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Act.8 世萬の秘密



俺の記憶は何処に飛んでいってしまったのだろう。
失われた断片は?

― 麻耶雄嵩 『痾』



「暗い空間、ひんやりとした地べたに寝かされています」

北村「何かで拘束されているの?」

「いない」

山田「起きていいですか」

「まだ」

日向「ライターを点ける」

「しゅぼっ……」

日向「おもむろに一服してみたりして(笑)」

「穴蔵(あなぐら)みたいな感じでして、目の前に鉄格子が並んでいる」

日向「ふぅん」

「広さとしては六畳ぐらいでしょうか。剥き出しの地面に、岩肌。壁も土ですねぇ。いかにも"地下"! って感じ。
 そしてだね、――先客がいた!」

日向「あら!」

北村「それは――知った顔?」

「うん」

山田「髭面の男とか」

北村「香奈ちゃん!」

山田「髭面なんだ(笑)」

「――幾分やつれ気味の巽君が」

日向「おっ! 巽君ではないか!」

北村「急いで近づく」

日向「こりゃまた土偶(一同笑)」


(前世紀のギャグですね。でもこういうのに弱い)


北村「そんなギャグを横目にしつつ――」

「巽君は顔をあげると、『あ、君たちも捕まった?』と元気なく言う」

日向「違うさ。君を助けに来たんだ!(一同笑)」

山田「ここに来てまでまだ(笑)」

「『はっはっ……』と力なく笑う。『この状況じゃ、何をやっても無理だよ』」

日向「ところで君はお茶を飲んだのかい」

「『何のこと?』」

山田「違うよ、全然(笑)」

日向「どのようにして捕まったんだい?」

「『うぅん、よく覚えてないんだ。突然後ろから殴られたんだろうとは思うけど』」

日向「どこで?」

「『ん? ああ、盆地があってね、そこを調べていたらいきなり――』」

日向「香奈ちゃんは、まだ見つけられないのかい?」

「『ああ、残念ながら』
 えーとね、<心理学>!」

(コロコロ……)

北村日向「成功」

「それじゃあねえ、彼は何か諦観しきったような感じがする。あるいはそれは、悟りの境地のようなものかもしれない」

日向「ふうん。――ところで君は、ここの人々について、何か知っていることがあるのかい?」

「それを訊くとね、凄く悩む。懊悩したような感じになり、『知っているも何も……』と言って口ごもる」

日向「(優しげに)全てを話してしまいなさい(笑)」

「他に何か言わない?」

日向「香奈ちゃんのためじゃないか。ましてや僕のためでもない(笑)」(意味不明)

「『あの盆地へ行ってみて……僕の予想が、確信に変わってしまったんだ……。僕は……この集落を知っている……。
 ……僕は子供の頃、ここにいたんだ。思い出したんだ。あの盆地を見た瞬間に……』」

日向「そうだったのか……。この集落はいったい、どうゆう――?」

「『それは多分……特殊な宗教を信仰している集落、なんだろうと思う。長とか呼ばれている人物が中心となった――』」

日向「どのような宗教なのかは知っているのかい?」

「『そのあたりは、僕の記憶が曖昧で――何せ、幼い頃だから――』記憶が全部戻ったとしても、知っているかどうかは怪しいところだけどね」

日向「つまり――僕たちはどうなってしまうんだい?(笑)」

「『長の一存、なんだろう。生かすも殺すも……。
 ――香奈の身が心配だよ。こんなことになってしまって。ああ、僕には何もできない。僕は何て駄目な男なんだ』」

北村「巽君は、香奈ちゃんのいるところに心当たりがあるってことで、ここに来たんだよねぇ」

「『ああ。恐らくここに連れてこられたんじゃないかと思ってね』」

北村「何でそう思ったんだい?」

「『確証はなかったんだけど――これは、僕の記憶が呼び起こした、としか言いようがないよ。
 ただ、思うに――いや、迂闊なことは言えないな』」

北村「この際だから、何でも話してみてほしいんだ」

日向「私見で構わないから、どしどし言ってくれよ(笑)」

「『やはり――香奈のことを必要としたんじゃないかな。だが、それを確かめるには、この集落についてもっとよく知る必要がある』」

日向「その前に、逃げる必要があると思う(笑)」

「はっ!?(笑)」

山田「目から鱗だ」

北村「そういえば――信号弾を取り出して、――こんなものを長の家で見つけたんだけれど、これは、巽君が持ってきた――?」

「『いや、違うよ』――まあ、これは単なる想像に過ぎないけれども、以前ここに迷い込んだ者の持ち物だったんじゃないだろうか」

日向「……とりあえず、逃げてみるかい」

「さて、じゃあ山田君が目を覚ました」

日向「ああ、そういえば、すっかり忘れていた(笑)」

山田「あれ? あれ!? あれぇ?」

「これこれしかじか」

山田「よかったじゃないですか、見つかって。――って、なんでこんなとこにいるんですかぁっ!?(笑)」

北村「お前があの茶を飲むからだよ!」

山田「なに鼻血垂らしてるんですか?」

北村「寝てたのをいいことに、全て山ちゃんのせいにする(笑)」

山田「うう、すいません――。素直に謝る。わけが判んないから。
 まあ、それより、脱出の方法を。……フツーの鉄格子?」

「(頷く)」

山田「くい〜っ(曲げるフリ)(笑)」

「だめ。――伸びるけど、すぐ戻っちゃう(笑)」

山田「あ、伸びるんだ(笑)。でも戻っちゃうんじゃあ、しょうがない、駄目だなぁ、もう。難しいなぁ(笑)」

北村「<医学>でさ、関節外せないかな?(一同笑)」

「魔人じゃないと駄目。魔人ならいいけど(笑)」

山田「ああ、惜しいなあ。もうちょいだね。
 ――あ、ここでふたりの<芸術:クレイアート>技術を駆使して!(笑)」

「どうすんだろ」

山田「更に強固な鉄格子に造り替えて(笑)」

「さて、馬鹿ふたりは放っておいて、何かする?」

日向「ああ、どうしようかな」

山田「何にもない? この格子の中?」

日向「窓もないの」

山田「フォークとか落ちてないの?(笑)」

「ないなぁ。――<目星>!」

(コロコロ……)

日向「当たり! 成功」

「じゃあ、やや大きめの石を見つけた」

日向「あら」

「やや楕円形で、片方が少し尖っている。これで殴ったら痛いぞぉ!」

山田「四人でサバイバルだ(笑)。ひとりずつ喰い繋いでいって」

北村「ちょっと不利になった(笑)。でもナイフ持ってるもん」

山田「ああ! 何もねぇー!」

「まず巽君が襲われそうだな」


(カニバリズム談義に花が咲きそうなので閑話休題)


日向「その石で、どついてみるかい? 檻を。
 みんなの力を結集して、わーっ、と(笑)」

「ガコーン! という音がして手が痺れる。石がちょっと欠けた」

山田「あ」

「そうしたらね――、鉄格子の向こうはちょっとした空間になっていて、左側に上り階段があるんだけど、そこを誰かが下りてきた。
 ちょっと顔を覗かせて、『煩いですよ』と、もやしっ子が。『静かにしていてください』」

日向「あー、すいませーん」

山田「あ、来る前に、寝ているフリしてる」

「はい。――『この格子は最近修繕したばかりですから、無駄ですよ』と教えてくれた」

北村「周りは地べたなんだよね」

「うん」

北村「掘ってみようよ」

日向「うん。掘ってみよう」

「ザク、ザク、ザク、……鉄格子、かなり下まで続いてる(笑)」

山田「あれあれあれ(笑)。いや、そんなはずは」

北村「嘘だ!(笑)」

「もやしっ子が出てきて、『無駄ですよ。それくらい、みんな思いつきますから』」

山田「(((笑))))」

北村「今世紀最大の発見だと思ったのにぃ!」


(はい、馬鹿ですねぇ)


日向「檻ってさ、戸が開くところはあるんだよね」

「うん」

山田「錠を壊す……?」

日向「信号弾発射しちゃおうか(一同笑)」

山田「危ねぇー」

日向「勢いで開くかもしれないじゃん。パカッと」

「それじゃあ、みんな焦っているところで<アイデア>ロールどうぞ」

日向「大パニックだよ」

(コロコロ……)

日向「当たり。はーい」

「お、ひとりだけか」

日向「さすがだね」

「じゃあ日向さんが、焦っているうえにジメジメしているもんだから、だいぶ汗を流していたんだど、ふと休んだら、こっちのほうが(身体の左側)ひんやりとしてきた」

日向「あれ? ひんやりしてくるよ」

「すきま風が吹いてきているらしい」

日向「すきま風が吹いている、と(他の者に)知らせて、すきま風が吹いてくる元を探す」

「壁の一角から来ているみたいだね」

山田「ああ、涼しいですねぇ」

北村「順番で涼みましょう(笑)」

山田「……ここから?」

「どこかに小さな穴が――(<目星>の必要はないか)――空いてた!」

日向「やった、空いてた」

「うん。ちっちゃな穴が」

日向「大きくしてみよう。――指でガーッと(笑)」

「石でどうぞ」

日向「石で静かに、少しずつ削る」

「だんだんと穴が広がってくる。もともとここの壁は薄くて脆かったんだねぇ」

日向「ひとり、見張りを立てておこう」

山田「寝てるフリしながら見張る」

「……作業の途中で誰かが下りてきた」

山田「鼾(いびき)の音を変えて、知らせる。ズゴゴゴゴォォー(合図の鼾)」

日向「今は、外から穴が見えてしまうような感じ?」

「誰かが前に立てば、完全に死角になる」

日向「なにげに、どうやって逃げようかなぁ、と悩んでいる風に(笑)」

「それじゃあ、もやしっ子が『そろそろ諦めていただけたでしょかね』」

日向「すいませんでした」

山田「ズゴゴゴゴォォーって返事する(笑)」

「――と言って戻っていく」

日向「(小声で)作業再開」

「『あ、そうそう』(笑)」

山田「はっ!? ――変な体勢で止まる(笑)」

北村「くそ、何で抜け出せないんだぁーっ、と猿芝居をしながら」

「(冗談はさておき)そうして掘り続けていると、やがて人ひとりが通り抜けられるくらいの穴が空きました。向こうも真っ暗な空間です。ひんやりとした空気が漂ってきている」

日向「出ちゃおうか」

北村「出ます」

日向「みんな同時に出ようとする(一同笑)」

山田「俺だぁ! 俺が出るんだぁ! ――ここでサバイバルか(笑)」

「そういうわけで(笑)、出た。
 ――だだっ広ぉ〜〜〜い空間ですね」

山田「立てる?」

「うん。天井は充分高い。凄ぇ広い」

山田「どこが端っこかも判らないくらい広い?」

「うん。向こうが見渡せない」

日向「風が吹いてくる方向を感じる」

「特に感じないね」

山田「何にもなさそうなところ?」

「いや。あるよ」

日向「よーく見た」


(キーパーは、ここで地下の平面図を描きます)


大屋敷地下

「石でできた長方形の匣(はこ)が、大量に並んでいる。見渡す限り。大きさは、一畳分ぐらいですねぇ」

山田「大きいな」

日向「ふぅん……出口を探そうか?」

「高さはこのくらい(半畳ほど)」

日向「出口を探そうか!」

「それぞれ、本体と蓋に分かれている」

北村「まず、出口を探そうか」

日向「出口を探す!」

「あ、いいの? 一番手前にある匣だけ、蓋が開いているんだけど」

日向「あ、蓋開いてんの? ちょっと覗く」

「空っぽかと思いきや、分厚い――魔道書があるぞぉ」


(あ、「魔道書」って言っちゃった。まあ、いいや)


山田「魔道書? お楽しみの魔道書」

「見る?」

山田「一応見ておこうか」

「漢字だ」

山田「え? オール漢字?」

「うーん、捲ってみると、凄く古いものだと見て取れる。<日本語>ロール」

(コロコロ……)

山田北村「成功」

「古語だなと判る」

山田「ああ」

「タイトルは――漢字がいっぱい」


(キーパーは実際に書いて見せます。何と読むかは教えません。魔道書の題名は……『倶藍痾鬼之黙示録巻之一』と記されてありました)


山田「く・ら・あ・き・の・もく・じ・ろく・まき・の・いち?」

「そういう本」

北村「中を読んでみようかな」

「パラパラと捲ってみる。読むには相当時間がかかるからねぇ」

北村「じゃあ、流し読み(斜め読み?)」

「<日本語>ロール」

(コロコロ……)

山田日向「成功」

「何とか解読していくと……、地球外に棲息していた、ある《神》について書かれてある。その《神》は遙か昔、地球に降り立ったんだが、その場所は恐らく、ここ日本からはずっと遠いところなのだろうということだけは予想できる。その《神》は人類にとって非常に重要な存在であり、その信仰によって素晴らしい力を得られる、と書いてある」

日向「ふうん」

「その《神》の祝福を受けた者は、あまねく、永遠の寿命を得られるという。
 ――そんなところかな。あとは、何やら奇妙な儀式方法についてとか。――<クトゥルフ神話>ロール」

山田「(コロコロ……)あ、00。ファンブル」

「じゃあ、頭が爆発した(笑)。――まあ、判らないね。
 それと、<日本語>ロールに成功した人たちは<正気度>ロールをどうぞ」

日向「え。そんなビックリポイントだったの、今の?」

「うん。禁断の知識が書いてあるので」

(コロコロ……)

山田日向「成功」

「成功しても1ポイント減ります。時間をかけて熟読してたら、もっと減ってました。
 さて、更に、この長方形の石の匣は何でしょう――?」

日向「石の匣!」

北村「ビンゴ!」

「だからぁ!」


(意地でも恐い想像から目を背けようとしている人たちの図)


山田「一畳分?」

「うん。人が横になるには丁度いい大きさ」

山田「じゃあ、アレだよ(笑)」

日向「畳収納箱(笑)。ぴったりでしょ」

北村「ああ! 便利だよね」

日向「でも入れたら出せない(笑)」

「<アイデア>ロール」

(コロコロ……)

北村「成功」

「失敗した人は判らない」

日向「畳収納箱だと思うよね、普通ね」

「いや、みなさん石棺だと思うんですが、<アイデア>に成功した人は特に――」

北村「うん」

「――そういえばこの集落には、墓地がなかった――」

北村「……あぁぁぁ――。なかったよ、墓地が。お墓が」

日向「ふぅん。じゃ、これお墓かな」

北村「かな。見てみようか。いや……」

日向「出口を探してからにしよう」

北村「そうだね」

「探す?」

日向「探しちゃうね」

「(平面図に書き込みながら)ドアがある」

山田「ドアがあるけど……やだなぁ、何か」

日向「ドアを開けてみる。――ドアを開けたらまた棺だらけってのも困るけど」


(そうか、その手があったか……)


「(平面図を書き足す)上り階段。途中で曲がっている」

山田「どっちに行くんだろう。なんか、方向的に――」

日向「一応これで、いざってときにはね」

山田「逃げる場所が」

日向「――じゃあ、このあたりをぐるっと廻ってみる。廻るだけで、開けないよ!(笑)」

「え? 何を開けるのかなぁ?(笑)」


(キーパーは平面図を書き足します。石棺のある空間の奥が判明しました)


「<地質学>は持ってないか――じゃあ、<目星>の半分でいいや」

(コロコロ……)

日向「08、成功!」

「成功した人は、この地下が、自然の、と言うよりは人為的に掘り進めていっているものだと判る。しかもまだ作業は途中であるということも」

日向「ふぅん。へぇ」

「ところどころ、蓋が開いている石棺も見つけました」

日向「蓋が開いているのだけ、見学していく?」

「開いているものは、全て中が空っぽです」

山田「本もない?」

「うん」

日向「日向虎太郎は階段のところにいるので――」

「えっ! いつの間に(笑)」

日向「一番向こうの棺を開けてくれ、と頼む(笑)。
 ――でも記念だから、ひとつくらい開けていく? 開けた途端に一斉に階段のほうに駆け寄る(笑)」

北村「開けたらまずいんじゃないかなぁ」

「……巽君の様子がおかしい」

日向「あ、そういえば、すっかり忘れていた(笑)」

「ガタガタと震えだしている。『まさか。まさか。まさか――』」

北村「どうした巽君、と言ってみる」

「聞いてない」

山田「連れ出したほうが――」

北村「連れ出そうか。開けないほうがいいな」

日向「階段を上る。開けないよ」

北村「俺は開けないよ」

「(山田のプレイヤーと視線を絡ませて)ちょっと開けてみる?」

山田「(笑)――なんか、開けなきゃいけないよーですね。どうしよう。開けてみよっかな」

「開けちゃう? じゃあ、そのへんのをグッと押してみた。ゴゴゴ、と蓋を動かす。
 最初は重かったんだけど、押してるうち、急に軽くなってきた」

山田「あれ?」

「多分、誰かが手伝ってくれているんだろうと思う(ニヤリ)」

山田「いや、そんなことはないでしょ(笑)」

「隙間から、干からびたミイラのような手がガッと出てきて、蓋の端を掴んだ。<正気度>ロール」

山田「うわあ」

日向「うちらは、もう階段上っているんだよね」

北村「うん。やばいからね」(ひとでなしの図)

山田「(コロコロ……)ああ、失敗した」

「1D8」

山田「……3。えーと、十分の一だっけ(不定の狂気は)?」

「一時間以内に五分の一以上失うとまずい」

山田「まだ」

「さて、大いに焦った君はどうする?」

山田「そのまま逃げてくる」

「一心不乱に逃げます。途中でつまずいて転んだりもします。
 そうすると、他の閉じている石棺も幾つか、ゴゴゴ……と」

山田「やばーい!」

「その音は他の人たちも聞きます」

日向「まあ、音くらいはね。地震かなぁ、なんて」

北村「ねえ」

日向「うちら階段上っているんだよね。上り始めてるんだよね。
 現地にいた人はひとりだけなんだよね(笑)」

「それじゃあ(巽の<アイデア>ロール――成功)、巽君だけが何かに気づいた(正確には、思い出した)。
(巽の<正気度>ロール――失敗)あ。半狂乱になって口から泡吹いてる」

山田「まずいぞまずいぞ」

日向「大丈夫かい、巽君」

「聞いていない」

北村「暴れてる?」

「暴れてはいないけど――『そうだ、やっぱりそうだったんだ!』とブツブツ呟いている」

日向「いざというとき役にたたんなぁ。
 ところで、ここどこなんだろう。上ろうか?」

北村「ともかく上ろうよ。山田君を――待ってないで(笑)」(ひとでなしの図)

山田「待ってくれよぉ」

「じゃあ、階段を上った。(平面図を書き足して)通路が繋がっていた」

山田「追いかけるよ、もちろん」

「追いかけた」

山田「(ドアを指して)ここ、閉じれるの?」

「ああ、振り向く?」

山田「――(後ろ手に閉じる)」

「閉じた。さて、えーと、ここは長の屋敷なんだが――」

日向「廊下なの、今? 通路?」

「だよ。引っ立てられたとき、ここを連れてこられた」

日向「じゃあ、その逆を辿っていけば、逃げられてしまうね」

北村「よし」

「と、いうことで外に出ていいですよ。巽君を連れて」

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