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― セッション終了 ―
今、リアリティーよりもヴァーチャル・リアリティーのほうが断然、偉いのだ。― 渡辺浩弐 『ヴァーチャリアン嘘つかない』
K「というわけで、今回のシナリオ『コズミック・メソッド』は、これにて終了でございます。おふたりは宇宙を見て生き残ったのですから幸運です。もの凄い幸運です」
山田「ことごとく発狂しまくるなぁ」
K「生き延びたことによる正気度回復ですが、美穂を助けられなかったからなぁ……本当、惜しいね。――じゃあ、1D6回復していいです」
山田「(コロコロ……)3」
北村「(コロコロ……)6」
K「ホント、正気度高いな、お前(笑)」
北村「ああ、減ったぁ」
K「減ったぁって、まだ75もあるじゃないか(笑)」
(それと、山田が初期値を下回りました。めでたい♪)
K「しかし、見事にクトゥルーなシナリオだなぁ。耐久力が全然増減してないぞ(笑)」
(美穂が拳銃を持っていたのはクトゥルーらしくない、ですって? ――誰が本物の銃と言いました?)
K「じゃあ、チェックしてあった技能をレベルアップしましょう――」
中村「このキャラは、やっぱ、死亡?」
K「そのキャラはもう、この次元にはいない。僕らが住む宇宙にはいないです」
中村「そうですか――。後に、たぶん、何か話題になるんでしょう。あのスター☆が消えた、ということで(笑)」
K「若人あきら以上に(笑)」
(山田と北村の技能成長が終わりました)
K「山田君は入院ということで」
山田「はーい。精神錯乱が貰える」
K「1D10振ってみて」
山田「(コロコロ……)5」
K「5――フォビアあるいはフェティッシュ。……何にしようかなぁ……それじゃあねぇ、恐くて発狂したと言うよりは感動して発狂したので、"星空フェティッシュ"!」
山田「かっこいい〜(笑)」
K「とにかく、夜空や星空は、見ずにはいられません。いつまでもボーっと見てます。宇宙の形を夢想しながら」
山田「夜、上向いて歩けないじゃん」
K「歩くのも勿体ない。できるだけ空が広く見える場所へ行って。――でも今は入院中だからね。退院すれば軽くなるから」
山田「あああううう」
K「ボケッとすることはあるけど、生活に支障をきたすほどではない(はず)。
――それと、<クトゥルフ神話>技能ですが、初めて発狂しましたね? しかも神話絡みで。でしたら<クトゥルフ神話>+5%」山田「わーい♪ って、喜んでいいの? これは」
K「更に生き残ったおふたり、神話事件を生き残ったことにより、<クトゥルフ神話>+1%です。上昇したぶん、正気度の上限を減少させてください」
(山田の<クトゥルフ神話>が12%、北村が7%となりました)
K「じゃ、そういうことで、おしまいでございま〜す」
―― 『モニター上の神様』 了
(プレイ時間:230分)
あとがき 既にお解りのことと思いますが、今回は新宿三郎、じゃなかった、渡辺浩弐さんの『モニター上の冒険』内「フラクタル」のエピソードを一読した折りに思いついたシナリオです。フラクタルで宇宙の形状を描き、それが実はダオロスの姿と同一であったという――。ダオロス=宇宙、というわけですね。
数年前に考えたきり、放ったらかしにしておいたこのアイデアですが、一向に"形"にならず、そもそもTRPGのシナリオ向けじゃないよなぁと開き直ってもいたのですが、森博嗣さんの小説から勝手に拝借したアイデアと融合させることにより、何とか今回、このような"形"として世に送り出すことと相成りました。よかった、よかった。
あとがきで作品内容の補完をすることなどは邪道です。いけません。駄目駄目です。でもこの作品のテーマを言うなら、「宇宙」と「モデル」です。僕なりの宇宙観を(一部ではありますが)出してみました。また、何から何までモデルだらけです。冒頭の模型交換会、アヤセマサキの自然モデル、美穂が構えた拳銃モデル、核を担う宇宙モデル、自らを兄のモデルと化した豊田美穂。全く作中に登場しないアヤセマサキ(豊田光一)も、何かのモデルとしてのカリカチュアされたメタファーかもしれません、とか言うと意味は不明ですが難しそうでかっこいいです。これら数多のモデルの中で、唯一ワーゲンのミニカーだけがデフォルメされていて本当の意味でのモデルとは言えないということも、ひょっとするとアンビバレントでリリカルなアイロニーである可能性もなきにしもあらずです。すみません。これを書いている今、とても眠いです。
尚、外なる神ダオロスは、召喚の際、真の闇の中で結界内に閉じ込めておかなければなりません。そうしなければ姿が見えてしまって召喚者は発狂しますし、ダオロスは好き勝手に膨張してしまいます。
作中のダオロス・モデルの理屈もこれと同じでして、電源を切った(暗闇の)モニター内(結界内)で飼育しなければ危険です。我ながら素敵なことを思いついたものです。手前味噌です。どうして味噌なのでしょうね。醤油では不都合なのでしょうか。手前醤油、なかなか語呂は良好だと思うのですが。ところで醤油といえば、我々日本人にとっては、大概の料理にマッチしますね。どうしてだか知っていますか? 僕は知りません。ちなみにマヨネーズも、大概の料理によく合う調味料のひとつです。醤油とは双璧ですね。ちなみに僕の愛する神話存在の双璧は、《闇をさまようもの》とダオロスです。別にどうでもいいことでしたね、はい。ところで、双璧の璧は壁ではないということを知っている人は、知らない人より多いのでしょうか。誰か調べてみてください。すみません。これを書いている今、とても疲れています。そうそう、「コズミック・アポカリプス」は当然、イギリスのダオロス信者のサイトです。『グラーキの黙示録』の内容を掲載していたに違いありません。削除されてよかったですね。きっと、英国の勇気ある探索者たちの活躍のおかげでしょう。くわばら、くわばら。
またもや最後になりますが、当シナリオの作製において、湖の隣人さまに幾つもの暖かい助言を頂きました(基本的なアイデアの段階から、ダオロス像に関する考察までも)。この場を借りて深謝いたします。どうもありがとうございました。これからもお世話になります。
そんなこんなで、長い間暖めていた(自家薬籠中とか言うと文士風でかっこいいぞ)アイデアを放出できて、意外と感無量であったりもするトラペゾでした。
それでは、このへんで。皆様の息災を願って――。
おやすみなさい。―― 2001/1/7 Trapezohedron.
【影響を受けた作品(一部引用)】
『ヴェールをはぎ取るもの』ラムジー・キャンベル著/湖の隣人さま訳
『モニター上の冒険X』渡辺浩弐著(電撃文庫)
『笑わない数学者』森博嗣著(講談社ノベルス)
『数奇にして模型』森博嗣著(講談社ノベルス)
『魔剣天翔』森博嗣著(講談社ノベルス)
『パワー・オフ』井上夢人著(集英社文庫)
ゲーム『シルバー事件』より「case#4 カムイドローム」須田剛一監督(グラスホッパー・マニファクチュア)
【参考・引用文献】
『カオスとフラクタル』山口昌哉著(講談社ブルーバックス)
『四次元問答』都筑卓司著(講談社ブルーバックス)
『宇宙300の大疑問』ステン・F・オデンワルド著/塩原通緒訳(講談社ブルーバックス)
『宇宙論の危機』マイケル・D・ルモニック著/小林健一郎訳(講談社ブルーバックス)
『ネオフィリア』ライアル・ワトソン著/内田美恵訳(ちくま文庫)
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