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Opening Act. 1 Act. 2 Act. 3
Act. 4 Act. 5 Act. 6 Act. 7
Act. 8 Act. 9 Act. 10 Ending



Act.7 MAGAZINE


「……引金引ける?」
「心配なく。あなたで21人目です」





ムーンアンドグローブ
Monday・23・Jan・200x 07:00pm
ムーンアンドグローブ

「それでは、山形さんの出番ですよ」

山形「はい」

「バッティングセンターから向かって、到着したのは19時ぐらいにしておきましょうか」

山形「じゃあ、フラッシュライトの準備をして」

「例の場所へ行きますと、薄汚い雑居ビルがいっぱいありまして、その中のひとつに、汚いスプレー書きの文字で、見落としてしまいやすそうな看板がかかっていました。『CLUB MOON AND GLOVE』

神保「うわあ、出たな」

「下向きの矢印が横に描いてあり、看板の下には、地下へ向かう細い下り階段があります」

山形「あ、これか」

「下りますか?」

山形「下りてみます」

「下りていきますと、狭くて急な階段なのですが、途中に踊り場がありまして、折り返してさらに下へ続きます。階段の途中の壁には、たくさんのフライヤーがペタペタと貼ってあります。主にアマチュアバンドのものですね」

安原「なーんだ、アマチュアバンドか」

神保「いや、判んないよ。『銀座うずまき』とか書いてあるかもしんない」

「踊り場には、ささやかなテーブルがありまして、そこにフライヤーが平積みになっていたりします。――どんなフライヤーか見ますか?」

山形「見ます」

「えーと、鳴兎子でブイブイ言わせてるようなアマチュアバンドのものが。――かの有名な、セックス・ライフルズとか」

神保「(笑)」

「セックス・ショットガンズとかセックス・ガトリングガンズとか」

安原「流行ってんのかな、セックス・シリーズ(笑)」

神保「セックス・キャノンズとか」

「あとは、なぜかTRPGのコンベンションのお知らせが(笑)」

山形「プレイヤー募集中」

「そうそう。D&Dとかソードワールドとかメックウォリアーとかですね」

山形「クトゥルフはないの?」

「クトゥルフはありません!」

神保「この世界には存在しないんだから」

安原「平成ガメラは、亀が存在しない世界ですから」

「さらに下りていきますと、ここが店の入口だな、という鉄製のドアがありまして、そこにスプレー書きの店名のロゴ――『CLUB MOON AND GLOVE』――がありまして、さらにその下に綺麗な絵が描いてあって、白手袋をはめた右手が手のひらを上に向けて、その上に月が浮かんでいる」

山形「おー、かっこいいな」

「その下には『PLEASE KNOCK』と書いてある」

山形「ノックしてみる」

「ゴンゴンゴン、と叩きますと、やや間があってから、昔のもぐり酒場みたいに、ドアについている横長の覗き窓がシャッ! とスライドして開きます」

山形「(笑)」

神保「スピークイージーだ」

「窓はもちろん目の高さに開いていて、向こうの人の両目だけが見えます。なーんか怠そうな、やる気なさそうな兄ちゃんが、不審そうに山形さんを見て、『あんた、だれ? だれのしょーかい?』と訊いてきました」

山形「……キリト、って言ってみよう」

「『はははぁ、じょーだん』と言われて、シャッと閉じられます」

山形「開けてくれないんだ。……もう1回ノックします」

「ガガガガン! ――シャッ! 『なに? きゃくー?』」

山形「客」

「『うちってさー、いちげんさん? おことわりなんだよーねー。それに、あんたみたいなの、このみせ、にあわないよー?』」

神保「銃で狙ったら? もう、そこから(笑)」

山形「……銃突きつけてぇ!(笑)」

神保「突きつけるよりも、ドアの蝶番撃ち抜いちゃったほうが早いかもしれないっすね」

「ちなみに、店の中からはガンガン音楽が流れてきています」

山形「じゃあ、なんか、――ドラムの叩き方が遅えんじゃねーの? みたいな、知ってることをペラペラと言ってみる」

「『なに、しったかしてんの? で、あんた、いったい、なんなの?』」

山形「客」

「『きゃくぅ? だからさぁ、だれのしょーかい?』」

山形「なんて言ったらいいんだろうなあ……」

神保「地下に下りていって、配電盤とか壊して、真っ暗にして押し入ったりとかするのかな?」

安原「配電盤って、店の中にあるんじゃあ?」

神保「ビル全体の」

山形「どうしたらいいだろうなあ」

神保「そうこうしているうちに、こっちが着く、なんて都合のいい展開にはならないかな?」

「なりません」

神保「俺たちも出かけちゃったんですよね?」

山形「今は解いてるころでしょ?」

「いや、解いていたのは昼間ぐらいです」

神保「行く前に、ムーンアンドグローブって、調べられないですかね? こんな店だったら、載ってないじゃないですか、地図には……」

(それはさておき、今は刑事のシーンです)

山形「……思いつかない」

神保「たとえば、出任せだったら、射殺されたジンコウイチロウとか、関係者の名前を列挙するとか」

山形「あ、それじゃ、死んだやつの名前を言ってみようか。……ジン」

「『ジン? あいつ、しんだ、ってきいたけど?』」

山形「まあ、死ぬ前にな。――と言って、あの鍵を見せる」

「『ああ、そーなんだ。じゃー、ちょっとまってな』と言って、いったん窓を閉じます。で、ガチャリ、とドアを開けました。
 ドアが開いた途端、大音量で店内の音楽が聞こえてきます。The ProdigyのVoodoo Peopleが」

神保安原「うおーっ!」

山形「わ、知らない! 知ってたら盛り上がれるのに、俺は知らない!(笑)」

(BGMにどうぞ。重たいかも。音量注意。【】)

山形「そういえば、ジンが死ぬ前に、楽園に行きたいのかとかなんとか言ってたよね。――ここが楽園なのかい? と、一応訊いとく」

「そう訊くと、『もぐりたくなったら、トイレのよーぐいれを3かける3ノックしな』と言われる」

山形「ほう」

「『はい、2,000えん』と手を出す」

山形「はい、渡しとく」

「ドリンクチケット渡されます」

安原「ワンドリンクつきか」

山形「一服盛られるかな? まあいい、飲んじゃえ」

安原「アホみたいに薄ーいマリブコークとか」

「中は薄暗いお店でして、ホールでは若い男女が激しく身体を動かし踊ってます。カウンターやテーブルでは、アルコールやソフトドリンクを飲む人たちの姿がぽつぽつと見受けられます。――刑事さんの目から見て、目に見えて非合法なことはおこなわれていません」

山形「じゃあ、ちょっと音楽を聴いたあとで、3かける3叩く」

「トイレに行きますか?」

山形「はい」

「非常に汚いトイレでして、まあ、『トレインスポッティング』ほどではないですが――」

神保「相当汚いってことだ(笑)」

「男女の区別なく使われています。個室がいくつか並んでいますが、一番奥が用具入れになっています」

山形「そこに行く」

「ノックしますか? 3かける3?」

山形「うん」

「コンコンコン、コンコンコン、コンコンコン。――しばらくすると、内側からカチャリと鍵をはずすような音が」

山形「たぶん、階段があるんだ! 地下へ行く。――開ける」

「開けた。誰もいない」

山形「誰もいない?」

「奥は非常に狭く短い廊下になっていまして、まず廊下の真ん中に、薄汚れたダンボール箱がひとつ置いてあります。中には何かがたくさん入っているようです。で、さらにドアが5枚あります」

安原「5枚――」

「ドアにはそれぞれスプレーで雑な文字が書いてあります。左手の2枚が、手前から“A”、“B”。正面の1枚が“C”。右手の2枚が奥から“D”、“E”」

山形「ああー、これはさっきの……ああっ、俺は知らない! 俺はあのホームページを知らないぞ!」

「そう、知らないのだよ(笑)」

山形「確実に死ぬってことか、ここで。……えーい、知らないけど、なんとなくDに行きたい(笑)」

「それは駄目です(笑)」

山形「ランダムに決めるか――5面体ダイスなんてないしな」

「10面体の半分で」

山形「開けたらズドン! なのかな」

神保「いや、でも、それは――あ、でも、行方不明者多発ってことは、そういうこと?」

山形「鍵はかかっているの? ドアに」

「どれか試してみます?」

山形「鍵穴があるかどうかっていうのは?」

「すべてのノブに鍵穴があります」

山形「じゃあ、持ってる鍵を――」

神保「その鍵で開くドアってわけか」

「全部試してみます?」

山形「うん」

「じゃあ、どれも合わない」

山形「これとは違うのか……罠かなあ」

「ダンボール箱の中は見ませんか?」

山形「あ、見ましょうか」

「中には、100円ショップで売ってるような安い懐中電灯がいっぱい入ってる」

安原「中は真っ暗だから――ってことかな」

「まあ、山形さんはすでに持っているので不要でしょうが」

山形「フラッシュライト持ってる」

「高いやつを。これひと箱分ぐらい買えるやつを」

山形「5、6千円しましたから。しかも、何割引かで」

神保「わーお」

(覚悟を決めて、10面ダイスを振ります。1,2:A、3,4:B、5,6:C、7,8:D、9,0:Eと決めておいて――)

山形「(コロコロ……)3」

「ということはBですね」

(キーパー、7か8が出ないことを心の底から祈っていました。念じていました。当初の予定では、刑事は別ルートで先に進む予定でしたので。山形の行動により、展開が変わったのです)

「Bをカチャリと開けた」

山形「やっぱり、銃とライトを構えながら」 Glock34

「Bを開けますと、下り階段が続いております」

神保「壁には燭台に炎が、とか、そういうことはない?」

「はい。非常に狭い通路で、ところどころ天井に電球があるので、まったくの暗闇というわけではありません。かなり薄暗い電球ではありますが」

神保「インフラビジョンは使えない」

山形「ここで殉教か……」

「殉教?」

神保「殉職でしょ!(笑)」

山形「殉職か(笑)。――じゃあ、銃を抜いて下りてみますか」

「下りていきました。やがて階段が終わって通路になります。下った距離は、そんなに深くはないです。せいぜいワンフロア分ぐらいで、しかも天井は低い。
 通路は一本道なのですが、途中で何度も折れ曲がり、いったん奥まで進んでから折り返して戻ってきたりとか、無駄に歩かされているような気もします。いったいどこまで歩かされるのか、といった感じ」

山形「監視カメラとかありそうですか?」

「パッと見、ないですね。――方向感覚とか距離感とかが失われてしまったころ合いに、やっと行き止まりが見えました。先ほどと同じようなドアが1枚あります。ドアには特に何も書いてありません」

山形「じゃあ、ライトをつけて、扉を少し開けて――もちろん屈みながら」

「そうしましたら、扉に手をかける前に、〈DEX×2〉ロール」

山形「うわ、来た!」

安原「内側から銃撃? 天井からスライム?(笑)」

山形「DEX低いんだよな(笑)。(コロコロ……)00! 死んだ!」

「ファンブル(笑)。――ドアの前で屈んだ途端に、床がパカッと開いた」

山形「(笑)」

安原「ファイティング・ファンタジーだ!」

神保「うわあ!」

山形「カリオストロの城かよ、ここは!」

「なんてったって“月と手袋”ですから、そりゃあ、乱歩チックな仕掛けもあるというものですよ」

神保「あー、そっかそっか(笑)」

安原「やっぱり乱歩だったんだ(笑)」

山形「カリオストロのように、ヒューッと落ちていく(笑)」

「落下距離は5メートルほどで、ぼしゃん! と水の中に落ちました。かなり浅いですが」

山形「はい、〈ジャンプ〉」

「〈跳躍〉ロールどうぞ」

(昔は〈ジャンプ〉ロールという名称でした。これに成功すると、着地の衝撃が減ります)

山形「(コロコロ……)失敗」

「ダメージは自分で振ってください。1D6-1。1が出たらダメージ0点です」

山形「(コロコロ……)2。痛たたたたた……罠かよ! と言って立ち上がる」

「立ち上がりました。ここは下水道の本道のようです。結構広いです」

山形「ほーう」

「中央に水が流れていて、左右に人ひとりが歩ける程度の通路があります。ところどころの壁に、支流へ向かう細い穴が空いていたりします。もう、上には戻れません。
 やはり流れているのは雨水なので、そんなに、ばっちいものではありません。かといって綺麗でもないと思いますが」

山形「それじゃ、階段を探しに。外に出るか……」

「では、ここのMAPは――(ホワイトボードにMAPを描く)

(最近はファンタジーTRPGのダンジョンでも、GMのオートマッピングがないとブーイングですね。昔はよかった……?)

(山形の歩いたルートを記載したMAPを用意いたしました。ご参照ください。

「では山形さん、〈アイデア〉ロールをしてください」

山形「(コロコロ……)失敗です」

「じゃあ今度は〈ナビゲート〉を振ってください」

山形「(コロコロ……)失敗です」

(ある臭気の流れに気づかず、方向感覚も失っています)

「現在、真っ直ぐな通路の真ん中にいます。左右あるいは前後に延びている状態ですね。どちらに行きましょう?」

山形「コインを投げて、表だったら上、裏だったら下――って、やってみるか」

(ダイスロールではなく、わざわざコイントスで決めました。こういう細かいこだわりは大事にしたいものです)

山形「――下に」

「では、この地図で言うところの下へ向かって行きますと、前と左へ通路が分かれます」

山形「風が流れてくる方向とかって、判りますか?」

「うーん、さっきの〈アイデア〉に失敗したんで、よく判らない」

山形「じゃ、左へ」

「行き止まり」

山形「穴から水がドバーって出ていたり」

「そうですね。外は雨じゃないので、たいして流れては来ないですが。――こういった狭い支流に、わざわざ這って行く必要はないですからね、とメタ情報を(笑)」

山形「じゃあ、丁字路に戻って、左へ折れますわ」

「すると、左への曲がり角。曲がりますか?」

山形「はい」

「今度は前と右へ分かれますが、前はすぐ行き止まりになっているので、右へ折れます。
 すると十字路が出てきます。右はすぐ行き止まりです」

山形「じゃ、真っ直ぐ」

「真っ直ぐ進むと右への曲がり角が見えてきました。で、この角へ行こうとしたところ――〈聞き耳〉2倍でどうぞ」

山形「(コロコロ……)失敗」

「はい。じゃあ、角に行きまして、パッと右を向いた途端、真っ直ぐ続く通路の水の中で、何かが動いているのが見えました。ライトを向けてみると、明らかに何かいます。水の中に隠れつつ、だんだんと近づいてきます。ある水面が盛り上がったかと思うと引っこんで、ちょっと離れた別の水面が盛り上がって――といったことを繰り返しながら。暗いので、詳細はよく見えませんが」

山形「それは――〈クトゥルフ神話〉を振ってもいいかっていう感じ?」

「まだ、振らないでください(一同笑)」

安原「うわあー(笑)」

「どうやら、近づいてきているものは、何かボロ切れのようなもので身を隠しているらしい。人かな? 人だよな? いや、どうだろう? それがたくさん」

山形「たくさん!?」

「たくさんと言っても――そうですね、正確な数は判りませんが――5体以上(笑)」

山形「走って、もとの位置に戻ります。――て言うか、走れねえか。脚悪いし。とりあえず、もとの場所に戻ります」

「では、できるだけ急いで戻ります。足音なんてどうでもいいですね。十字路まで戻りました。では、また〈聞き耳〉2倍で振ってください」

山形「(コロコロ……)今度は成功」

「背後から、ゆっくりとではありますが着実に、水音が近づいてきます。ざわざわ……。走って逃げられる速さではあります」

山形「じゃあ、右へ曲がる! 一か八か!」

「はい、曲がりましたー。真っ直ぐ続いて右に折れて、またすぐに左へ折れ、さらに真っ直ぐ――」

山形「あの化け物と追いかけっこやったときを思い出すぜ(笑)」

「――やがて、丁字路がふたつ続いたところへ。右、左、前と進めます」

山形「右!」

「十字路になりますが、前はすぐ行き止まりです」

山形「じゃあ、右へ」

「長い通路が続き、右へ折れて行き止まりー」

山形「ちぇっ」

「ここにですね、汚い毛布っぽいもので幕がかけられている棚が、正面と左右に合計3つある」

山形「捲ってみる」

「捲ってみました。木箱がいくつか置いてある。あまり整理はされていないですが」

山形「開けてみる」

「中には、何丁ものトカレフが入っています」 Tokarev-TT33

安原「ほおー」

「別の箱には弾丸も入っています」

山形「込めます!」

安原「おおっ、銃を取るんですね」

「じゃあ、1丁選んでください」

山形「ポケットに弾丸を入れて(笑)。2丁拳銃(笑)」

「その作業をやっていると、背後から、ざばざばざば……と接近してくる音が聞こえてきました」

神保「来たぁ」

安原「お待ちかねの銃撃戦ですか?」

神保「来た来た来た(笑)」

山形「ライトで照らしながら撃つから」

「さっきのように、毛布だかボロ切れだかよく判らないものに身を隠しているような感じで、いくつものシルエットが」

神保「でも、息を殺していれば。スネークじゃないけど、木箱被って息を殺していれば、やり過ごしたりできないかな?」

「中身を空っぽにするには、ガチャガチャと騒音を立てないと」

神保「あー、そうか。――棚に横になって入るとか」

安原「それ、少年探偵団。やはり乱歩だ(笑)」

山形「撃つ!」

「正体を見極めずに撃ちますか?」

山形「それ以上来ると撃つぞー! みたいなことを言って」

神保「動くな! とか、止まれ! とか」

「警告されても、まったく速度を変えません」

山形「もう撃つ(一同笑)。撃つ撃つ。――マズルフラッシュに照らし出されるのかな?」

安原「正体がですか? でも、何か被ってるんじゃあ? ――そんなように見えるだけなのかな?」

「それでは、戦闘に入ります。最初のラウンドは、山形さんが一方的に3発撃てます。相手は小さな体型なのですが、2列横隊で奥まで並んでいます。とりあえず視認できて狙えるのは、最前列の2体(A,B)と、そのすぐ後ろの2体(C,D)。さらに後ろにもまだいるみたい」

山形「うわあ! ――よし、貫通させれば後ろのやつにもダメージだ!(笑)」

安原「それは無理です(笑)」

 第1ラウンド

「じゃあ、撃ってください」

山形「(コロコロ……)はずれ、貫通、当たり。2発当たって、片方が貫通」

「狙うのはどれですか?」

山形「Aに」

「Aに3発撃ったわけですね? それでは、まず最初のダメージ決めてください」

山形「(コロコロ……)まず6。で、貫通のほう(コロコロ……)8」

「もう、これはですね、2発当たって完全に息の根が止まりました。ボシャッと水面に突っ伏します。で、赤い血がモヤモヤ〜と広がる」

山形「襲いかかってこないの?」

「次の瞬間、残りのやつらがザバッと立ち上がります」

山形「SANチェックですか」

「さて、その前に、どうしようかなー。ここで場面を切り替えたくはないのですが、相手の正体を学生プレイヤーが早くも知るというのも……」

神保「じゃあ、部屋の外に出てましょうか。俺ら、まだ何も知らずにドキドキしていたいですから」

「プレイヤーの皆さんにお任せします。プレイヤーは知ってて、知らないふりをしてキャラクターは恐がるというのはもちろんオッケーですし。プレイヤーも含めて、まったく知らないままでもいいです」

安原「本当に知らないほうが、個人的には面白そうだな」

神保「まるっきり想像してないわけでもないけど、ちょっと、退室します」

(まだクリーチャーの正体を知りたくないということで、いったん部屋を出る神保&安原。これ幸いにと、煙草を吸いに行きたかったのかもしれませんが(笑))

「それでは、出てきたやつらの姿ですが、それを見て一瞬、しまった! と思ってしまいました。というのも、皆、一見、人間の子供に見えました」

山形「ほーう」

「人間の子供ですが、どいつもこいつも髪の毛がなくて、目はあるのですが中は真っ暗で眼球がありません。カハァッと開いた口には、細かい牙が乱雑にびっしりと生えています」

山形「あああああ」

「さらに、パッと開いた両手の平には、同じく牙の生えそろった口が開いています!」

山形「ああーっ! なんだよ! こいつらかよ! そういうことね、はいはい、誰が敵か判った!」

「〈正気度〉ロール!」 Children of Y'golonac

山形「(コロコロ……)失敗」

「失敗したら、こいつら集団でいるんで、最大値の4点減らしてください」

山形「はい。1、2、3、4」

「この先、ひょっとしたら、1時間以内に色々なものを見るかもしれませんので(笑)、正気度の確認に注意してください。この4点が減る前は何点でしたか?」

山形「44です」

「ということは、その5分の1以上――9点以上を1時間以内に失ったら、不定の狂気です。あと5点ですね」

山形「やばいですね。行きますか、戦闘」

「では、Aの死骸を踏みつけてCが前に出てきました。奥にまだ何体いるか判りません。水面がユラユラしていて判りにくいですし、暗いですし、ライトの範囲も限度がありますから」

山形「殉職です」

 第2ラウンド

「それでは、2ラウンド目に突入ですが、飛び道具なので最初の1発は自由に撃っていいですよ」

山形「じゃあ、今度はB。(コロコロ……)はずれ」

「次はDEX順です。もちろんこっちが早いです。BとC両方が攻撃してきます」

山形「はい」

「――それぞれ、口が3つありますので、1ラウンドに3回ずつ攻撃できます(笑)」

山形「あーっ! 終わったー! 死んだー!」

「でも命中率めっちゃ低いですよ。それと、1ラウンドに何回攻撃してくるかは、1D3でランダムに決めますので。最低2回、最高6回、1ラウンドに攻撃されます。
 (コロコロ……)BもCも1回ずつ噛んできます。(コロコロ……)どちらもはずれ」

山形「じゃあ、じゃあ、もう、両手で同時に銃を撃ちながら、強引に前へ進んでいこうとする。駄目かな? 子供でしょ? 蹴り飛ばしながら、前に進んでいければ――できるかな?」

「ただ、四方八方から囲まれる恐れはありますよ。子供といえども、人間の子供よりもすばしっこくて凶暴ですし」

山形「ああ、そうですね。――何匹いるかが問題だよね」

「数珠つながりにいたりして(笑)」

山形「(笑)あと2匹ぐらいは潰してからにするか」

「じゃ、このラウンドで、山形さん、あと2発撃てます。DEXの順番と、DEX半分の順番で」

山形「(コロコロ……)1発成功。(コロコロ……)ダメージ7」

「Bが死んだ。では、最後の1発をCに撃っていいですよ」

山形「(コロコロ……)成功。(コロコロ……)ダメージ9」

「Cも死んだ。で、奥にいるDとEがせり上がってきます。まだまだ〜」

山形「何匹いるんだー」

「まあ、1発で死ぬぐらいの強さですから、うじゃうじゃ出さないと。スケイブンみたいに」

山形「(笑)」

 第3ラウンド

「では、1発目どうぞ」

山形「(コロコロ……)えーと、貫通。(コロコロ……)11ダメージです」

「Dが死んだ。では、Eだけが攻撃します。(コロコロ……)3回!」

山形「来たかっ」

「(コロコロ……)あ、駄目だ。全部はずれ」

山形「あー、よかった……」

「では、もう2発どうぞ」

山形「Eへ。(コロコロ……)普通に成功。(コロコロ……)2点」

「E生きてます」

山形「3発目。(コロコロ……)成功。ダメージ行きまーす。(コロコロ……)9」

「Eも死んだ。そして――まだいるのかなあ? あら、いますねえ、FとGが(笑)」

山形「判ってるくせにー(笑)」

「うじゃうじゃ出ますよー」

 第4ラウンド

「1発目どうぞ」

山形「はい。(コロコロ……)普通に成功。(コロコロ……)ダメージ1。くそう」

「ウキャーウキャーと痛がってます。じゃあ、行きますよー」

山形「食いついてください」

「(コロコロ……)Fが1回、Gが2回。(コロコロ……)95とか98とか出てるし(笑)。1回ぐらい噛みつきたいなあ。では、2発目どうぞ」

山形「(コロコロ……)わ、失敗した。(コロコロ……)おっ、ぎりぎり成功。ダメージ(コロコロ……)1」

 第5ラウンド

「1発目どうぞ。弾ありますね、まだ?」

山形「まだあります。(コロコロ……)失敗」

「(コロコロ……)Fが2回、Gが3回。5回行きますよー。(コロコロ……)1回だけ当たり! (コロコロ……)ダメージが1点」

山形「はい」

「あ、そういえば、さっき落下したとき〈応急手当〉してなかったですね。あとでやっていいですよ。――ここで生き延びられたら(笑)。
 次に、山形さんが2回撃てます。どうぞ」

山形「(コロコロ……)2発ともはずれ。あれ? 当たんなくなっちゃった」

 第6ラウンド

「1発目どうぞ」

山形「(コロコロ……)当たり。(コロコロ……)5」

「Fが死んだ。では今回はGだけの攻撃。(コロコロ……)1回。(コロコロ……)当たり。(コロコロ……)ダメージ1点」

山形「痛いなあ」

「傷の数だけ、あとで〈応急手当〉できますから。――それでは、山形さん2発目撃てます」

山形「撃ちます。(コロコロ……)失敗です。――トカレフ出します(笑)」

「あ、弾切れ? このラウンドではすぐに撃てないですね」

山形「グロックのマガジン交換するか、さっき弾込めしたトカレフ出すか、どちらかしかない。どっちのほうが早い? 両方とも同じ?」

「マガジンの交換には、次、丸々1ラウンドかかります。トカレフを使うなら、次のラウンドに取り出してから1発だけ撃てます」

山形「じゃあ、トカレフにします。で、トカレフ撃ち終わったら捨てて、マガジン交換して撃つ」

「では、そうしてください。トカレフのデータは32口径オートマチックと同じです。グロックよりダメージ少ないけどいいですか? あ、それと故障ナンバーが――」

山形「データだと99」

「このトカレフは整備されていないので、96以上で故障します」

山形「はい、判りました」

 第7ラウンド

「トカレフ撃つんであれば、ラウンドの最後に1発だけ撃てます」

山形「はい」

「ではそれまで、こいつらの噛みつきに耐えてください。Gの横にHが出てきますが――後ろには、もう1体――Iしかいないっぽい」

山形「あ! やった!」

「さあ行きますよ。(コロコロ……)2回。(コロコロ……)どちらもはずれ。
 で、最後に1発、トカレフを」

山形「(コロコロ……)貫通。(コロコロ……)7」

「はい、Gが死んだ」

 第8ラウンド

「最初にトカレフ1発撃てます」

山形「(コロコロ……)当たり。(コロコロ……)ダメージ2点」

「では、HとIが。(コロコロ……)2回。(コロコロ……)はずれ!
 では、2回目のトカレフどうぞ」

山形「(コロコロ……)当たり。(コロコロ……)3」

「Hに当たりましたが、まだ生きています」

(トカレフの攻撃回数を、3/Rではなく、2/Rと勘違いしています。このミスはゲーム終了まで続きます。あしからず)

 第9ラウンド

「トカレフ1発目どうぞ」

山形「(コロコロ……)当たり。(コロコロ……)5」

「おっ、実はまだ生きてます。H、体格いいです(笑)」

山形「ラスボスかよ!(笑)」

「(コロコロ……)Hが3回、Iが1回。(コロコロ……)1発だけ当たり。(コロコロ……)ダメージ1点」

山形「よかった。――血だらけですな。歯形がいっぱい」

「では、2回目のトカレフを」

山形「5発目! (コロコロ……)94だった。危ねえ」

 第10ラウンド

「1発目どうぞ」

山形「(コロコロ……)成功。(コロコロ……)2点」

「H死んだ。次、Iが来る。(コロコロ……)3回! (コロコロ……)1回当たり。(コロコロ……)1点」

山形「耐久力の半分失ったら気絶でしたっけ?」

「1度のダメージで一気に半分以下になったら、〈CON×5〉に成功しないと気絶します。ちまちま減っているだけなので、まだ大丈夫ですよ」

山形「じわじわと減ってる。歯形がついていってるんですよね。あー、やだやだ」

「2回目のトカレフどうぞ」

山形「(コロコロ……)あ、はずれ」

 第11ラウンド

「次のラウンド、1回目のトカレフ」

山形「(コロコロ……)はずれ。弾切れなので捨てた」

「Iの攻撃行きます。(コロコロ……)2回。(コロコロ……)1発当たり。(コロコロ……)ダメージ2点」

山形「うわ、痛い! かなりやばくなってきた」

 第12ラウンド

「では、次のラウンドですが」

山形「マガジン交換します」

「じゃあ、交換しただけで終わります」

山形「耐えろ山形!」

「(コロコロ……)1回攻撃です。(コロコロ……)はずれ!」

 第13ラウンド

「グロックに戻りまして、1発目どうぞ」

山形「(コロコロ……)はずれ」

「じゃあ、こっちの攻撃行きます。(コロコロ……)2回行きます。(コロコロ……)はーずれ」

山形「恐かったー。(コロコロ……)当たり! (コロコロ……)ダメージ8!」

「死んだ!」

山形「やったーっ!」

「ふぅー」

(あー、長かった)

山形「痛、た、た、た、た」

(退室していた神保と安原を呼び戻す)

山形(ふたりに)血だらけになってます(笑)」

「〈応急手当〉何回やるんだ、こりゃ?」

神保「何回って(笑)」

山形「6回」

「それぞれ試して、失敗したら、ざーんねん! 成功したら、傷ひとつにつき1D3回復します」

山形「えーっと、〈応急手当〉より〈医学〉のほうが高いんですけど」

「じゃあ、〈医学〉でいいです」

山形「(コロコロ……)」

(6回中、5回成功し、戦闘で失った耐久力は全回復しました。落下で失ったものだけそのまま)

山形「で、〈クトゥルフ神話〉ロール」

「はい、どうぞ(忘れてた)

山形「(コロコロ……)知らない! ――なんじゃー、ありゃあ!? なんだ、あれは!? なんだー、ここはーっ!?」

神保「恐いなあ」

山形「死体がいっぱい転がっております」

「残り銃弾いくつですか?」

山形「16発。で、トカレフの山にいって、またガサゴソやります」

「はい(笑)。トカレフ全弾補充していいですよ」

山形「マガジンあります? マガジンあれば、予備もポケットに入れていきたいんですが」

安原「それって、他のトカレフから抜けばいいんじゃないですか?」

山形「うん、だからそう。それで持っていっていいんであれば」

「どのぐらい持っていきますか?」

山形「ひと握り。ポケットに入るぐらい」

「じゃあ、とりあえずマガジン2個」

安原「山形さんは酷い目に遭っている」

山形「血だらけになってますよ」

神保「まだ陽の光見てないんですか」

「――では、十字路まで戻りました」

山形「真っ直ぐ行きます」

「やがて行き止まりになりました」

山形「戻ります。で、右の壁づたいに」

「丁字路がふたつ続いている場所へ戻り、右折すると、また行き止まりです。引き返して右折し、長い通路をどんどん進んで、やがて十字路にたどり着きました」

山形「左へ」

「少し進むと左へ折れ、すぐに右へのジグザグ通路です。そして十字路へ。
 ――で、またこのあたりで――」

山形「またあいつらですか。いっぱいいるんかい!」

安原「いっぱいいるのか……」

「今度は〈聞き耳〉を振るまでもなく、後方の通路から、大きな水音がバシャバシャバシャと近づいてきます」

山形「ご本体かぁ!?」

安原「なんか言ってるぞ(笑)。なんだ、ご本体って?」

「また、例のやつらが。……詳しい描写は避けますけど」

神保「(笑)」

「例のやつらが、うじゃうじゃ湧いてきました。後ろから」

山形「追ってきたの!?」

「そうです。さっきとは違って、走ってやってきますので、ちょっと山形さんの足では逃げきれないと思います」

山形「えー、何匹殺せばいいんだよー、小人ちゃん」

安原「小人(コビト)ちゃん? ――ウォルター・コービット!?(一同笑)」

神保「ええーっ! 駄洒落かい!」

「さあ、行きますよ」

山形「行きますか!」

 第1ラウンド

「では1ラウンド目。1発目撃てますよー」

山形「弾が尽きるじゃん! これでまた、弾補充にあそこまで戻るのか(笑)」

安原「凄い道のりですね」

(ぶっちゃけ、キーパー、グロックの弾切れを待ってます。グロックの予備マガジン持っていなければ、こんなに子供たちを出す必要もなかったのですが……。探索者が武装するとクリーチャーも手強くなるという、これCoCの法則)

山形「(コロコロ……)はい、命中。(コロコロ……)ダメージ5」

「はい、まだAは生きてますよー。(コロコロ……)2回と3回。(コロコロ……)1回当たり。(コロコロ……)2点」

山形「嘘! ああ、張り手を食らった!」

安原「張り手?」

「それでは、射撃どうぞ」

山形「(コロコロ……)壊れた(爆笑)」

「グロックが壊れましたー!」

神保「壊れたあ?」

山形「故障ナンバーが出ました」

「オートマチックのジャミングを直すには、1D6ラウンドかけて、〈機械修理〉あるいは〈拳銃〉ロールに成功しなければなりません」

山形「じゃあ、これはポケットにしまって、トカレフで戦います(笑)。さようなら、皆さん!」

安原「ええーっ」

 第2ラウンド

「では、トカレフに持ち替えてる間に、攻撃行きます。(コロコロ……)1回と3回。(コロコロ……)1回当たり。(コロコロ……)ダメージ2点」

(トカレフ1発だけ撃てるのですが、忘れてました)

「では、ここらで、自動イベントを起こしましょう」

(まさかグロックが壊れるとは。ということで、ここらでヘルプを入れます。時間も押してることだし)

「ああ、もう、トカレフしかない! と思っていると……銃声が聞こえます」

山形「おお?」

「ダン! ダン! ダン! と、やつらの背後から」

山形「おおーっ!」

神保「ひょっとしたら――」

山形「ひょっとしたら?」

「後ろから撃たれて、やがて、こいつらが皆倒れました。――まさに山形さんに飛びかかってきたところ、後頭部を撃たれて脳症を飛び散らせて」

神保「あの馬鹿者君(マサヤヒカル)じゃないか、ひょっとして?」

山形「いや――イチジョウちゃん?」

神保「ああーっ!」

「やがて静かになると、こいつらの死骸の向こうに、片手を伸ばし銃を構えた――イチジョウ警部補の姿が」

神保「ああーっ!」

山形「こんなところで借りを作るとはな」 SIG PRO

「こちら、イチジョウ警部補の銃です」

山形「SIG PROじゃねーかー!(笑)」

(偶然にも、銃器提供のプレイヤー氏、SIG PROのモデルガンも持参していました。素晴らしい!)

神保「すいません、鳴兎子の警察の方々、どういうハジキを持ってるんですか? ほんとに(笑)」

安原「鳴兎子は、土地が土地だから、実は、非合法だけど、みんな銃器を好き勝手に持っていいことになってるんじゃないですか?(笑)」

神保「ああーっ」

「まあ、なぜか警官は」

神保「判った。要塞警察なんだ。カーペンターなんだ」

安原「(笑)」

山形「こんなところでお前に借りを作るとはな、と言っておく」

「『やはり貴方もここに来ましたか』」

山形「罠にはまっちゃってな。あの扉に、何か問題があったんだろうな。――まあ、あの森よりはまだマシだがな。と言って、転がってる死体を蹴ってみる。あいつらの子供か? こいつらは」

「『彼らは、言うなれば粗悪品でしょう。生きる価値も死ぬ価値もない廃棄物ですが、これだけ数が揃うと厄介ですね』」

山形「確かに厄介だな」

「彼はマガジンを交換しまして、『では、私には私の仕事があるのですが、ただどうやら、ほぼ目的は同一のようですね。――ついて来るのでしたら、ご自由にどうぞ』と、山形さんと擦れ違って、さっさと奥へ行こうとする」

山形「じゃあ、道案内お願いしますわぁ、イチジョウ警部補、って言っとく」

「真っ直ぐ進むとドアがありました。――ただその前に、応急手当しておかなくていいですか?」

山形「あ、応急手当。(コロコロ……)2回成功。(コロコロ……)合計3点回復。痛たたた」

「ドアですが、鍵がかかっています」 楽園の鍵

山形「持ってる鍵を差してみます」

「合いました。錠が開きました」

山形「じゃあ、合った鍵を抜いて、扉を開けて、イチジョウ警部補をチラッと見てニヤッと笑って、どうぞお先に、と言っておく(笑)」

「では、山形さんを一瞥してから、イチジョウ警部補は入っていきます。――というところで、場面転換」

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