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Act.1 布瑠部へ



「小さい頃、母親に時間を無駄にするなと言われていたのに」

― 麻耶雄嵩 『翼ある闇』



キーパー(以下、K)「それじゃあ始めましょう。えーと、北村君には大学に友達がいます。同じ学部ということにしておきましょう。名前は、縒木巽(よりきたつみ)」

北村「ふんふん(メモしている)」

山田「その人とは僕らは友達なの?」

「縒木君と友達なのは北村君だけでいいけど、別に、全員が知り合い同志でも構いません。寧ろそのほうが、導入させやすくて都合がいいです」


(探索者にジャーナリストや民俗学者がいれば、そちら方面の導入も考えていたのですが)


「今は、ゴールデンウィーク直前です。それで皆さん、連休中にやることがありません(現実と同じ(笑))。いつもどおり北村君が大学に顔を出していると、同じ学部の縒木君が『おーい、晃二ーっ』と近づいてきました。中肉中背、特にこれといった外見的特徴はありませんが、なかなかの好青年です。『あのさ、突然なんだけど、明後日からのゴールデンウィーク、暇?』」

北村「まあ、フィギュア創ろうと思ってたけど(笑)。他ならぬ君の頼みなら、時間を空けてやらないこともない」

「頼みじゃないんだけど……」


(と言って、プレイヤーに"夢想都市"(当時まだ名称未確定)の地図を見せます。キーパーが指差したのは、南西の端にある山岳の一角)


「縒木君の実家が、この山奥の奥の奥、奥地にある"布瑠部村"というところです。ひらがなで表記すると"ふるへ"となりますが、読みは"ふるえ"です。そこで『僕の家、温泉宿やってるんだけど、遊びに来ない? ただで泊まれるよ』」

北村「マジで? フィ、フィギュア持っていっていいかな(笑)?」

「いいよ(笑)。『それで、友達も誘って来ていいから』」

北村「じゃあ、行く。お言葉に甘えて泊めさせてもらうよ」

「(やや声のトーンを変えて)と、いうわけで、いま君たちは車の中にいます(一同笑)」

山田「えっ? もう?」

「面倒臭いので、はしょります。はい、三人集合〜」


(山田が自分の車で、他のふたりが縒木の車に乗せてもらい、行くこととなりました)


「大自然溢れる豊かな山の景色がしばらく続き、やがて皆さんはゴールデンウィークを温泉宿で過ごそうと、布瑠部村へとやってきました。主な道路は舗装されていますが、視界三百六十度の田園風景です。それから、えーと、誰にしよう……豊臣秀吉の隠し湯があるとかで」

山田「"誰にしよう"?」


(舞台が東北地方であることを考えると、これはあまりに不自然ですが、まあ、本編とは関係ないのでいいでしょう。きちんとした設定をつけるならば、適切な歴史上の人物を見つけなければなりませんが……)


「それ目当てで訪れる人が大半ですね。それ専用の温泉宿といったところでしょうか」

北村「それじゃあ、歓楽街とかは、一切ないんですかね」

「そんなものは……まあ、スマートボールくらいなら(笑)。あと"キャプテン・ジャクソン"とか(一部笑)」


(もちろん後者はジョークです。解らない方は、ダウンタウンのコント集を観ましょう)


「村に入ってしばらく経ちますが、歩いている人はやはり少ないです。自転車に乗った人の善さそうな駐在さんが、擦れ違いざま、縒木君に気づいて『よっ』と手を振ってきます。顔見知りなんでしょうね。
 というわけで、温泉宿――あ、名前決めてなかった――"布瑠部亭"(笑)に到着しました」

山田「他に旅館ないんだね」

「ええ。ここは二階建てですが、かなり広大な敷地です。縒木君、"ええとこの子"だね。車を止めて降車すると、『さあ、どうぞ。何もないところですけどごゆっくり』と入口まで案内してくれる。
 大手高級旅館ではないので、入った途端に『いらっしゃいませぇ』などとは言われない。誰もいない玄関で縒木君が『ただいまぁ』と言うと、奥から割烹着姿の恰幅のいい中年女性がやってきて、『あら巽、早かったわね』『ただいま母さん。僕の友達だよ。電話でも言ったけど、いいね?』『うん、いいわよ。(探索者に向かって)どうも巽がいつもお世話になっております。どうぞ泊まっていってくださいな』といった感じです」

山田「お母さんですね」

「ええ、そうです。ゴールデンウィークですが、客はそんなに多くないみたいです。まあ、どうぞごゆっくり〜。
 ――鉄格子のついた、いい部屋をご用意してあります(笑)」

山田「いいのかな、それは(笑)」

北村「『じゃ、ごゆっくり〜』カチャリ(笑)」

山田「あのぅ、食事はこの下の穴からですか?」


(牢獄談義が続くので割愛)


(そうして一行は、二階の客間へと通されます。ちなみに今後、家族の他の人と区別するため、縒木巽のことを"縒木"ではなく"巽"と呼んでいます)


「部屋へ案内される途中で、廊下の向こうから、巽くんよりもちょっと若い感じの、髪の長い女の子が歩いてくる。『あ、お兄ちゃん』と」

北村「俺に?」

「いや(笑)、巽に。すると彼も『お、香奈(かな)、帰ってきてたんだ』と。見てのとおり巽君の妹ですね。縒木香奈。二十歳。APP15(あからさまに"色による引き"を狙ってる気配(笑))」

北村「ふぅん……。もう諦めてるからいいや。どうせ俺には釣り合わないしね(←APP8)」


(APP6の日向はどうなる!)


北村「まあ、こんにちはー、ご厄介になりまーす、と」

「彼女はハキハキとしたいい娘だね。『あ、どうぞごゆっくりしていってくださいねー♪』」


(部屋に通される一行。荷物を置いて、ひとまず落ち着きます)


「さて、これから何かしましょうか。イベントとしては、温泉――(ちょっと考え込む)――などがあります(笑)」

山田「じゃあ、とりあえず温泉かな(笑)。――"など"をクリックしても先に進まないし」

「ええと、温泉以外にも、村をうろつきたい人はどうぞ」

北村「卓球ないんですか?」

「ありますよ」

北村「卓球大会やりたい」

日向「(北村に)じゃあ卓球やる。――(キーパーに)ところでその部屋は、三人でひとつなの?」

「ええ、そうです」


(結局、ひとまず温泉に入ることとなりました。北村と山田が露天風呂へ。日向が室内浴場へ行きました)


「露天風呂では先客の爺さんが、よく煮えています(笑)。混浴ですが、(残念ながら)香奈ちゃんはいません。ちなみに巽君は入りません」


(巽が一緒に入浴しないのには、ちょっとした訳があったりもするのですが)


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