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Act.4 アヤセマサキ
僕は"アドバイザー"にすっかり頼りきっていた。
こいつの発するすべてのアドバイスは、神様の言葉のように絶対だった。
僕はもう、このマシンなしでは何もできないくらいだった。― 渡辺浩弐 『デジタルな神様』
8月14日(月)――
K「――はい、朝になりました」
山田「ふぁあ……あれ? なんでこんなところにいるんだっけ? あ、そういえば――テレビがザーッとなってるのかな。ふたりは、まだ起きてるのかな?」
北村「寝てるな」
山田「スターは?」
中村「俺はずっと観てる(一同笑)。朝まで自分の演技を」
北村「熱心だ」
山田「山田、今になって起きたんですけど……」
K「さて、これから何をしましょうか」
山田「えーっと、ああ、アヤセさんのホームページとか出てないのかな」
K「コンピューターあるのかな、ここ」
中村「<コンピューター>01%だからなぁ」
K「01%(初期値)でも、普通には使えますけど。基本操作だけなら、できなくもない」
山田「ウィンドゥズが起ち上げられないの?(笑)」
中村「ウチには生憎と、ないからねぇ――」
山田「じゃあ、ウチに来るかな、ふたりとも?」
北村「うん、行こう」
山田「ウチもそんなに広くはないんだけど……」
北村「(中村に)ドットコム持ってるんじゃなかったの?(笑)」
山田「そうだよ!(笑)」
K「嘘だったんだ(笑)」
中村「まあ、ちょっとした見栄だよ」
山田「ドットコムの意味が違うんだよ。凄く混むっていう意味の」
K「うわ、駄洒落だ」
山田「んじゃあ、ふたりを連れて自分のマンション」
K「着いた」
山田「じゃ、部屋に」
K「ちなみに、今夏だから暑いよ。凄く暑いです」
山田「うーん。――窓を開けます」
<一同>「えーっ!?(笑)」
山田「何か? ウチはこれが普通なんだけど」
北村「あー、ウチ、来ねぇ?(笑)」
K「さすが医学部は金持ち(偏見)」
山田「じゃあ、北村さんのところへ移動して。さて、何が出るのかな」
K「ハンディ扇風機(一同笑)」
中村「それがみんなに渡されるの?」
山田「さすが一台ずつあるのかぁ(笑)」
北村「クーラークーラー。各部屋に」
<一同>「おおー」
山田「各部屋って、何ヶ所あるの?」
北村「まあ、ふた部屋くらい」
K「ふた部屋でクーラーふたつ……贅沢だぁ。凄まじいな」
中村「で、肝心のパソコンあるのかい?」
北村「そりゃ、当然。ありますよ、二台」
山田「二台。――6001と6001mk2(笑)」
K「あ、ごめん、場所移動の前に、山田君のマンションで、豊田美穂さんとすれ違った」
山田「ちょっと待ったぁ!」
K「『あ、こんにちは』」
山田「あのあと、お兄さんの何か解りました?」
K「『何も解らないですねぇ――あ、そちらの方は? (北村に)そちらの方は、昨日もいらっしゃってましたよね』」
北村「山田の先輩で、北村です」
K「『あ、どうも』と。こっちは(中村)――知ってるかな? あんまテレビ観ないからな、この人」
中村「いやいやいや……」
K「(美穂の<知識1/2>ロール。コロコロ……)――『えーと、どちら様でしょうか?』(笑)」
山田「あーっ、やっちゃったよ。(笑)――映画は?」
K「あ、映画は観るかも。(コロコロ……)『あれ? どこかで……』(笑)」
山田「もうちょい、もうひと押しです(笑)」
中村「ちょっと、自分のプロフィールというか、こういう映画に出たことがあるというのを、つけ足してみる」
K「『ああ、その映画観ました!』」
山田「おっ(笑)」
中村「このへんに出たんですけどね、ということを言う」
K「まあ、覚えています。思い出しました」
中村「あのシーンどうですかねぇ?」
K「じゃあ、無難な答えをされた(笑)」
山田「スター、いつから芸人辞めたんだよぉ」
中村「ありがとうございます」
K「『とてもいいシーンですよね』」
山田「シーンだったのか。人は関係ないんだね、たぶん(笑)」
中村「満足してよう」
K「ま、それはそれとして」
山田「しょうがないな、家でクーラーつけますよ」
北村「今日買うの?」
山田「いや、物はついてるの。点けてないだけ(笑)」
北村「(嘆息)だったら別に、来いとか言わない!」
K「じゃあ、クーラーかけて、遊んでください」
北村「君んちのパソコンには、エロゲーが入ってないなぁ(笑)」
山田「だから、違うんですってば」
K「で、なんだっけ?」
山田「アヤセマサキ関係のホームページを片っ端から調べて、昨日の事件のことやら、メールに書いてあったようなことがないかどうか、特に本人のホームページがあった場合は」
K「じゃあ、一番大々的でコアなアヤセマサキファンの、もちろん日本人が作っているウェブサイトを見つけた。"アヤセマサキファンの集い"みたいな感じのね。ここでは、そうだね、主な作品を写真つき解説つきで紹介していたり、アヤセマサキ氏の最近の活動内容とか、もちろん掲示板もありますね」
北村「やっぱり昨日の交換会に出るっていうことは、当然判ってるんだよね。そのことの騒動についても――?」
山田「書いてあるんじゃない? コアなところだから」
K「騒動についてのレポートみたいなのはないけど、掲示板見ると話し合ってるね。『私行きましたけど、何で来なかったんでしょうね』とか『噂では行方不明らしいですよ』とか『不幸な事故に遭われたのでは』とか」
山田「ああああ」
中村「そのときの司会については?」
山田「罵詈雑言が(笑)」
K「『それにしても、あの司会は酷かったです』という書き込みも(一同笑)、ポツンと見られます」
中村「そうか……」
山田「怒りに任せてここに書き足すのはやめてください(笑)」
K「『どうしてあの人を呼んだんでしょう。それだけが疑問です』(笑)」
北村「言われてる、言われてる」
中村「ところで、アヤセマサキ自身が書き込むような掲示板というのは見つけられないかな」
K「それは<コンピューター>か<図書館>で振ってもらおうかな」
(コロコロ……)
<一同>「成功!」
K「見つかりませんでした」
中村「書き込まない人だね。まあ、そんな気はしたけど」
K「まあ、今開いてるこのファンの集いのウェブサイト、ここが一番あらゆる情報に詳しいと思う。色々検索してみて判ったけど」
山田「じゃあ、あとは何だろう。作品について見ていこうかな」
K「作品紹介――そうですね、作品の写真と、ここの管理人の書いた解説が載ってるんですが、冒頭に但し書きとして、『アヤセマサキ氏自身は二次元の写真では作品の魅力が伝わらないという考えをお持ちであるため、必ずしもこちらの企画にはご賛同いただいてはおりませんが、知らない方に知っていただくためには必要であろうと思われますし、たとえ写真であっても、作品の魅力の一部は伝わることと思います』とあって、写真で色々とジャンクアートがありますよ。
代表作として、『ガイア』とか――」山田「ああ、昨日のガラクタの中に」
K「解説はこんな感じです。アヤセさんがどんな作品を創っているのかという雰囲気を知るのに役立つでしょう」
我々の住む地球。
その姿形を知らない者は、いないだろう。
人類最大の共通意識にして、集団幻想。
それが、地球の"姿"なのである。
人々の抱く、イメージとしての地球。
瞳が映した固定観念。地球は丸い。地球は青い。
それを払拭することは、もはや不可能なのであろうか。
アヤセマサキは、そんな問いに答えを見出すべく、一見何の変哲もない球体である作品、『ガイア』を創造した。
これを目で見てはならない。
触覚で鑑賞し、我々自身が肉づけをおこなってゆくのだ。
実際に触れてみれば、目では感じられなかった微妙かつ巧緻な起伏を"発見"する。そのうえ、場所によって手触りまでも異なるのだ。
アヤセマサキの挑戦的な意欲作である。
K「さて、その下のほうに行くと、『最新作にして最高傑作』という見出しとともに、『ブラックホール』という作品が紹介されている」
非常に質量の大きな星があった場合、その想像を絶する重力のため、光ですら脱出が不可能となる。
それが、ブラックホール。
この中からは、光も電波も他の物体も、一切やっては来ない。
全ての情報が外へもたらされることなく、内側に停滞している。
アヤセマサキの直感は、この見えない天体の具現化に挑んだ。
暗黒のカーテンを剥がされた高密度の星の形は、無数の金属とプラスティックが入り交じり、組み合わされ、強固な構造を為している。
驚くべきことに、これら細かなパーツはひとつひとつが独立しており、しかも一切隙間なく、全く接着剤の類を使用することなく、まさに神懸かり的なヴァランスの下、究極とも言える多面体を形成しているのである。
K「結構、偏執狂的な。アーティストでもあると同時に、クラフトマン的な気質も感じ取れる」
山田「ここに書いてあるやつで、昨日行ったところに置いてあったやつとかも何個か見受けられる?」
K「そうだね、ただ『ブラックホール』は拝んでないね」
山田「見てないのか」
K「でもファンの人はもしかしたら見ているかもしれない。あの部屋では見つけなかった」
山田「今度の作品展で出す予定であろうものの予想みたいなのは――」
K「えーとですね、今回のスワップミートには間に合わないかもしれませんが、最新作として『ユニバース』というものを創られているという噂が、サイトに書かれている。ファンの間でも未確認らしいけど、『どのようなものになるのか非常に楽しみです』みたいなことが。『早く見たいです』という書き込みもあれば、『早く見たいですが、時間をかけてでも、もの凄い傑作にしてほしいです』とか――。
――その解説を見て頂ければ解るとおり、地球と言っても見たまんま地球儀っぽいのではなくて、目で見た地球じゃないって感じだね。アヤセ氏のコンセプトとしては、"目で見えているものは真実の姿ではないのではないか"という観点に基づいています。人間の予断が介入してしまっているというか」中村「――そこは、アヤセ氏の、何月何日に何をしたって記録はあるのかな」
K「そうですね、あります」
中村「8月の10日と11日ぐらいに何をしたっていうのは?」
K「ないですね。13日に鳴兎子市公会堂でのスワップミート参加予定というのが最後の記録ですね」
山田「その前の記録で一番新しいやつは?」
K「そうですねぇ、7月の半ばぐらいに、雑誌○○にアヤセ氏のインタビュー掲載とか、そんな感じですね」
山田「今日の首相の一日みたいに細かくはないんだ」
K「そういうことはない。だって、アヤセさんは神秘のヴェールに包まれていますから」
山田「解る人は解るような情報をちゃんと書いてあるって感じの。うーん」
K「ある程度オフィシャルな情報が主になっているね」
山田「困ったな。その間のことが解らないというのは――。
あ、ちょっと失礼、ひとり部屋を出て、隣でピンポ〜ン」K「ガチャ。『あら、何でしょう?』――彼女の部屋はがんがんクーラー効いてます」
山田「冷や〜〜、(中に入って)ばたん!」
K「ばたん! じゃねえよ!」
山田「あのぅ、昨日に頂いた以前のメールで、最新のメールっていうのは――?」
K「『ちょこちょこ定期的にメールのやりとりはしてましたよ。でも別段、普通の、いつもどおりの内容でしたけど』」
山田「8月10日以前で、例えば8月9日とか、何をしていたとかいうのは――」
K「『そういえば、8月入ってから最初のメールが10日でした。それ以前はもっと頻繁にやりとりしてたんですけど。私からは毎回、ちょこちょことくだらないことを書いて送っていたんですけど。それに毎回、返事を貰ってたんですけど、8月に入ってからはそういうのはなくて、10日に突然あれが来て、それっきりですね。今日も全然連絡ないです』」
山田「あ、どうも、つまらない話をしてしまって――。自分の部屋に戻って。暑い〜溶けるぅ〜」
K「ここ盆地だから暑いだろうね」
北村「作品が展示されている美術館とかって、あるんですか?」
K「ないですね。不定期に個展を開くみたいな感じで。場所借りて」
北村「じゃあ、いつでも見れるっていうのはないのかな」
K「ないですね。まあ、ちょっと大きなホビーショップのショーケースの中に、昔創ったモビルスーツがあったりはしますが(笑)」
北村「ジャンクアートになってからは」
K「うん、そうなると、ちょっと心当たりないですね」
北村「それが出展されたのは、いつ頃なの? 最新作――」
K「『ブラックホール』ですか? えーと、そうですね、これは5月末くらいですね」
山田「結構前なんだ」
北村「それはどこで?」
K「鳴兎子市内で個展を開いたときに。もしかしたら、それ見に行ってたかもしんないね」
山田「いや、ジャンクになってからは、この人のはあんまり」
北村「行ってるかもしれないなぁ」
K「<幸運>振ってみて」
北村「(コロコロ……)成功だ」
K「じゃ、行ってますね」
山田「見てるんだ、それなりに、ひととおりは」
K「パンフも貰ってるかも。あ、パンフには写真は載ってないですけどね。アヤセさんが嫌っていますから。
結構面白いところでして、作品に触れられるという」北村「へえ」
山田「触れないと解んないっていう感じなのかな」
北村「やっぱり凄かった――んだろうね」
K「凄かったですね。人生観変わるかもしれない。人によっては」
山田「人形よりはいいかもしんないよ、先輩(笑)」
北村「いや、人形も人形で好きだけどね(笑)」
山田「――そうこうやってるうちに一日過ぎてるかもしれないな」
K「うん、過ぎてるかも。もう夜」
山田「何にも、今回のアレでは、アヤセさんのは出されていなかった?」
K「はい」
山田「全く」
北村「パンフには、次作の構想とか載ってないんですか?」
K「それはないですよ」
北村「ジャンクアートでさ、作風がだんだん変わってきているみたいな感じはないかな」
K「だんだんクォリティは上がってますよ。あと手間暇とか」
北村「だんだん宇宙的になってきているということはないですか?」
K「そうだね、規模は、スケールは大きくなってきているね。テーマの。『アビス』、『ムーン』、『ガイア』、『ブラックホール』といったふうに」
中村「――うーん、どうしたらいいんだ」
山田「美穂さんのコンピューターいじらせてもらえるのかなぁ」
北村「アヤセマサキからのメールアドレスとか、表示されるんでしょ?」
中村「でもな、パソコン持ってかれてるから、あのパソコンで別な人が送っている可能性あるからなぁ」
北村「でも、電源コードがすっぱり切れてるっていう――」
K「持ってくにしては、おかしな持っていきかたではある」
山田「しかも歪んでるし、あの部屋」
<一同>「うーん……」
(現時点での手掛かりは、ほぼ出尽くしました。ここで一気に時間を進めます)
8月26日(土)――
K「今日は8月26日・土曜日です」
山田「何してたんだ、その10日間は?」
K「停滞してました。――土曜日の夜ですね、早くとも夕方以降。さて、こまめにネットをチェックしている人は誰でしょう?」
山田「まあ、コンピューターは使っているね。ネットも必ず接続する。日に一回は」
北村「ですね」
K「じゃあ、なぜか25日は掲示板を見逃しましたが(笑)、26日に掲示板を見たら、こんなのを見つけました。例のファンサイトです」
(※ リプレイの構成上、一般的な掲示板とは異なり、下へ行くほど新しい書き込みとなっています)
投稿日 8月21日(月)1時12分 投稿者 権之助
こんばんわー。
アヤセマサキさんが行方不明になって以来、ぜんぜんいいことない毎日です。本当に心配です。日々鬱々としてます。
→ムーアさん
本当に、御本人ご覧になってませんかねぇ。心配で心配で、何だか泣けてきます。
・・・なんて、勝手にいやな想像してちゃいけませんね。
お互い元気を出して、アヤセマサキさんのお帰りを待ちましょう。
→盲さん
そうですか、やっぱり全く何も情報がない状態なのですか。
いい知らせはもちろん、悪い知らせすらないというのは、とってももどかしいですね。
ひょっこりお戻りになったり、ってことはないんでしょうかね・・・。
ところで、ぼくは一番好きなのは「ブラックホール」です。今までは「アビス」だったんですけどね。ちょっとBHは別格というか、ダントツです。
→exitさん
その件については、もういいのではないでしょうか?(^^;
それはそうと、またお会いしましょう。スワップミートはお疲れ様でした。
鳴兎子は本当に遠いっすね。旅費が・・・(;_;)
投稿日 8月25日(金)20時53分 投稿者 アヤセマサキ
初めて書き込みを致します。アヤセマサキです。ご心配をかけてしまっているようで、誠に申し訳ございません。ぼくは現在、新たな作品の製作に専念するため、人との直接的な繋がりを断ち、ある場所にひとりで閉じこもっている状態なのです。まさかこれほどまでに世間を、ファンの皆さんをお騒がせすることになろうとは思ってもみませんでした。ぼくの思慮の浅薄なのが原因です。勝手ながら、この場をお借りして謝らせていただきたいと思います。
ところで、新作についてですが、製作にあたり、ぜひ皆さんのお力をお借りしたいと考えております。宜しければ、下記のアドレスまでお越しください。新作製作のために立ち上げたサイトです。
http://www.nau-net.ne.jp/~cosmicmethod/
投稿日 8月25日(金)23時16分 投稿者 ムーア
>アヤセマサキ様
……本物、なのでしょうか?
投稿日 8月26日(土)8時01分 投稿者 盲@管理人
>アヤセマサキさま
はじめまして。ようこそお越しくださいました。
ウェブサイトのほう、早速拝見いたしました。しかし大変申し訳ございませんが、私はまだ、アヤセマサキさまが御本人様なのかどうか、いまだに半信半疑の状態です。
ですが、疑うよりも信じたいです。ぜひ。
その確認の意味も込めて、「新作作製」のお手伝いをさせていただこうかと考えております。貴方のサイトにて、私のアドレスを記入しておきました。
私にとって、ファンの皆さんにとって、そして貴方にとって、最良の結果が訪れることを願っています。
すみません。他の皆様のレスは、また今度ということで――。
投稿日 8月26日(土)16時33分 投稿者 センフ
僕も早速アクセスしました。
もの凄く興奮してます。
そして、混乱してます。
気持ちが落ち着いたら、また来ます。
山田「盲(もう)という人が管理人さん?」
K「"もう"と読むのか"めくら"と読むのか"めしい"と読むのか――」
北村「――これ、とりあえず、行かなきゃ始まらないね」
山田「うん、新情報が入ったんで、他のふたりに連絡取ってみる」
中村「基本的に、この"cosmicmethod"っていう言葉は、アヤセ関連で使われているの?」
K「そういう言葉は、アヤセマサキ関係では一般的にはないです」
中村「ないですね。――だから少なくとも、関係者ではあるよね」
北村「そうだね。メールの情報を知ってる人。――この三人しか知らねえけど(笑)」
山田「じゃあ、あと、妹さんのほうにメールを入れときます。こういうのがありましたので――と。
じゃあ、このホームページ――http://www.nau-net.ne.jp/~cosmicmethod/――に行ってみましょう。カチッ(クリック)」K「三人バラバラに行くのかな?」
山田「一箇所に集まって」
北村「俺はたぶん、ひとりで家で見つけてると思う」
山田「ああ、そっか」
北村「それで山田と連絡を取り合って」
中村「――で?」
山田「あ、そうか、ないんだよね(笑)」
中村「誰か呼びに来てもらわないと」
山田「じゃあ、しょうがない。電話して、今から行きますよ、と。それで車で(ふたりを)自宅に連れてきます」
K「山田君のお家で見るわけですね」
山田「蜂の巣で」
K「102号室ですね」
山田「101!」
K「102! あ、いや、101だった(マジ間違い)」
山田「102でもオッケーよ♪」
中村「おいおいおい(笑)」
K「(気を取り直して)それでは、そこのアドレスをクリックしてみるんだね?」
山田「うん。カチッ」
K「さて、そうすると、いきなりこんな画面が――」
Opening Act. 1 Act. 2 Act. 3 Act. 4 Act. 5 Act. 6 Act. 7 Act. 8 Act. 9 Act. 10 Ending