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Act.8 CARTRIDGE


「あなたになら殺されてもいいわ」
「口説いているんですか?」
「そうよ、全部終わったら」
「最高だ」





ムーンアンドグローブ
Monday・23・Jan・200x 08:00pm
ムーンアンドグローブ

「お待たせしました」

神保「さっき、部屋の外で勝手にふたりで盛り上がって恐がってきましたんで、これ以上減るSANはないような気がします」

安原「何かな何かなー、って妄想してきました」

山形「もうね、もうね、やつらを見ちゃうとねー……。頑張って(笑)」

「それでは、“月と手袋”へ向かいました」

安原「あ、その前に、装備をそれなりに整えたいと思います」

「はい、なんでしょう」

安原「まず、発煙筒。それから、防犯ブザー」

神保「そうそう。あと懐中電灯ですよね。部室にあったりするかもしれないから、かっぱらってきて」

安原「あと、正直、腹に少年ジャンプを仕込むのはアリでしょうか?(笑)」

神保「タウンページがいいな」

安原「敵は容易に銃器を扱えるやつらだというぐらいの想像はつくと思うので。――でも、少年ジャンプじゃ絶対に貫通される(笑)」

神保「俺もそんな気がしてきた」

安原「やめよう(笑)」

山形「だったら、フライパンを入れたほうが、まだいい」

神保「ああ、そうですね」

安原「『荒野の用心棒』並みに(笑)」

山形「取っ手が取れーるー、ティファール、みたいな(笑)」

「さすがティファール。トカレフも跳ね返す(笑)」

安原「駄目だ(笑)。やっぱり、そのへんの小細工はなしにしましょう。こいつINT8だし(笑)」

山形「INT8だから思いつくんだよ(笑)」

神保「駄目駄目、こっちが止めるから(笑)」

「じゃあ、発煙筒と防犯ブザーを持って」

神保「はい、あと懐中電灯ですね」

「荒野のふたりが行きます」

安原「トカレフも持っていきます」

「ちなみに、さっき山形さんが手に入れたトカレフは整備不良で故障ナンバー96ですが、それは整備がされてるので、故障ナンバー99です」

神保「これに弾をこめて使ったほうがいい、っていう話ですね」

安原「そんな、良し悪しなんて判るんだろうか?(笑)」

「――では、先ほどの描写のように、雑居ビルに看板が出ていて、細い階段を下りていくとフライヤーがたくさんありまして」

神保「神保はミュージシャン崩れだったりするんで、勝手知ったるって感じで、あれ? こんなとこにこんな店あったっけ? 程度の認識で行くと思います」

安原「格好としては、ボアのついたダウンジャケット着てって、懐にトカレフ忍ばせて、あんまりシルエットが判らないようにします」

「ちなみに、トカレフ以外の武器は持ちませんか?」

神保「欲しいけど、学生の頭で思いつけないもんねえ」

安原「刃物ですかね」

山形「包丁だ包丁」

神保「ナイフかバットか。バットは持ち歩くのに不便だなー」

山形「じゃあ、包丁だ」

安原「うん、包丁でしょう。――銃が手に入って気が大きくなってるんで、ペティナイフか何かを足に仕込んで、イヒヒヒヒ、これダーティー・ハリーでやってたよね、とかやります」

神保「個人的に持ってたナイフを。ほとんどお守り代わりにしかならないでしょうけど」

「じゃあ、小型ナイフを持っていっていいです。
 ――あ、忘れてました山形さん。拳銃の修理を。〈機械修理〉か〈拳銃〉で」

山形「〈拳銃〉のほうが高いや。(コロコロ……)失敗」

「1D6ラウンドかけて1回試みることができるので、何度でも試していいです。96以上が出たら、グロックといえども完全に壊れます」

山形「(コロコロ……)成功」

「じゃあ、グロック直ります」

安原「でも、弾ないんですよね。9ミリ弾」

山形「15発」

安原「あ、予備マガジン持ってたんですね」

(本当は14発だよね。故障時に発射した1発をカウントしていないようです)

「――では、話を学生に戻しまして、階段を下りていきますと、例のイラストが描いてあるドアがあります。PLEASE KNOCK。ちなみに、色々と装備を整えていたので、山形さんよりも1時間ほど遅く、20時ごろに着きました」

安原「コンコン」

「シャッと覗き窓が開いて、気怠げな兄ちゃんが『あんた、だれ? だれのしょーかい?』」

安原「そしたらですね、こいつの名前を出します(メールを差しながら)。――マサヤヒカルだよ」

「すると、いったん閉まったあとで、ドアが開いた。料金はそれぞれ2,000円。ドリンクチケットつきです。で、――『もぐりたくなったら、トイレのよーぐいれを3かける3ノックだよ』」

安原「なんだ、そりゃ。――とりあえず、凄いガッチガチになりながら、中に入っていく」

神保「やっぱりProdigyが?」

「はい、The ProdigyのFirestarterが」

神保「おおっ!(笑)」

安原「Prodigy縛りだな、今日は(笑)」

神保「今日はProdigyの日なんだ」

安原「間違えてChemical Brothersとか、かからないかな」

(BGMにどうぞ。重たいかも。音量注意。【】)

「山形さんのときよりも夜が深まっているので、さっきの描写よりは若干人が多めです。おねーちゃんたちが踊ってます。Firestarterで(笑)」

神保「Firestarterでパラパラかもしれない」

安原「ええーっ(笑)」

神保「鳴兎子だし。色々なものが遅れて、ここにたどり着いたときにごっちゃになって、という、地方独特のものがあるかもしれない」

安原「――そしたら、まず、ワンドリンク飲んで気持ちを落ちつけたいと思います」

「では、不味いカクテルか薄いジュースどちらでも(笑)」

神保「不味いカクテル」

安原「マリブコークって、こんなに不味いのかよ! 炭酸全然ねえ!」

「飲みました。別に、変なものは入っていません」

安原「じゃあ、そのへんの人に、ここってどんなところ? って聞きこみしてみたいと思います」

「『知る人ぞ知る穴場だねー』」

安原「へえー」

「音楽のセンスがいいとかなんとか言ってます」

神保「ひと渡り見渡した感じ、歳は二十歳前後が多いですか?」

「そうですね。それくらいの年代が中心です」

神保「知った顔いたりします?」

「特にいないです」

神保「いてもおかしくないような感じですかね?」

「あんまり、真面目な学生が来るようなところではないですが」

安原「えーと、なんだっけ、天国だっけ? 行ったことある?」

神保「楽園じゃねえの?」

安原「そうそう、それ」

「『楽園? なんのこと?』」

安原「そんなところにぶっ飛べるとかなんとかって聞いたんだけどさー」

「『それ、ヤバイ薬か何か? 知らないよー』」

山形「潜りに行きなさいよ(笑)」

安原「友達と待ち合わせしてたんだけどさ、こういうやつ、いない? ――と言って、ミツバ君の特徴を伝えます。見なかった? そいつから、ここに来て、って言われてさー」

「じゃあ、〈幸運〉ロールしてください」

安原「60以下。(コロコロ……)21」

「そうしたら、『ああ、もしかして、あいつのことかな?』なんて、思い出したらしいのがひとり。『俺、6時から来てたんだけどさ、なんか、ひょろっとして眼鏡かけた、場違いなファッションのやつが入ってきたのは覚えてるけど』」

安原「ほー。じゃあ、来てるんだ、と見渡してみますが――やっぱり見あたりません?」

「いません」

神保「じゃあ、さらにその流れを受けて、『あいつ、マサヤから声かけられてたけど、俺たち置いて、抜け駆けしてっちゃったのかなー?』とかって、聞こえるように呟いてみます」

「それに対しては、特に反応はないですね」

神保「はーん。じゃあ、全員が全員ってわけじゃないのかもしれないですね。カタギの店でもあるんだろうし」

安原「じゃあ、このあとはいよいよ――」

神保「行くしかないか」

安原「行きましょう」

「トイレの用具入れ前に来ました。コンコンコン、コンコンコン、コンコンコン、コン」

神保「1個多い!(笑)」

「鍵が開きました。入りますね?」

安原「誰も見てないの確かめて、懐の拳銃をポケットに移しておきます」

「やはり、狭く短い廊下になっていて、真ん中に懐中電灯の入ったダンボール箱があって、ABCDEのドアが並んでます」

神保「あ、ここにあったんだ、電灯が。これ持ってけってことでもあるんだ」

安原「一応、その懐中電灯も持っておいて」

神保「一応ね。予備として」

安原「で、やっぱりここは迷わず、そうか! ってことで、Dを選びたいと思います」

「Dのドアを開けますと、狭く薄暗い下り階段」

安原「ドキドキしながら下ります」

「どっちが先ですか?(笑)」

神保「うーん……」

安原「どっちが先でしょう」

神保「こいつ、体力はないんだよね。その他の部分では平均かな」

安原「そしたら、僕のほうが早いんで、僕が先頭に立ちましょう。――DEX1点しか違わないんで、そう変わりはないんですが」

「それでは、薄暗く狭いコンクリート打ちっ放しの通路で、天井も低いです。延々続いておりまして、一本道ですが曲がりくねっていて、行ったり来たり、進んだと思ったら折り返して同じ距離ぐらい戻ったりして、というのを何度か繰り返して――」

安原「もの凄いお腹が痛くなってると思います。なんだよこれ、どう行くんだよーって」

「方向感覚も距離感も失われてきたころに、下り階段が」

安原「下り階段?」

「さらに下るみたい」

安原「厭な気分になります。ずっと、懐中電灯はつけた状態で」

「じゃあ、下って行きますと、真っ直ぐな通路に出まして、すぐ先にドアがあります」

安原「ドア」

神保「開けるっきゃないんじゃないですか? ――あ、音、聞こえますかね、なんか?」

安原「耳つけてみましょう」

「じゃ、〈聞き耳〉ロールを」

安原「〈聞き耳〉はねえ、ないよー(笑)。デフォルト。(コロコロ……)判りません」

神保「(コロコロ……)あーっ、27だ。2足りなかった」

「小さな音は聞こえませんが、大きな音は聞こえました」

安原「大きな音?」

「パン! パン! という銃声です」

神保「ええーっ!」

安原「あ、判ったぞ。ここは射撃場か何かなんじゃないかな?」

神保「あー、そう思って安心してるわけだ。サンチョ・パンザ症候群の前兆なんだな」

安原「ははーん、射撃場か何かだな。ここは銃を貸し与えている、ヤクザ絡みのとこなのかな。そうだ、そうに違いない、と脳内で勝手に思いながら、コンコンってノックしてみます」

「コンコン――特に返事はない」

神保「そしたら――どうしよう。懐中電灯を消してから開けてみる?」

安原「ああ、それがいいかな」

神保「明かりが入らないようにして、薄めにドアを開けてみる」

「ちょっと開けてみると――」

神保「銃声以外に、細かい物音が聞こえないかな、と。で、向こうに明かりがあるかどうかも」

「通路よりも若干明るいです。さらに〈聞き耳〉を振ってください」

安原「(コロコロ……)判んねえや」

神保「(コロコロ……)駄目じゃーっ!」

「じゃあ、ちょっと聞こえない」

安原「また、パン! パン! という音は?」

「もうしない」

安原「しないんだ」

神保「じゃあ、意を決して入るしかない」

安原「入るしかないですね」

「入りまっせー? はい、入りましたー」

安原「はい」

山形「じゃじゃーん。ラストか?」

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