Opening Act. 1 Act. 2 Act. 3 Act. 4 Act. 5 Act. 6 Act. 7 Act. 8 Act. 9 Act. 10 Ending
Act.3 芸術家の不在
「その繭の表面をズームして見てごらん。それが、やつらにとってのモニター画面なんだ。
やがてそこに、"原始の海"が映し出されるようになる。
つまり、やつらが自分のコンピューターのなかで、生命の進化の過程をシミュレートしはじめる。
それが終末の合図になって、ゲームに"ハルマゲドン"現象が起こるようになっているんだ……」― 渡辺浩弐 『マザー・ハッカー』
(場面転換)
K「さて一方、アヤセ宅ですが。えー、某マンションのですね、1108。11階8号室」
山田「普通に入れるの? それとも呼び出す形式?」
K「ピッポッパってやって呼び出してください。金持ちですねぇ」
山田「ああ〜。じゃあ、言われたとおり、ピッポッパって」
K「ピンポ〜ン………………」
山田「ピッポッパッ」
K「ピンポ〜ン………………」
山田「……管理人さんは?」
K「一階の管理人室にいますよ」
山田「あのぅ――」
K「あのぅ、って行くとですね、おっと、先客が」
山田「あ?」
K「なぜか、豊田美穂さんが」
山田「あれっ? 君……あれっ? あれっ?」
K「『あら、偶然ですね。どうしたんですか?』」
山田「いや、ちょっとある人を迎えに来たんだけれども――」
K「えーとですね、管理人さんらしきおじさんと、豊田美穂さんが、何か話していました」
山田「ああ。ま、いいや。ちょっと急ぎなんでごめんね、と言って」
K「『あ、はい』」
山田「管理人さんのほうに」
K「管理人さんは五十代後半の、すだれハゲの、でも人のよさそうな」
山田「でも?(笑) でもを強調されると――」
K「えー、『何です?』」
北村「アヤセマサキ」
山田「うん。小さい声で、あのぅ、アヤセさんにちょっと会いたいんですけれども……」
K「『アヤセぇっ!?』」
山田「うわー!(笑)」
K「『アヤセ? あの、プラモデルの?』」
山田「おじさん、プラモデルじゃない、モデリングって言うんだよー。と、少し熱くなってしまって(笑)」
K「『それなら、ほら、あの娘も』」
山田「へ?」
K「すると豊田美穂さんがですね、『あの、アヤセマサキって、私のお兄さんです』――」
山田「あれれ?」
K「『三日くらい前に、私のところにお兄さんからメールが来たんですけれども、それを最後に音信不通で連絡が取れないんです』」
山田「ええ〜っ」
K「『今日、訪ねてみたんですけれど、留守みたいで、ちょっと管理人さんに頼んで開けてもらおうかなーと思ってたところなんですよ』」
山田「実はこちらも……と言って。かくかくしかじか」
K「『あ、それは大変ですね!』」
山田「早くしないと、売れない芸人が潰されそうなんですよ!」
K「『うーん、プロとして、そういう仕事の約束を破るような人じゃないんですけどねぇ……』――ちなみに、『兄の名前、豊田光一(とよだ こういち)って言います』」
山田「とりあえず上にあげてもらわないと」
K「うん、管理人さんも『そういうことなら、ちゃんと妹さんもいることだし』とOKしてくれます。じゃあ、エレベーターに乗って――ウィーン……」
山田「11階だから結構長いんだろうなぁ」
K「チーン」
山田「おっ」
K「7と1/2階です(一同笑)」
山田「開けるなよ! こんなところで! 壁だよぉ」
K「いや、違うよ。背を低くして行くの。一番奥にね、マルコヴィッチへの穴が(笑)。まあ、これは映画ファン大喜びのジョークとして――。
じゃあ、11――と1/2階へ(笑)」山田「だから半分下りなきゃいけないだろ!(笑) 面倒臭いんだよ、これじゃあ!」
北村「必ず1/2階に止まるエレベーター(笑)」
K「さて、では8号室。『豊田』の表札。フツーのドアですね。まさかこんなところに世界的な天才モデラーが住んでいるとは」
山田「ピンポーン」
K「しーん。ということで、管理人さんが鍵を開けてガチャリと――開けてくれた! するとそこには――! ま、誰もいないんですが(笑)。
えーっと、そうですね、部屋が3つありまして、寝室、リビング、作業用工房みたいなのと、ありますね。でもリビングと寝室にも作品っぽいものがごちゃごちゃとあります。作品とか、屑鉄とか。入ると、鉄の臭いが結構してますね。あまり整理整頓はされてないです。
――それで、美穂さんがキョロキョロ見ながら捜しますけど、やっぱりどの部屋にもいません。風呂場やトイレにもいません。押し入れにもいません」山田「どうしちゃったんでしょうか」
北村「うーん」
山田「作品らしきものが置いてあるというのは?」
K「うん、結構あるね。マニア垂涎の作品が、そのへんに無造作に置いてあります」
北村「ああ、そいつは凄い」
山田「でも俺には解んねえなぁ、と思つつ……」
K「傑作『ガイア』が無造作に置いてある。地球モデル。とは言っても地球儀じゃないよ。そんな単純なものではない」
北村「壊さないようにしながら、じーっくり見ていこう」
K「まだ未完成なのか未発表なのか、それとも大事なものなのか判らないけれど、布が掛けられているものも幾つもある」
北村「ちょっと捲って――」
K「なんか、これは未完成。でも、もしかしたらこれで完成なのかなぁ、というものが(笑)。よく解らんのが一個。
――さて、<目星>ロール振ってください。ふたりとも」(コロコロ……)
山田「うん、失敗」
北村「はい、1足りませんでした」
K「それじゃあしょうがないな、じゃあ美穂さんが指摘することにしよう。――『こないだ来たとき、ここにパソコンあったと思うんですけどねぇ』と。リビングのですね、デスクの上が、言われてみると不自然に空いているね。何か置いてあったものがどけられたような」
山田「埃もそれっぽい形に――?」
K「うん、なんか四角い」
山田「そう言えば、何かあったみたいな。確か、メール受け渡ししてたんですよね」
K「『そうなんですよ、デスクトップパソコンが、以前来たときにはあったはずなんですけどねー』」
北村「プリンタとかは? スキャナとか」
山田「パソコン一式なくなっちゃってる?」
K「そうですね。よく見てみるとですね、コード――パソコンから伸びていたであろう電源コードが、途中で切れてる」
山田&北村「あれ?」
山田「切れ方は?」
K「切れ方はですね、もの凄い鋭利な刃物で斬られたかのように、綺麗にスパッと」
山田「ほーう。電源は刺さってる?」
K「そうですね。刺さっています」
山田「あ、危ないから抜いとかないと」
K「じゃ、抜いときます」
北村「パソコンはどこかにないのかな? ベランダとかに」
K「ああ、ないですね」
山田「うーん、どこ行っちゃったんだ」
K「更に<目星>か<アイデア>好きなほう振ってください」
(コロコロ……)
山田&北村「成功」
K「じゃあ、気づいたことは、どうもこの部屋にいると、平衡感覚がおかしいというか、部屋の形が歪んでいるように見える。若干」
北村「うーん」
K「何だろう、と思って見るとね、壁が微妙に膨らんでいるかのように内側に曲がっている。よく見ると天井もそんな感じに見えたり。床も、物置いたら転がるなぁ」
北村「物置いたら転がるということは、実際そうなっていると」
K「うん、なっている。多少だけど」
山田「管理人さんのほうを向いて、この部屋たてつけ悪いですねぇ、と(笑)」
K「『いやぁ、そんなことは――ないですよ』」
山田「でもここらへん、何か、こーうなってるんですけど(笑)、と指摘してみる」
K「『あ、確かに。何だろう、これは』」
山田「他の部屋もこうじゃないんですか?」
K「『そんなことはないですよ』――うん、このパソコンがあったはずのリビング。ここはそうなってますね」
北村「そこだけは? その他の寝室とかは――?」
K「うん。その他の部屋は別段――」
山田「うーん、いや、それより何より、何でだ!? どこに行っちゃったんだよぉ。作品と本人連れて行かないことには――」
北村「机の上には、他には何もないんですかねぇ」
K「ごちゃごちゃしてますねぇ。フロッピィケースとかMOケースとか、そういうのはあるけど」
山田「書き置きとか何か置いては?」
K「そういうのはないですね」
北村「フロッピィケースとかMOケースとかは、やっぱり持ち出したら拙いよねぇ」
K「まあ、常識的に考えると、凄く拙そう(笑)」
山田「あ、美穂さん、そういえば、メール貰ってましたよね?」
K「『ええ』」
山田「その内容というのは――?」
K「『その内容がよく解らないんですよ、何か――。何を言わんとしているのか。いつもは、どうってことのない日常の会話とかなんですけれど、それは挨拶もなしに何か、芸術論みたいなことをいきなり書いてきて……』」
山田「うん。そのメール見せ――いや、この部屋では(笑)。
あ、えーっと、作品を持っていけるかどうか、妹さんに――」北村「掛け合ってみようか」
K「『いやー、兄の許可がないと難しいと思いますけどねぇ』」
山田「やっぱり無理か(笑)。じゃあ諦めて――ちょっと、メールを見せてもらえませんか?」
K「『ああ、そのメールですか? 今ここでは見られませんが……私の部屋に行けばお見せできますけど、もうちょっと私ここで調べてみるというか、待ってみようと思うんですけれど』」
山田「ああ――」
北村「他にどこか、心当たりみたいなものはないんでしょうか?」
K「『うーん、ないとういうか、知らないというか――。兄の行動範囲についてはよく知らないですねぇ。でもあんまり頻繁に出掛けるような人でもないですし、たとえば海外に行ったりするにしても、事前に必ず私のほうに連絡くれるはずですし……』」
山田「小康状態になってしまったな。じゃあ、とりあえず、会場のほうの連絡先ってのは解ってる?」
K「うん、解ってる」
山田「そっちのほうに連絡を入れます」
K「じゃあ、さっきの係員――そうですねぇ、じゃあ、村瀬(むらせ)君に。『はい』」
山田「あ、村瀬さんですか?」
K「『ええ、そうです。えーと――』」
山田「山田ですー」
K「『あ、ど、どうですか?』」
山田「あのー、いないんですけれどもー、と(笑)」
K「『いないぃぃっ!? アヤセさんですか?』」
山田「ええ。ちょうど妹さんがいらっしゃって、その方と今部屋にいるんですけれども――」
K「『はい』」
山田「うーん、何か、もぬけの殻というか……。作品の類はあるみたいなんですけれども、持ってけるような感じでもないんでー」
K「『そうですかぁ。困っちゃいましたねぇ――』」
中村「うーん、困ったなぁ(一同笑)」
山田「やばいぞー(笑)」
K「『こっちのほうも大変なんですよー。あの中村って人、ちょっと頼りなくて……』(笑)」
山田「あれぇ? そこそこ売れてたと思うんですけれどもー」
K「『アヤセさん不在について色々説明しなきゃいけないのに、何を思ったか、モノマネ始めちゃって』」
山田「え、まさか、タモリなんかやってないですよね?」
K「『そのまさかですよ!』」
山田「ああーっ!(笑) やっちゃったのかぁ!」
K「『なんでも、タモリを遡るとかいうネタで、今のタモリから何年前のタモリから、』」
山田「やばい。と、とりあえず、そっちは暴走を抑えさせといてください(笑)」
K「『解りました。じゃあ、とりあえず、戻ってきてください。こっち人手不足なんで』」
山田「解りましたぁー。んじゃあ、妹さんと管理人さんに、会場のほうが大変なんで、と言って」
K「『あ、解りました。じゃあ、お気をつけて』」
山田「また、こちらに戻ってくるかもしれませんので、そのときはお願いします、と。――あ、もしお兄さんがいらっしゃったら、こちらのほうでお待ちしてます、と、会場を教えます」
K「『解りました。伝えておきますんで』」
山田「じゃ、帰りましょう、先輩」
北村「うーん、不思議だなぁ」
山田「じゃ、エレベーターに乗って――(笑)」
K「じゃあ、1と1/2階に(笑)」
(場面転換)
K「そのとき会場では、大混乱です(笑)。やんややんや」
北村「やんややんや?」
山田「あれ? 結構受けてんのか、実は?」
K「わっしょい、わっしょい(一同笑)」
山田「うわ、それはそれで成功か? ――タモリを出せ〜っ!」
北村「ざわ… ざわ…」
K「ざわ… ざわ…」
(福本伸行ファン大喜び)
K「そんな大混乱のところに、ふたり、帰り着きました」
北村「何だ、この騒ぎは!?(笑) いくらなんでも、タモリが原因でとは思わねえだろう(笑)」
山田「でも、確実に半分はタモリのせいだ(笑)」
K「さて、と、なんやかんやあって、この日は終わります」
山田「ああぁ、終わっちゃったよ(笑)」
K「大混乱のうちに幕を閉じます(笑)」
中村「とりあえず、ギャラは貰っていく」
山田「貰えんのかよ(笑)」
K「ギャラは事務所のほうに。あとは給料という形で」
山田「たぶん、信頼度からいって天引きだな」
中村「さて、次の営業は……」
K「さて、そういうことでその日終わって後始末もあって、控え室で」
山田「打ち上げかな」
K「打ち上げというか――」
山田「反省会(笑)」
中村「打ち上げでもまたネタをやろう」
K「反省会です。『タモリのここがよくなかったと思うんですよ』」
山田「ああ、ダメ出しされてるし、プロが(笑)」
北村「ネタに関しての反省か」
山田「そう(笑)」
K「『――それにしてもアヤセマサキさんはどうしたんだろう』ということで」
中村「うーん」
K「それじゃあ、まあ、中村さんも、ふたりからそのことは詳しく聞いたということにしておいてください。大いなる疑問を抱いたということにしてください(笑)。正義感に駆られたということにしてください(笑)」
(そうでもしないと、このキャラクター絡められないよ、シナリオに)
K「アヤセマサキさんに落とし前をつけさせたいと思ったということで。
――はい、というわけで、その日はそれ以上は何ごともなく終わります。皆さん、帰途についてください」山田「はーい。とりあえず、ふたりを送んなきゃいけないんだな」
K「自分の作品を持って」
山田「うん。その人形、いい加減どっかに棄ててくださいよ、先輩(笑)」
北村「何言ってんだよ。このライン凄いじゃんか、お前――」
山田「着きましたよ!」
K「その作品を欲しがった人はいなかったね(笑)」
山田「結局残ってたじゃないですか」
北村「ばーか、解んねえんだよ、このへんのヤツらにはよぉ」
K「さて、えーと、いいかな?」
山田「ふたりを落としていきました。で、自分のところの蜂の巣に来て、ちょっと隣の部屋、ノックノック」
K「ピンポ〜ンですね」
山田「あ、ピンポン」
K「『はい』」
山田「山田でーす」
K「『あ、はい』と。ガチャッと開いた。『先ほどはどうもすみませんでした』」
山田「いえいえ。結局はいらっしゃらなかったんですね」
K「『はい、そうです。あの後ずっと待ってたんですけど、駄目ですねぇ』」
山田「どうしちゃったんでしょう」
K「『日記でもつけてないかなぁって、フロッピィとかMOとか持っては来てるんですけど、そういうのはないみたいですね』」
山田「あ、そういえば、昼に頼んでおいた、あのメール見せて頂けませんか?」
K「『あ、いいですよ。どうぞ、上がってください』」
山田「ずかずかずか……(笑)」
K「じゃあ、ずかずかと上がってください」
山田「ばーん!(勢いよくドアを閉じる)(笑)」
K「ばーん、じゃねえよ!(笑)」
山田「気づかれないように接近(笑)」
K「えーとですね、彼女の部屋は、ワンルームマンションだから、ちゃんとベッドもありますね」
山田「ひととおり、ウチと同じ形」
K「女の子の部屋にしては、もの凄く殺風景で機能的ですね」
山田「使いやすそうな部屋だなぁ」
K「使いやすそうですね。ファンシーなものは一切ないと。
――ひとつだけ、コンピューターをつけて起ち上がるのを待っている間にですね、モニター脇に、可愛らしいブルーのミニカーが置いてあるのに気づいた。それだけが唯一目を引く」山田「今度、あの車に変えようかなー、とか」
K「とか言うと、『あ、これ、兄の作品なんですよ』」
山田「え? 昔の作品の中に、そんな感じのも?」
K「いや、ないですね。リアル志向でしたから。これはワーゲンを可愛くデフォルメしている」
山田「ん? こんなのまで創って――随分と幅の広い人だ」
K「『こういう作品は、今のところ、これひとつだけです。本当は、こういうのも創りたいんだって言ってました。自分の最高傑作だ、なんて冗談めかして言って、私の誕生日にくれたんです』。
――そうこうしているうちに、ピロローンとウィンドゥズが起ち上がって、メールを開いて、『これです』と言って見せてくれた」中村&北村「どれどれ」
山田「まだ見えてないでしょ(笑)。落としていったんだから、ふたりとも」
K「なんでふたり連れてこないかなー」
山田「うん、忘れてた(笑)」
中村「今頃俺は、ジャングルテレビのタモリを研究している(一同笑)。ビデオ何回も観て」
差出人:ayasemasaki
送信日時:****年8月10日 23:18
宛先:miho-ty@nau-net.ne.jp
件名:cosmic method
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宇宙が、何らかの意志によって知的生物を生み出したのではない。
宇宙を知覚できる生物がいるからこそ、宇宙が存在する。
つまり、観測者不在の宇宙など、存在しえないのだ。
宇宙を消滅させるためには、観測行為を完全に停止すればよい。
観測と定義を放棄したとき、それは同時に宇宙の終焉を意味する。
このことを我々は決して失念すべきではない。
山田「――うん、確かに、ちょっとわけが解らないですねぇ」
K「『ですよねぇ、何のことやら……』」
山田「とりあえず、文章だけ頂いていっていいですか? 書き留めていって」
K「『ああ、構いませんよ。それとも、山田さんって、メールされてますか? アドレス教えて頂けたら、送信しますけど』」
山田「あ、じゃあ、これで、と。――yamada@.com(笑)」
中村「凄ぇなぁ」
山田「凄いんだよ、この人(笑)」
K「ドットコムなんだ(笑)」
山田「じゃ、これで転送してもらいます。……まあ、何か解ったらお知らせしまーす」
K「『お願いします。心配なんです、兄が突然いくなってしまって――』」
山田「確かに」
K「『なんでパソコンがないのかも気になるし』」
山田「おかしいですよね」
K「『兄は結構パソコンを使ってまして、作品の構想とかラフスケッチとか、そういうのも全部パソコンで最初に創っているんです』」
山田「その中身がそういうことは、宝の宝庫ということですね?」
K「『ああ、マニアの人にはそうですねぇ。私にはよく解らないんですけど……』」
山田「じゃあ、とりあえずは、これで失礼いたします、と出ていきます。
で、自分の部屋戻って、もう一回メール出して、今度はプリントアウトして。転送もします」中村「nakamura.com(一同笑)」
K「凄いな、みんな(笑)」
北村「じゃあ俺も、kitamura.comで」
山田「kitamura.com.yamada.com(笑)。山田グループの中の北村。
――ちょっと、ふたりのところ寄ってみようかな。このメールを持って、まずは北村さんのところに行こう」K「来た」
北村「どうしたんだい?」
K「夜だよ、今」
山田「なんかちょっと気になって、先輩に見てもらいたいものがあるんですよ」
北村「ほうほう」
(山田は、先ほどのメールを北村に見せました)
山田「先輩、解りますか?」
北村「うーん、何のことだろうなぁ、これは」
山田「先輩も解りませんか。じゃあ、もうひとりくらい当たってみようかなぁ、と。今度はスターのところに。とりあえず、まず家のほうに向かってみる。ピンポ〜ン」
中村「なんだ、今いいところだったのに(笑)。タモリのビデオを観ていて――。なんだい? こんな夜遅くに」
山田「あのぅ、ちょっと、これ見てもらいたいんだけど」
中村「なんだい? これはなんだい?」
(中村もメールに目を通します)
山田「今日、来なかったよねぇ、アヤセさん。それはアヤセさんの妹さんに来たメールなんだけどさぁ」
中村「うーん、ふむふむ。……cosmic method……?」
K「もう、解っちゃったね。謎は全て解けたね(笑)」
北村「全ては(笑)。――俺的には解けた!(笑)」
中村「何でしょうね、まあ、地球外生物の存在を示していることは確かだ(一同笑)」
K「飛躍するなぁ(笑)」
北村「そーなんだ」
山田「さすがはスター、考え方が違う。芸能界で揉まれているだけはあるなぁ」
K「揉まれておかしくなっちゃってる(笑)」
山田「で、これ、ちょっと考えてみませんか? 三人で。――ああ、夜が明けちゃう」
K「もう日付は変わっているよ」
中村「しかし何度見ても、ここから得られるヒントというのは――」
K「これだけだと、ねぇ、何も」
山田「ここで一日過ごしちゃうかもしんないね。色々話し合いしているうちに」
K「スターの豪邸で(笑)」
山田「どこに住んでるんだろう? 迎えにはよく来てたけど、部屋に上がらせてもらったのは初めてだから」
K「賃貸マンションだと思うけど」
山田「ピッポッパは、なかったんだね」
中村「まあ、ブザーだから(一同笑)」
山田「ピンポンじゃないんだ(笑)」
中村「中に入ったの?」
山田「入れてもらえるんでしょ?」
中村「まあ、別に、入れなくはない」
山田「そういう部屋か!(笑)」
中村「ちょっと、営業用の小道具とか衣裳が多いけど、まあどうぞ、と言って入れよう。
なんとか三人は居れる」山田「額くっつけながら色々と、これに関して喋って――朝かな」
中村「そうそう、そういえば、僕が出演したビデオがあるんだよ(一同笑)。ビデオを観せ始める」
山田「その間に、いつか眠りに入ってしまいました」
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