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Act.10 エスケープ・フロム・セヴァーン



人の棲むところに理想郷などありませんよ。

― 麻耶雄嵩 『鴉』



「というわけで森の中へ。みなさん、ちゃんと帰れるかなぁ?」

山田「忘れちゃったなぁ(笑)」

「<ナビゲート>振って」

日向「どうかなぁ……、10しかないからねぇ」

(コロコロ……全員失敗)

「よし、それでは、既にこちらのほうにも彼らの手が回っていることが判明した。
 ちょっと道に迷っていると、遠くから複数の足音が――ザッザッザッ――聞こえてくる」

山田「やばいなぁ」

「どうする? この場を急いで去るか、この場にじっとしているか。いま君たちは道に迷いかけている」

日向「信号弾って、もう弾ないの?」

「ない。一発だけ」

日向「えーと、えーと……やり過ごす?」

北村「やり過ごそう」

「全員<隠れる×3>振って」

日向「3倍でも厳しいなぁ」

山田「<隠す>?(笑)」

「<隠れる>」

(コロコロ……)

<全員>「おっ! 成功!(笑)」

「やり過ごした」

山田「助かったぁ」

「さて、これからどうするんでしょうねぇ」


(相談の末、焦って逃げ回るのではなく、地図とコンパスを頼りに、落ち着いてゆっくりと歩くことにしました)


「コンパスと地図を頼りに、<ナビゲート×5>振って」

山田「成功」

「お、何とか行ける。この道で間違いない。
 ……その道を行くと、遠くに人影が見える」

山田「ああっ! 急げ! ――って、その人影はOKなのかな」

「望月峯太郎的表現で言うところの、真っ黒なシルエット(笑)」

山田「判んないなぁ(笑)」

「シルエットは、手に小鎌を持っている」

山田「あ゛あ゛あ゛〜っ」

「待ち伏せさんかな?」

日向「ばれた感じ?」

「まだ。君たちからは見えたけど、向こうはまだ気づいていないみたい」

山田「ひとり?」

「うん」

山田「3対1――」

北村「でも鎌持ってる」

「まあ、大きな鎌じゃないけれど」

日向「第一ヒーロー(日向)と第二ヒーロー(北村)は、人抱えてるんだよね?」

山田「え、何? ひとりで戦えって?(笑)」

北村「重い、重い(笑)」

「巽のほうは、抱えてると言うよりは肩を貸しているといったところ。だからそんなに負担は大きくない。いざとなれば、ひとりでも移動はできる」

山田「やっぱり3対1でできるよ」

北村「いや、全員で見つかることもないよ」

山田「囮かい」

日向「ま、ここで第三ヒーローにね」

北村「そうだよね(笑)」

山田「くそ、化けて出てやる(笑)。
 ――じゃあ、ゆっくりと、堂々と(笑)」

「君ひとりが?」

山田「うん」

日向「じゃあ、その横の木々の間を……(笑)」

山田「私が助けたぞぉーっ! と(笑)」

日向「うちらの物音が聞こえないように、大声で」

山田「うん、大声で。ふたりを助けたぞーっ!」

「人影は君を見つけ、ゆっくりと寄ってくる。ヨッタヨッタと細い影が近づいてくる。
 さて、それじゃあ隠れているおふたりは、<隠れる>と<忍び歩き>両方に成功してください。どちらも3倍でいいです」

日向「いやぁ、厳しいな」

(コロコロ……)

(<隠れる>はふたりとも成功。<忍び歩き>は……)

(コロコロ……)

北村「成功!」

日向「――94(笑)」

「パキッ。小枝を踏んだ」

山田「こっちがせっかく大声出してるのに、何をやってるんだ〜(笑)」

「(人影の<聞き耳>は――(コロコロ……)成功)思いっきりバレた」

山田「いるじゃん」

「君に向かってきてたんだけど、横手で物音がしたため振り向いた。一瞬、隙ができた」

山田「顔にライトを当てる」 Servants of Glaaki

「生ける屍」

山田「うーわぁぁぁぁ」

「全員<正気度>ロール。今までこの生ける屍見て減った正気度の合計は覚えてる? こいつを見ても、合計で8より大きな値は減らないから」

山田「あ、じゃあ今回、私は最大でも4しか減らないんだ」

(コロコロ……)

日向北村「成功」

山田「失敗したぁ。(1D8。コロコロ……)――3」

「不定の狂気は大丈夫?」

山田「山の中を歩いて回って、一時間以上経ってないかな」

「ああ、そうだね。見事な指摘。じゃあ、関係ないや」

山田「光は効いてる?」

「少しは怯んだけど、ライトを向けた相手がもっと怯んだから(笑)、特にボーナスはないです。というわけで行くよ〜。――バトル!」

山田「あ、戦闘は初めてだ」


(僕のシナリオは、今までは戦闘シーンを極力排除してきたものばかりでした。ですが、これからは……)


山田「逃げに入る」

「DEX順だね。誰が一番速い?」

日向「10」

山田「12」

北村「13」

(1ラウンド)

「(北村に)どうぞ」

北村「巽君は置いておいて、ツールナイフで刺す」

「はい。茂みからザッと飛び出して、その勢いで刺して」

北村「(コロコロ……)外れました」

山田「鎌を持っている手を押さえ込む」

「<グラップル>どうぞ」

山田「(コロコロ……)駄目。はずれ」

日向「香奈を置いて、ライダーキック! (コロコロ……)はずれ」

「行くよ。グラーキの従者の攻撃。(コロコロ……)スカ。はい、お次どうぞ。飛び道具がないと戦闘が簡単でいいな」

(2ラウンド)

北村「(ナイフ)(コロコロ……)はずれ」

山田「(グラップル)(コロコロ……)失敗」

日向「(キック)(コロコロ……)駄目」

山田「何やってんだ、この4人は?(笑)」

「(小鎌)(コロコロ……)スカ。あれえ? こっちが一番命中率高いんだけどなぁ」


(参考までに全員の命中率は……北村のナイフ:25%、山田のグラップル:25%、日向のキック:25%、従者の小鎌:40%)


(3ラウンド)

北村「(ナイフ)(コロコロ……)98。大失敗?」

「特にペナルティはなくていいよ」

山田「(グラップル)(コロコロ……)むぅ(失敗)」

日向「ライダーパンチ!(笑) 初ヒットを狙って」


(パンチの命中率は50%と、キックの2倍です。ダメージはキックの1D6に対し、1D3しかありませんが)


日向「(パンチ)(コロコロ……)いえーい! 当たり! ダメージ(コロコロ……)1」

「ちょっと痛い。今の手応えから、細い割にはかなりスタミナがあると見た」

北村「それでも俺たち三人分よりは――」

「さあ、どうだろ(笑)。なんてったって、こっちはアンデッド・モンスターですから」

山田「やばいなぁ。銀の武器だ、銀の武器!(笑)」

「(鎌)(コロコロ……)はずれ。う゛ぅ〜」

日向「これ、弱ぇんじゃねえの?(笑)」

「強いんだよ、こいつ! みんなが油断しないように言うけど」

(4ラウンド)

北村「(ナイフ)(コロコロ……)99」

山田「また、何をやってるんですか!? もう2回くらい刺されてもおかしくないよ。
(グラップル)(コロコロ……)お、掴んだ!」

「お、やったね、グラップル成功。武器を取るの?」

山田「うん。鎌取る」

「(ルールブックを確認しながら)……ああ、難しいなぁ。2ラウンド続けて<グラップル>に成功しないといけないよ」

山田「うーん、腕を掴み続けるというのは?」

「相手が振りほどこうと試みるだろうから、それにSTRの勝負で勝たなきゃいけない」

山田「勝てる見込みはないなぁ。――じゃあ、転ばせます」

「"なぐり倒し"だね。はい、自動的に成功する。転んだ」

日向「(キック)(コロコロ……)失敗」

「はい、次のラウンド(従者は今回、転んでしまったために何もできません)」

(5ラウンド)

北村「(ナイフ)(コロコロ……)失敗」

山田「頭に<蹴り>(コロコロ……)駄目だ、失敗した」

日向「(キック)(コロコロ……)失敗」

「みんな外すねぇ――従者は起きあがった」

日向「何のために転ばしたんだ」

(6ラウンド)

北村「(ナイフ)(コロコロ……)失敗」

山田「もう一回<グラップル>(コロコロ……)くぅぅ」

日向「やつは今、誰を狙っているのかな?」

「山田さん」

日向「ライダーキック! (コロコロ……)お、18。やっと当たったぁ。ダメージは(コロコロ……)2」

「はい。まだまだ元気」

日向「あれ、虎太郎以外に誰か当てた?」

山田「一個当てた。STO当てた」

「(小鎌)(コロコロ……)やっと当てた」

山田「ああ、来たよー」

「(コロコロ……)ダメージ2点」

山田「うわ、痛ぇー。もう(残り耐久力)7点だよ。あれ、これ半分以下になるとやばいんだっけ?」

「一度のダメージで現在値の半分以下になると、気絶判定」

(7ラウンド)

北村「(ナイフ)(コロコロ……)おお、09。ダメージは(コロコロ……)3」

「斬りつけた。はい、次どうぞ」

山田「転ばしても意味ないんだよなぁ、そうなると……<キック>。(コロコロ……)あ、当たった! ダメージ(コロコロ……)2」

「みんな低いねぇ、出目が」

日向「<頭突き>――は命中率低いから(10%)――<キック>。(コロコロ……)失敗。<パンチ>のほうがいいんじゃないか?」

「行きまっせー。(山田に小鎌)(コロコロ……)当たり」

山田「当たったよ〜」

「死ねえっ!(笑)――(コロコロ……)ダメージ5点」

山田「うわあっ! 5点じゃ、もう行っちゃったよ半分以下」

「残り耐久力2点? じゃあ、自動的に意識不明。バタン、キュー」

山田「うぅぅ……」

日向「あれ? 囮がいなくなった(笑)」

山田「囮かい!?」

北村「やばい。どうする? 逃げるか?」

日向「悪いけど躱す。<回避>に専念する(笑)」

(8ラウンド)

「次のラウンド」

北村「(ナイフ)(コロコロ……)かぁ、駄目か」

日向「やつはどっちを狙ってる?」

「(ダイスを振ってランダムで決定。コロコロ……)――日向さん」

日向「<回避>に専念。――(北村に)じゃあ、こっち回避するから、君は攻めね」

「(小鎌)(コロコロ……)はずれ。次のラウンド」

(9ラウンド)

北村「今これから殴るのに、ナイフ仕舞わないと駄目かな?」

「いや、その必要はないよ」

北村「じゃ、殴る。(コロコロ……)失敗」

日向「<回避>に専念」

「(小鎌)(コロコロ……)当たった」

日向「でもこれ<回避>しちゃえば何もないんだよね。(回避)(コロコロ……)成功」

(9ラウンド)

北村「(パンチ)(コロコロ……)失敗」

日向「<回避>ね」

山田「このパターンだと、ずっと回避し続ければいいから、楽は楽だけど」

「(小鎌)(コロコロ……)当たり」

日向「(回避)(コロコロ……)成功」

(10ラウンド)

北村「(パンチ)(コロコロ……)失敗!」

日向「<ナイフ>より<パンチ>のほうがいいんじゃないかな?」

北村「<パンチ>やってるんだよ!」

日向「えっ!? <パンチ>やってたの?(笑)」

「従者は今回、ターゲットを変更しました。君たちの戦法に気づいたんだね」

日向「なかなか賢いな(笑)。<パンチ>(コロコロ……)09、当たり。これのダメージって、倍にならないの?」

「ならない。<マーシャルアーツ>でも持ってないと」

日向「ダメージ(コロコロ……)1」

「ちまちま削るなぁ。さて、山田君の血を吸った鎌で(コロコロ……)当たり。(コロコロ……)ダメージ4点」

北村「はい。まだ大丈夫です」

(11ラウンド)

北村「こうなったら<ナイフ>しかないな」

山田「もうそろそろ出るだろう(笑)」

日向「<パンチ>のほうがいいんじゃないの?」

北村「いや、ナイフだと、攻撃と<受け>もできるから。当たれぇ! (ナイフ)(コロコロ……)失敗っ」

日向「(パンチ)(コロコロ……)失敗。何でこんなに当たらないんだろうね」

「(小鎌)(コロコロ……)はずれ」

北村「あぁ、よかったぁ」

(12ラウンド)

北村「(ナイフ)(コロコロ……)うわぁい、04!(拍手)」

「貫通! ぶすっ! ダメージ2D4」

北村「(コロコロ……)4点」

「(あ、鎌で<受け>るべきだったかな。ま、いいか)――というわけで、ツールナイフはグラーキの従者の身体に刺さったままです。次のラウンドで引き抜いてください。引き抜きは、通常の命中率と同じ25%です。まあ、引き抜かずに格闘してもいいですけど」

日向「次で決めるか。(パンチ)(コロコロ……)17、当たりだ。ダメージ(コロコロ……)1。これが駄目なんだよなぁ」

「それじゃ、鎌行くよー。(小鎌)(コロコロ……)はずれ!」

(13ラウンド)

「(北村に)どうする? 引き抜く?」

北村「殴る。(パンチ)(コロコロ……)駄目だぁ。失敗」

日向「(パンチ)(コロコロ……)失敗」

「(小鎌)(コロコロ……)あれ? 失敗」

山田「みんなに運の悪さが移った(笑)」

日向「さっき、あんなミラクルがあったからね」

(14ラウンド)

北村「(パンチ)(コロコロ……)失敗」

日向「(パンチ)(コロコロ……)当たったぁ。ダメージ(コロコロ……)1(笑)」

「(小鎌)(コロコロ……)はい当たり。3点」

北村「ああ、よかったぁ。気絶はぎりぎり大丈夫です。でもその代わり、一気に死ぬ可能性が出てきてしまった」

日向「北村が死んでしまった場合さぁ、こっち<回避>しかしないんだよねぇ。誰が攻撃するわけ?」

北村「あんたが殴ってよ!(笑)」

「永遠に<回避>し続けてくれ(笑)」

(15ラウンド)

北村「(パンチ)(コロコロ……)ああ、くそっ! 何だよ!」

「50%を何度外してるんだ? いやぁ、恐いなぁ、サイコロって」


(フラクチュエーション(fractuation)ってやつですね)


日向「(パンチ)(コロコロ……)よし! ダメージ(コロコロ……)1(笑)」

山田「弱パンチ」

「(小鎌)(コロコロ……)はずれ」

(16ラウンド)

北村「頼む頼む……出てください……(ダイスに念を込めている)」

「(無駄なことを……)絶対外れるよ(笑)」

北村「絶対当たるぞ! (パンチ)(コロコロ……)…………(一同笑)」

日向「弱いなぁ」

北村「(((泣)))))」

日向「(パンチ)(コロコロ……)おっ、05が出たよ。ダメージ(コロコロ……)3!」

「――死んだ!」

山田「よっしゃーっ!」

北村「いえーい!」

「血みどろになって、バタンと倒れた」


(まさかここまで長引くとは……)


山田「ナイフ抜かないと」

北村「抜くよ。――はぁ、苦しい戦いだった」

山田「鎌も貰っといたら?」

日向「あ、鎌も貰おうかな。――でも呪われるんじゃないのかな(笑)」

山田「呪いの鎌(笑)」

「生ける屍になるよ(笑)」

北村「気絶している人に<応急手当>をしましょう」

(コロコロ……)

北村日向「失敗」

「傷ひとつにつき1回ずつ試みることができます」

山田「傷口2ヶ所」

「ということは――もう終わり(笑)」


(これはキーパーのミスです。ひとつの傷に対して<応急手当>に失敗しても、別の者が試みることはできます。ちゃんとルール把握しとけよ、僕)


(北村と日向は、自分たちの怪我に<応急手当>をします。日向は完全に回復し、北村もある程度治りました)


日向「ところで、布瑠部村って、ここから近いの?」

「そんなに近くはないよ」

日向「ということは――、日向さんは香奈ちゃんを抱えてしまっている。北村さんは巽君を――あれ?」

山田「解りやすい解説しなくてもいいから(笑)、連れてってくれー。引きずってもいいから」

北村「俺らは力がない」

日向「うん。何しろ6しかない。もう無理だよね」

山田「ない、じゃなくてよ(笑)」

日向「あとは村の者に来てもらうか」

山田「だからぁ」

北村「集落のやつらに見つからないように、草とかで隠して(笑)」

「巽君、自力で歩きます」

日向「歩けるんだ?」

「うん」

北村「無理しなくてもいいよ(笑)。じゃあ解った。本当にすまないねえ、巽君。――じゃ、足持っていく(笑)」

「というわけで、村まで引きずっていきました」


(こうして我らが探索者は、何とか無事に(?)、布瑠部の村へと帰り着くことができました)


「君たちが戻ると村人たちが集まってきて、『ど、どうしたんだ!?』と。『ああ、巽君! 香奈ちゃん!』」

山田「死にかけも、ひとりいるのに……」

「『死にかけの人!』(笑)。それじゃあね、とりあえず全員、お医者さんに診てもらう」

山田「入院。二度目の入院(笑)」

「と、いうわけで、無事、巽と香奈を救出することができ、《神》の脅威から逃れることができました。
 ――その後の世萬の集落ですが、今回の事件もあり、大掛かりな部隊が麓から派遣されて山狩りがおこなわれましたが、どういうわけか、遂にこの集落を見つけることはできませんでした。
 ……これで今回のお話はおしまいです。後日談として、巽君と香奈ちゃんが結婚したという話を聞きます。血は繋がっていないので結婚可能なんですね」

日向「あれ? おかしいなぁ(笑)」

山田「おかしいんだ(笑)」


(巽と香奈両名の救出という目的を見事に果たし、死亡者も発狂者も出すことなく、全員帰還することができました。世萬の集落がその後どうなったのか……それを知る者は、もう誰もいません。布瑠部の神隠しも、今後起きることはないでしょう。しかし、この山中に巣くう痾(やまい)は根深く、そして重いものです。さて――――本当に、これで終わったのでしょうか?)


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