官の後ろ姿が見えます」

山形「蔵に潜入します。まず<聞き耳>をして中の様子を――」

「どうぞ。あ、それとちなみに、蔵の扉は若干開いています」

岸野「あらー」

山形「今度こそ! (コロコロ……)うーん、失敗。中は暗いですか?」

「暗いです」

山形「ササササっと忍び歩きながら中へ」

岸野「変な動きの山形を撮しておこう(笑)」

「<忍び歩き>どうぞ」

山形「(コロコロ……)えーと、ガサガサ音を立てながら、中へ入ります」

岸野「山形さん危ねー、とか呟きながら」

「入りました。ライトつけますか?」

山形「まだつけません。もういっぺん<聞き耳>をしようかなと」

「では、中での<聞き耳>をどうぞ」

山形「デフォルト(25%)頼む! 出てくれ! (コロコロ……)…………」

「はい、聞こえません」

西郷「3回失敗したから、次はもう出るよ、確率的に(笑)」

山形「くそ! CQCの基本を!(笑) 拳銃構えてライトつける」

「丸い光の輪の中に、蔵の内部が見えますけど、まあ、昼間に来たときと特に変わりはないですね」

山形「進みます。階段のほうへ」

「ギシギシと上がっていきました」

山形「階段の上はどうなっていますか?」

「上げ戸は閉まっていますよ」

山形「ライトを消して、鍵穴から光が漏れてきてないか見ます」

「光はないです」

山形「上もただの倉庫か? ――押してみる」

「押してみると、やはり抵抗があるというか、動く仕組みにはなっているのだろうけど、開かない」

山形「……鍵開けしまーす。(コロコロ……)オーマイガーッ!」

「鍵の型式が古すぎて、逆に難しいのかもしれない(笑)」


(場面転換)


「ではそのとき、岸野恭三さんですが――(笑)」

浮田「来た来た来た」

岸野「<聞き耳>ですか?」

「岸野さんはどういう場所にいるんでしょうか?」

岸野「繁みの間に自分が挟まって、繁み越しにレンズを向けている状態だけど、近くに木々もあるイメージで。開けたところにポツンといて、阿呆みたいに構えているというのは厭なので」

「では<聞き耳>をどうぞ」

岸野「(コロコロ……)おー、成功です」

「ガサガサ、ガサガサ、ガサガサ……」

岸野「何っ!?」

「明らかに、ある程度の大きさを持った何かが動いている音が――屋敷の方向と言えばそちらのあたりから聞こえるかな、と。まだ結構離れていますが」

岸野「双眼鏡の暗視モードで見渡しますけど」

「やはり、繁みがちょっと揺れているなあ。風はそんなにないのに、あのへんが揺れているなあ、と」

西郷「暗視モードって、何で見えるの? 光を増幅してるの?」

岸野「そう。――でも、揺れてる、しか判らないんですよね? 大きさ的に、人が歩いているような感じですかね?」

「それぐらい、かもしれない。姿は見えないけど」

岸野「かもしれない――それは、近づいてくるんですか? 自分のほうに来るのか、屋敷のほうに行くのか」

「ちょっと迂回しつつ、岸野さんの方向にやって来る感じです」

西郷「回りこもうとしている」

山形「狙われてますよ」

岸野「ひとつだけですか?」

「ひとつだけですよ。複数はいないようです」

岸野「じゃあ、シャッターはともかくとして、近寄ってくるようなら、機材を抱えて脱兎のごとく走って逃げられるように、準備しておきますけど」

「それでは、ときどき止まりながらも、次第に岸野さんのほうに近づいてきます。そして――ほぼ真正面10メートルくらいのところから、ガサガサガサと真っ直ぐ近づいてきました」

岸野「ああ、もう、そしたら、矢も楯もたまらず、機材持って、脱兎のごとく反対方向に走って逃げます」

「反対方向に走って逃げようとした途端――!」

岸野「はい……」

「『にゃーお♪』」

山形「(笑)」

西郷「いたいた(笑)」

岸野「危ねえ。<正気度>ロール要るでしょうか?(笑)」

「ただの猫でした。目がキラーンと反射します」

岸野「あ、野生の王国だ」

「で、ちょろちょろーっと逃げていきます。が、そこでもう一度<聞き耳>ロールをお願いします」

山形「うわ(笑)」

西郷「その猫が喰われるんだ(笑)」

岸野「にゃーっ! ガサガサ! ってなったあと、静かになるのかな。(コロコロ……)あー、今度は失敗だ」

「そうしましたら……では、咄嗟に避けられたかどうか、<回避>ロールを(笑)」

岸野「<回避>か。よし、50%以下出せばいいんだ」

西郷「そんなに取ってるんだ」

岸野「<回避>に助けられることが多いって、最近つくづく感じるんで。――頼んます! (コロコロ……)26。よっしゃ」

「では、突然、後ろから――」

岸野「えっ!?」

「空気を切るような気配を感じ、耳のすぐ後ろで――シャキン!」

山形「うおーっ!」

「という音がして、髪が数本切れた」

岸野「どうしよう」

山形「フラッシュだ! 目くらましになる」

岸野「フラッシュを焚きます」

「振り返って?」

岸野「いや、肩越しにカメラを向けてパシッと」

西郷「見ないの?(笑)」

「パシッと光りましたが、それがどれくらいの効果を上げたかは不明です。……では、戦闘ラウンドに入ります」

(一同)「うぉーっ!」

(妙にテンションが高いな。待ってましたの戦闘だからかな)

岸野「相手は誰だ?」

山形「山形さーん! って呼べば、聞こえるかも。蔵の中だから<聞き耳>ロールしないといけないけど」

岸野「いや、ここで呼ぶにはちょっと体勢が整っていない。――ところで、フラッシュはなんの役にも立たなかったんでしょうか?」

「フラッシュの効果のぶんだけ、こちらの命中率を下げさせてもらいます(具体的な数値は秘密)」

岸野「たぶん、向こうのほうがDEX高いんだろうな」

「そうです」

岸野「ありゃ」

 第1ラウンド

「(コロコロ……)またショキーンって音がすぐそばで聞こえましたけれども、はずれです」

岸野「はずれたー」

「フラッシュが功を奏したかどうかは不明ですが」

岸野「そしたら、このさい、叫ぶだろうな。かわして前のめりになりつつ、何歩かよろよろっと進んで、山形さーん! と言って前に走り出しますけど」

「では山形さんは、普通に<聞き耳>を振ってください。もう少し岸野さんが近くに来て叫んだら、成功率が上がりますが」

山形「(コロコロ……)失敗でーす。鍵開けに集中(笑)」

岸野「叫び続けようかな」

 第2ラウンド

「次のラウンドですが、では、また攻撃行きます(笑)」

岸野「恐ぇー、俺、後ろ向いたまんまか」

「(コロコロ……)あー、はずれた」

岸野「危ねえ。そしたら――叫びながら振り返ります」

「振り返った」

西郷「わーい」

「そいつの姿がバッチリ見えました。パッと見、子供」

岸野「子供?」

「小学3年生ぐらいってところですかね。で、着ているものですが、多少の汚れはありますけれども、いいとこの子が着るような、長袖のブレザーに半ズボン。ソックスを履いておりまして――」

岸野「うわー、恐ぇーな、それ。さっきフラッシュ焚いたとき、撮れてますかね、それ」

「<写真術>ロール次第でしょうね」

岸野「解りました。あとでロールしておきます」

「顔ですが、世にも恐ろしい顔をしておりまして、はっきり言って奇形ですね。目鼻口のバランスが滅茶苦茶です」

西郷「福笑いみたいな」

岸野「比率がバラバラなんですか?」

「比率も多少は。あと配置も。鼻はひん曲がっていますし、口も閉じることができなさそう。歯並びも滅茶滅茶悪いです。皮膚の色は妙に黒ずんでおりまして、ところどころに大量の吹き出物があります。髪の毛もまばらにしか生えていません」 屋根屋鋏

山形「うわー! 気持ち悪いー!」

「そして手に持っている武器は、例の屋根屋鋏です」

岸野「うわー」

「と、そんなのを見たので<正気度>ロール」

西郷「ちなみに、性別は」

「男の子だろうな、という感じ」

岸野「畜生、こちとら徒手空拳で来ちまったぜ。(コロコロ……)あ、失敗!」

「じゃあ、1D3減らしてください」

岸野「(コロコロ……)3。莫迦な(笑)」

「ではこのラウンドは、振り返ったのと驚いたのとで、他には何もできずに終了です」

(ここでキーパー、山形の<聞き耳>を忘れてます。ごめんなさい)


 ――ではここで、襲撃者のデータを載せておきましょう。データを知らないほうが楽しめる、という方は、飛ばして先にお進みください。念のため、要反転にしておきます。

 α (アルファ)
STR 11DEX 14INT 17
CON 22APP 0POW 17
SIZ 6SAN 0EDU 5
耐久力 14MP 17ダメージ・ボーナス:なし
技能:回避 35、隠す 40、隠れる 80、聞き耳 40、クトゥルフ神話 11、忍び歩き 60、跳躍 40、追跡 50、登攀 60、目星 60
武器:大鋏・挟む 40%、ダメージ 1D8(貫通時、指・耳等、任意の器官を切断)
大鋏・突く 40%、ダメージ 1D6+1(貫通後の引き抜きは自動的に成功)


 第3ラウンド

「(コロコロ……)大成功しちゃいましたけど」

岸野「えーっ!」

「どうします? <回避>か<受け流し>しますか?」

岸野「カメラを台無しにしてよければ<受け流し>だけど――」

西郷「受けられる?」

岸野「失敗したら腕ごと切られそう。<回避>で。(コロコロ……)おー、成功。あっぶねー。ギリギリだ」

「危うく避けた。避けてなかったら、たぶん耳を切り落とされていたと思う」

山形「では<聞き耳>します」

岸野「制服警官が表にいたから、聞こえないかな? このまま逃げていくと、屋敷を通り抜けて表門に出ることになりそうなんですけど」

「そうですね。では、お巡りさんの<聞き耳>を。(コロコロ……)88。月が綺麗だなー」

岸野「この、糞お巡りが!(笑) 役立たずめ!」

「では、山形さんの<聞き耳>ですが、+10%でどうぞ」

(技能値に+10%とか+20%とかいった修正値をプラスしていく方法は、個人的にあまり好きじゃないのですが。たとえば技能値×10%とかしたほうが、もともと苦手な人はたいして伸びず、得意な人はより伸ばせるので、好みです。面倒なのであまりしませんけどね)

山形「(コロコロ……)聞こえませーん」

西郷「凄い、鍵に集中している(笑)」

岸野「カメラを投げつけて逃げようかな」

 第4ラウンド

「今度は鋏で突きに行きます」

岸野「回避だ回避」

「(コロコロ……)あー、駄目だ! はずれです。くそー」

山形「殺す気満々(笑)」

岸野「あっぶねー」

(敵の技能値を隠すため、オープンダイスにはしていませんが、一応、ガチンコで振っています。念のため)

岸野「そしたら、どうしようかなぁー。山形さんから貰ったカメラを相手に叩きつけながら、屋敷のほうに逃げます」

「カメラぶつけても、たいしたダメージにはならないでしょうが……<投擲>を振って、至近距離なので、技能値の2倍以下が出たら普通に命中して、1倍以下が出たら、ちょっとダメージを与えられるかもねー、といったところでしょうか」

岸野「<投擲>は25%か。50%以下だったら、とりあえずぶつけたことになるわけですね?」

「はい。ひるむかもしれない。ひるまないかもしれない(笑)」

岸野「(コロコロ……)あ! 12。ガツーンと当たった」

「ごついカメラを顔面にぶつけた。ダメージ1点」

岸野「やった。ざまー見やがれ」

「鼻から血がダラダラ」

岸野「緑色とかしてますか?」

「赤い血です。そして、『キシャーッ!』と悲鳴を上げた」

西郷「違う言葉を喋ってる」

岸野「うわー(笑)。山形さーん! 山形ーっ! おーい! 山形ぁ!」

山形「(コロコロ……)おっ! 聞こえました」

岸野「うおー!」

「(コロコロ……)お巡りさん聞こえません(笑)」

西郷「寝てるんじゃねーの?」

山形「急いで向かいます」

「次のラウンドで動き始めるといった感じですね」

 第5ラウンド

「では、また鋏が迫ります」

岸野「まだかー! クロックタワーが(笑)」

「シャキーンシャキーン。挟みまーす。(コロコロ……)はずれでーす」

岸野「こうなったらもう、走って逃げるだけですね」

「では、このラウンドの最後の順番(DEX3なので)に、山形さんが走り始めて蔵から出て終了」

山形「屋敷のほうに入ってこないの?」

岸野「来る来る」

「そうですね、次のラウンドで裏門から入れます(生きていればね)

 第6ラウンド

岸野「ここで死んだら、元も子もねえんだよな、俺」

「突きます。(コロコロ……)あれ? 当たらないや」

岸野「あれ? じゃなくて(笑)」

「なんだかさっきから60とか70とかばっかり出るなあ」

岸野「あー、よかった。とりあえず、敷地に入ることには成功したんですか?」

「では、このラウンドで敷地に入ったら、前のラウンドに蔵から出てきた山形さんと目が合う。それで山形さんの番ですが、まだギリギリ敵の姿は見えません。裏門から慌てた様子で岸野さんが入ってきた」

山形「どうしたーっ!?」

「(コロコロ……)制服警官もさすがに気づきました」

山形「出たか! 出たか?(笑) 喜んでる(笑)」

岸野「出たーっ! 出たーっ!」

山形「拳銃とライトはもう構えている」

岸野「撃てーっ! 撃てーっ!」

山形「今撃ったらお前に当たる(笑)」

「では、次のラウンドに入りましょう」

 第7ラウンド

「敵が岸野さんを追いかけながら攻撃しますが、そのときになって山形さんにも姿が見えます」

山形「<正気度>ロールですね(笑)」

「突いてきます。(コロコロ……)はずれです(笑)」

岸野「危ねえ」

山形「<正気度>ローーール! (コロコロ……)成功です」

「じゃあ、1ポイント減らしてください。気持ち悪いから」

山形「撃ちまーす」

「岸野さんどうしますか?」

岸野「自分のカメラで写真撮ろうかな」

山形「えーっ! 構えた瞬間切られるよ(笑)」

岸野「そうか。じゃあ、射線を邪魔しないように山形を迂回するコースで逃げます」

「では、山形さんですが、このラウンドは1回だけ射撃ができます。距離的には、30メートルくらい」

山形「射程10メートルオーバーしています」

「じゃあ、命中率半分で振って」

山形「GO! (コロコロ……)ナイス山形。08で当たりました。半分に減ったから、貫通ではないです」

「こいつはさっき岸野さんを攻撃したから、<回避>はできないですね。では、ダメージ振ってください」

山形「(コロコロ……)9」

「おーっ、でかい!」

岸野「死んだか?」

山形「死なないでしょう」

西郷「私は死ぬよ、それで(笑)」

「では、腹に当たった衝撃で、後ろにバタン! と倒れた」

岸野「とどめに、あと5発撃って。5発」

山形「いや、近くにいるなら鋏を蹴り飛ばしてくれ」

「走って逃げてる最中だったから無理ですね」

(鋏男早くも大ピンチで、キーパー焦ってます。それにしても拳銃って危険な武器ですね)

 第8ラウンド

「まず最初、こいつから行動なのですが、バタンと後ろに倒れ、その勢いでそのまま後方にぐるんと一回転」

浮田「んんんーっ!?」

西郷「やっぱり(笑)」

「起きあがったけど、腹からダラダラと血を流していて、凄く苦しそうなのは判ります」

山形「一応警察官なんで、――それ以上やったら撃つぞ! と(笑)」

岸野「もう撃ってんじゃん!」

「その場にやってきた制服警官、敵の姿を見て悲鳴を上げました(一同笑)」

(役に立たない公僕の図)

「で、その子供ですが、きびすを返して森の中へ走って逃げていきます」

岸野「撃て! 撃て山形ぁ! 生かして帰すな!」

山形「一応、もう構えてるから、敵の行動の前に撃てる」

「あ、忘れてました。逃げる前に1発撃てます」

山形「このラウンドには2回攻撃できるはずだから」

(構えられて射撃の準備ができている火器は、優先的に1発目を撃つことができるルールです。これで当たっちゃったら鋏男が可哀想です)

山形「出ろ! (コロコロ……)失敗」

岸野「あちゃー」

「そしたら逃げ出しますが、すぐに塀の死角に入られて、見えなくなりました」

山形「ああーっ。チッ」

岸野「でかい鋏は残ってるんですかね?」

「いや、持ってってます」

岸野「ええーっ!」

浮田「どんだけお気に入りなんだ(笑)」

岸野「くそー。息の根止めるしかないと思うんだけど」

山形「追っていきますよ、一応」

「じゃあ、山形さんは追っていくということで。制服警官は、お約束で申し訳ないですが、へたり込んでしょんべん垂らしてます(笑)」

岸野「ピストル貰えたりしませんかね、彼から(笑)」

山形「それは山形が許可しないよ(笑)」

「NPCの警官は役に立たないので」

山形「じゃあ、腰に下げているナイフを、おい、使え」

岸野「俺かよ! あんなの相手にナイフかよ!」

西郷「山形さんが警官の拳銃を取ったらいいんじゃないの?」

岸野「山形さん2丁で(笑)」

山形「いや、すぐに追わないといけないから。警官のを取りに行ってたら、逃げられちゃう」

岸野「じゃあ、それは捨て置いて、途中で投げつけたカメラも――壊れたかもしれないけど――回収したいから、追いますけど」

「ふたりで追いますか?」

岸野「はい」

「では追いかけるのでしたら、こいつのDEXと勝負してもらいます」

山形「あーっ! ごめーん!(DEX3)」

浮田「あ、足悪いんだ」

岸野「追っかけらんねーじゃん!」

「ぶっちゃけ、こいつのDEXは14です」

浮田「早っ」

「14対3の抵抗ロールだと、差が11で、×5%で55%。それを50%から引いて、成功率は-5%――無理(笑)」

西郷「不可能か」

岸野「丸腰で追っかける気には絶対ならないから、山形さんを置いて行くわけにもいかないし」

「やっぱり、山形さんの後ろに岸野さんがついていく形ですね?」

山形「(岸野に)<追跡>技能持ってます?」

「そうですね、リアルタイムで追いかけることはできませんが、<追跡>で跡をつけることは可能です」

山形「血だ! 血を追うんだ!」

岸野「取っときゃよかったな、<追跡>」

(ふたりともデフォルトの10%です)

山形「出ろ! (コロコロ……)おかしい、血の跡がない!(笑)」

岸野「(コロコロ……)00振っちゃった(笑)」

「ある程度、血の跡を追っては行けるんですけど、途中で血の跡が見あたらなくなりました」

岸野「――上かな?」

「――察しがいい(笑)。真上の木の枝から、鋏を逆さに持って飛び降りてきます!」

岸野「危ねえ!」

「落下してきましたが、間一髪で気がついたので、<回避>か<受け流し>はできますが。――こいつは知恵があるので、銃を持っていて手強そうなほうを狙います(笑)」

山形「ひゃーっ」

「(コロコロ……)おっ、当たりでーす」

山形「<回避>! (コロコロ……)ひゃっ! さようなら諸君(笑)」

西郷「大丈夫じゃないですか?」

「貫通じゃないから、死にはしないと思います。(コロコロ……)ダメージ4点」

山形「うわ、痛い! 痛いよー!」

「ザクッと刺さった」

岸野「そしたら、山形さんから貰ったナイフで――」

「若干不意打ち気味ではありますが、岸野さんが真っ先に上を見てくれたこともありますので、このラウンドで攻撃してもいいです。<ナイフ>はデフォルトで25%ですね」

岸野「(コロコロ……)おっ、25! 凄え!」

「ダメージを決める前に、<受け流し>を試みます。(コロコロ……)06!」

岸野「えっ!」

山形「ああ、凄えー!」

岸野「力あるのかな、こいつ?」

「ひ弱ではなさそうです」

山形「明日の新聞のトップは決まりだな。『刑事切られる』(笑)」

「では次に山形さん。このラウンドの最後に1回、行動できます」

(すでに<回避>を試みているので、山形はこのラウンドには行動できないということを失念しています。もったいない。あと1回、鋏男が攻撃できたのに……)

山形「撃つ。ゼロ距離射撃です」

「ゼロ距離だから命中率2倍ですね」

(DEXの1/3メートル(四捨五入)以内の標的に対しては、「ゼロ距離での射撃」となり、命中率が2倍になります。ダメージは変わりません)

山形「(コロコロ……)おっ、成功です」

「では、もうこいつ<回避>できないんで、ダメージ振ってください」

山形「(コロコロ……)6です」

「6? ばーん! 肉を切らせて骨を断った。銃弾はまたもや腹に命中し、当たった瞬間、そいつが鋏から手を放してパタッと倒れた」

山形「鋏を蹴って遠くに飛ばす」

「飛ばしました」

岸野「そしたら、岸野はまた刺し殺そうとしますね」

「それは自動命中でいいですよ」

岸野「グサッ! ――もう、責任能力ないくらいの精神状態なんで(笑)」

「そうしたら、最期の痙攣をして、まったく動かなくなりました。ただ――最期にひと言、か細い声で何かを囁いたような気がするので、ふたりとも<聞き耳>をしてください」

浮田「うわー、なんだろう」

西郷「聞けよ、聞けよー」

山形「(コロコロ……)聞こえませんでした」

岸野「(コロコロ……)05!」

「ひと言、『母様――』」

山形「うわ、やっぱりー」

浮田「何ぃー」

山形「あのー、すいません、気絶していいですか? 痛いので(笑)」

岸野「<応急手当>するから。30%しかないけど」

山形「お願いします」

岸野「(コロコロ……)35、あー失敗」

山形「血がダラダラ出てるまま、背負ってください(笑)」

岸野「自分にはできないんだっけ?」

西郷「できる」

山形「ソリッド・スネークみたいに。<医学>が45%あるから、それで。(コロコロ……)あ、成功です」

「1D3回復してください」

山形「(コロコロ……)1」

「血は止めた、って感じ」

山形「へたり込む。(岸野に)応援、応援呼んで」

岸野「ここ携帯通じたっけ? あ、無線機持ってる?」

山形「持ってる」

「――とかやっていると、しゅわーっ、という音が死体から聞こえてきました」

岸野「ええーっ!? あ、でも、落ちついてから写真は撮りますけど」

「死体が湯気を立ててますね」

岸野「撮るだけ撮って、あとは山形さん引きずって離れます」

「死体の着ていた服などが、ドロドロ溶けていきます」

山形「ああー」

「そのまま見ていますか? ――では、やがてすべての服が溶け、肌が露わになりましたが、大変恐ろしい死体でございまして、身体のところどころにぽっかりと穴が空いていて、それらの穴から、変な触手のようなものが出たり入ったりしている」

山形「うーわ」

岸野「えーっ」

「恐ろしいので、もう一度<正気度>ロールをお願いします」

岸野「見なきゃよかった。(コロコロ……)あちゃー」

山形「(コロコロ……)失敗でーす」

「失敗したら1D6減りますが、さきほど顔を見て失った値との合計が6を超えることはありません。つまり、岸野さんの場合ですと、顔を見て3ポイント失っているので、今回減るのは最大でも3ポイントです。山形さんは5ポイントまで」

岸野「(コロコロ……)3」

西郷「効率よく最大値失ってる(笑)」

山形「(コロコロ……)5」

西郷「あああ、発狂する(笑)」

浮田「山形さんも効率よく6ポイント全部くらいましたね」

「(山形に)もとの正気度の20%はまだ減ってないですよね? じゃあ、普通に<アイデア>ロールをしてください」

岸野「僕もですか? <アイデア>」

「いえ、一気に5ポイント失ったので、一時的狂気の判定を」

山形「(コロコロ……)失敗した(笑)」

「大きなショックを受けたけど、あまりよく出来事を覚えていない」

山形「成功すれば<クトゥルフ神話>が増えたのに(笑)。――あ、その触手を見て、<クトゥルフ神話>で判りませんか?」

「そうですね、ロールどうぞ」

山形「(コロコロ……)失敗」

「どうやら、その触手が生えた穴から、どんどん溶解液のようなものが滲み出てきていて、ドロドロと我が身を溶かしていっています」

岸野「証拠隠滅機能つきか」

「そうですね、で、顔も溶けて萎んでいきますけど、そこで――これは山形さんはショックが大きくて覚えていませんが――、岸野さんは判ります。顔がほとんど溶けて、眼球だけがころんころんと転がったのですが、――右眼が緑で左眼が赤です」

岸野「はあー、なんてこった。えーと、つまり、これは、隠し子だ! そういうことだ」

「さらにもう一点。ブレザーやソックスが溶けたとき、露わになった手首足首と頸部に、何やら拘束されていたような痕――環状の痣――があります」

(一同)「ああー」

「手枷足枷首輪がついていたような痕が」

山形「逃げ出したのかもしれない」

岸野「なるほど。そういうことだったのか」

「――で、もちろん、応援が駆けつけるのは、死体が完全に溶けてからです(笑)」

岸野「あー」

西郷「でも、死体がないと困るよね。銃撃ったりしてるし、怪我してるし(笑)」

山形「一応、銃をしまってナイフを返してもらって――」

岸野「あの鋏どうするよ? でっかいの」

山形「それは証拠として取っておいて、一応、口裏合わせておこう(笑)。犯人を逃がしたってことにしよう」

岸野「残念ながら逃がしたってことに。じゃあ、この屋根屋鋏は犯人が落としていったということで」

山形「暗くて顔は見えなかったけど、小柄だったということにしよう。それ以上は判らないと言おう(笑)。――で、俺の写真撮れ。スクープだから」

岸野「(笑)はい、チーズ」

山形「約束果たしたぞ! って言って気絶します(笑)」

岸野「増援来たあとは、事情聴取とか受けるんですよね」

「まあ、適当にごまかしたということでいいですよ。それと、山形さんの記憶の欠けている部分も、朝までに岸野さんが話して聞かせたということで」

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