Opening Act. 1 Act. 2 Act. 3 Act. 4 Act. 5 Act. 6 Act. 7 Act. 8 Act. 9 Act. 10 Ending
Act.1 TRIGGER
コイツの眼球には、己(オレ)の顔が焼き付いている。
コイツらクソ共の念は尋常じゃねェぞ。
念のカケラすら残すな。
現世の執着をブチ壊せ!
Friday・13・Jan・200x 05:00pm
ツジギリ・バッティングセンター
キーパー(以下、K)「では始めます。時は、200x年1月13日の金曜日、17:00頃です。
まず最初に、皆さんが前もって知っている情報といたしまして、最近、ここ鳴兎子 では、行方不明者が急増しています。素行の良し悪しに関係なく、普段は真面目な人であっても、急にフッといなくなって、捜索願が出され、警察でもてんてこ舞いだそうです。――山形さんが所属している部署とはまた違いますが。
……そんな、ある冬の日、事件は発生します。」(ここでキーパー、シナリオのタイトルをキーパーズスクリーンに飾りつけます。ちょっとだけ盛りあがる一同。→プレイ風景はこちら【■】)
K「では、山形さん」
山形鉄男「はい!」
K「本日は、山形さんは、あるベテランの刑事と一緒に、パトロールという名目で出かけています」
山形「ほうほう」
K「そのベテラン刑事さんは、だいぶ前から山形さんのことを気に入っていて、家族ぐるみの深いつきあいをしているのですが、来年、定年を迎えることになっていまして、それもあって、自分のナワバリというか、馴染みの情報屋とかを引き継いでおこうということらしい」
山形「ああ、なるほど」
K「パトロールということにして、山形さんを連れ回しております。――刑事の名前は、
柄森大之助 。
この刑事、大変ベテランで有能で、年齢に応じた頑固者ですが、山形さんにちょっと似ていて、単独行動に走るきらいがあります」山形「(笑)」
K「なので、鳴兎子署の中ではちょっと変わり者で通っていて、山形さんは周囲からツカモリの二代目とか言われています」
安原則之「似たもの同士」
K「気に入った部下に対しては、優しく厳しく指導してくれる、頼りがいのある“親父”ですが。
外見は、年相応のやつれ方はしていますが、若いころはハンサムだったろうなという感じです。禿げてはいません」神保邦彦「仲代達也みたいな感じかな」
K「で、この人には、ある凄い噂がありまして――、この男、20年前、あのシラミネキリトを殺したらしい」
山形「おおっ!?」
K「シラミネキリトとはなんぞや? ということを話すためには、まず、当時の〈ミスト事件(Misty Case)〉について、ざっと概要を述べておきましょう」
〈ミスト事件〉概要
20年前の1月23日深夜。鳴兎子にて無差別射殺事件が発生。犯人は“シラミネキリト”と呼ばれているが、本名不明の少年、当時14歳。警官・民間人併せて数十名が死傷。犯人は警官によって射殺された。その警官の氏名や所属は公表されていないが、鳴兎子署内では、ツカモリダイノスケであるということがいわば公然の秘密のような状態となっている。
押収された凶器は拳銃1丁。犯人の動機も凶器の入手経路も不明。さらに、これは一般には公表されていないが、遺体には銃創の他に、喰い千切られたような痕も残されていたが、犯人の歯形とは一致していない。
K「……そんな事件があったのですが、20年前のことなので、人々の記憶からは薄れ、特に若い人は知らないかもしれません。
――さて、ツカモリ刑事に連れられまして、山形刑事が今いるところは……(鳴兎子の地図を取り出す)」山形「おお、懐かしい」
K「あんたが作ったんや!」
山形「(笑)」
(鳴兎子の詳細地図は、山形のプレイヤー氏が作製したものです)
K「えーと、これは
鳴雀門 と読むのかな」山形「あー、そうそう、そんな名前だった。自分で作っておいて忘れてる(笑)」
K「そこにあるバッティングセンターに来ております。名前は、ツジギリ・バッティングセンター(一同笑)」
神保「なんつー名前だ(笑)」
K「ツカモリさんが言うには、ツジギリ・バッティングセンターで、ツカモリさん馴染みの情報屋とよく会うそうです。で、情報屋のほうとしても、やばい仕事ではあるんで、いくらツカモリさんの紹介とはいえ、ツカモリさん以外とはまだ顔を合わせたくないということで、山形さんはとりあえず車で待機」
山形「ほう」
K「で、ツカモリさんだけバッティングセンターの中に入っていって、先に情報屋と会って、話をつける、ということになっています。
ところで山形さんって、足悪いけど、自動車運転できましたっけ?」山形「ああ、運転してましたよね? 雪山で」
神保「うん、してました。自分の車で山に上ってましたから」
(リプレイ『神の子らの密室』参照)
K「じゃあ、山形さんが運転してるんですね。さて、それでは午後17:00過ぎ、冬なので日は短く、暗くなってきたなー、というところで、しばらく時間が経過しました。
なかなかツカモリさんが出てこないな、と思っていたところ、無線で、殺人事件発生の連絡が来ました」山形「うん」
K「こういうときは、『鳴兎子署から各車へ……』とか言うんですかね」
山形「たぶん、そんな感じ」
K「場所は、
鳴龍門 」神保「(地図を見ながら)ここだ!」
K「そこです。近いんですねえ、これが、偶然にも」
山形「(笑)」
K「『犯人は拳銃を所持している模様』」
山形「はあ!」
K「『至急向かわれたし』みたいなことを言ってます」
(あ、拳銃はまだ言わないほうがよかったかな)
山形「じゃあ、車からちょっと顔を出して、ツカモリさんの名前を呼びます」
K「えー、ツカモリさんがいるところは、駐車場からは見えないんですが、ツカモリさんは携帯電話持っています」
山形「じゃあ、電話をします」
K「すると、電話に出ましたツカモリさん。『なんだ?』」
山形「殺人事件が起こったそうです。犯人は拳銃を所持。場所は鳴龍門。すぐ近くです!」
K「『そうか、すぐ行く』と言って電話は切れて、まもなく颯爽と出てきました。トレンチコートをなびかせ(笑)」
山形「おー、かっこいい(笑)」
安原「旧い刑事スタイルですね」
山形「おやっさんですね」
神保「全身から“デカ”が出てる。100メートル向こうからでもよく判る」
K「というわけで、現場に急行しますね」
山形「はい、急行します」
Sameday 07:00pm
裏路地
K「現場は鳴龍門のとある裏路地です。到着するころには、時刻は19:00近くになっています。あたりはすでに暗く、現在は人通りが皆無です。
現場から近いところにいたため、やはり真っ先に到着したようではあるのですが、街灯の少ない真っ暗な狭い裏路地を車で進んで現場へ行こうとしていたところ、ヘッドライトの中に突然、人影が現れました。最初から道の真ん中に突っ立ってたみたいです」山形「急ブレーキ」
K「キーッ、と止まりました。ライトの中、狭い道路の中央には、ひとりの男が立っています。白い服を着た男で――」
山形「おおっ?」
安原「角を曲がったらいた、みたいな感じ?」
K「いや、真っ直ぐな道路です」
神保「光の中に浮かんできたんでしょ?」
山形「危ねえぞ、こらー! みたいな」
K「ぼうっと突っ立っている感じですが、両手にそれぞれ何かを持っています」
神保「うわあ」
K「まず右手は、ちょっとよく判らないのですが、ライトを反射してキラッと光っています。そして左手なんですが――」
山形「〈目星〉!」
K「じゃあ、〈目星〉どうぞ」
山形「(コロコロ……)成功!」
神保「危ねえ、ギリギリ」
K「では、右手のものは――あれが噂の拳銃というものではないだろうか」
山形「(笑)」
K「で、左手ですが、何かを握っていて、そこから地面に向かって長いものが伸びて垂れ下がっていて、先っぽに何か白いものがぶら下がっています。長いものの色は黒い」
山形「うわ、
人首 だ(笑)」(そんな言葉はありません)
安原「うーん、人首ですよねぇ?(笑)」
K「〈目星〉に成功したので、はい、生首です」
山形「うわあ!」
K「女性の生首です」
山形「おやっさーん! とか言いながら、もう銃を構えてる(笑)」
K「死体に驚いたので〈正気度〉ロール」
山形「(コロコロ……)失敗(笑)」
神保「デカでも、生首の状態で見ちゃうと、びっくりしますか?」
K「通常ですと1D3くらいですが、1ポイントだけ減らしておいてください。また、びっくりしたので反応が遅れてしまいました」
山形「はい」
K「その男はゆっくりと右手を上げまして――」
山形「うわ、撃たれる。もう撃たれる(笑)。あ、おやっさん撃たれちゃうのかな?」
K「パーン! と乾いた音がして、フロントグラスに穴が空き罅が走りました。ふたりの間を通過していった感じですね」
山形「轢きてえ。撥ねたい(笑)」
K「ツカモリさんも、『撃ってきやがったあの野郎!』と言ってます。
その男ですが、さらに特徴を挙げておきますと、口もとが赤く濡れています。白い服も、胸もとが同じ色に染まっています」山形「うわ。じゃ、あいつ、食べたんかい」
K「まるで悪趣味なピエロのメイクのように見えなくもない。そして彼はそのまま、ニヤァっと不敵な笑みを浮かべると、くるりと背を向けて、去っていこうとします」
山形「思わずアクセルを踏む(笑)」
K「アクセルを踏んでゴーッと突き進むと、裏路地のさらに裏路地みたいな細い横道へ、身を滑りこませた」
山形「ああっ、それでは急ブレーキ」
K「はい、止めた」
山形「追います! と言って飛び出す」
K「じゃあ、ツカモリも飛び出した。
――で、銃を構えますか?」
山形「銃を構えます」
K「はい。ツカモリも構えました。コレを持っています――コルトオフィサーズACP。
ちなみに山形さんはグロック34ですね?」山形「ここにあります!(エアガンを構える)」
(日本の、しかも所轄の刑事が云々という突っこみ/抗議/説教は受けつけません)
K「では、ふたりで追っていこうとすると、裏路地に入ったところに、さっきの生首の持ち主であろう死体が転がっています。若い女性です。そんなに派手な格好はしていなくて、地味な大学生風に見えます。もちろん首から上はありません。〈正気度〉ロールはもういいです。
そして、その死体のさらに向こう側、狭い路地なのですが、犯人の姿はすでにありません。ただ、路地の終わりまでの距離を見ると、犯人がどんなに速く走ったとしても、見失うはずがありません」山形「はい」
K「で、路地にはマンホールがありまして、その蓋が開いてます」
山形「うわ! やつはこんなとこに逃げやがった。――でも、ここに入っていったら罠にかかるようなもんだな」
K「ツカモリさんは死体のそばに屈みこんで、ちょっとよく観察しているようなのですが、『おい山形、これを見てみろ』と呼びます」
山形「はい」
K「見てみると、至るところに人の噛み痕があります」
山形「うわ、やつは噛みやがった。猟奇殺人かい」
K「では、怪我に関する知識として、〈医学〉か〈応急手当〉の半分をお願いします」
山形「(コロコロ……)失敗」
K「じゃあ、気づきませんね。――次に首の切断面ですが、あまり綺麗な切断面ではないような気がします」
山形「うわ、引きちぎったみたいな感じなんだ。やだなー」
神保「喰いちぎったんすかね、ひょっとしたら?」
K「するとツカモリさんが、何かに気づいたようにハッとなり、顔が青ざめました。普段のおやっさんらしくないね」
山形「ど、どうしました?」
K「ひと言、ボソリと、『キリト……』とつぶやいた」
山形「ええっ? まさか! ――それを聞いた瞬間、山形の頭には、あの黒い扇を持った女がぐるぐるぐるぐると回っている(笑)」
神保「ああー!」
山形「ガタガタ……。あれも、キリトと名乗っているやつを追っていったら、出会ったから」
K「ツカモリさんですが、応援を呼ぼうという気もないらしくてですね、コルトオフィサーズACPを構えて、マンホールに近づいていこうとしていますけれども(笑)、行きますか?」
山形「腰に下げている無線機をつけて、状況を伝えておく。何丁目何番地でマンホールが開いているから、これから追います、ぐらいは」
K「そうすると、応援を待てとかいう指示が飛んできますけど……(笑)」
山形「まあ、このふたりだったら行くだろうと、上も絶対認識してると思いますから(笑)」
K「一匹狼が二匹いるからなあ」
神保「結局一匹じゃねえか(笑)」
K「そうですね、ふたり会話を交わす必要もなく、一緒に行くつもりであることはお互い承知なのですが――」
安原「どちらからともなく拳銃抜いて(笑)」
K「ゆっくりと用心深く、マンホールのほうへ近づきながら、ツカモリが山形さんに言っておきますが――『いいか、山形。やつを人と思うな。逮捕など夢にも思うな』」
山形「ど、どういうことですか!?」
K「『見たら撃て。見つけたら殺せ。俺の言葉を理解しろ。理解できなくとも理解しろ。それが現場だ』」
神保「おお、叩き上げの男の言葉だ」
山形「解りやした、おやっさん!」
K「そして、マンホールに近づいていって――どちらから入るのかな?(笑)
まあ、一応、ライトで照らしてみたりすると思うんですけど、地上から見下ろせる範囲では、犯人の姿はありません。で、ここは汚水じゃなくて雨水なんで、変な臭いはしません」山形「あー、そっちか」
K「なので、ばっちい感じはそんなにしない。あと、結構広いみたいです。横に並んでいくのはちょっとギリギリかもしれませんが、一列で行くなら余裕があります。
――で、ツカモリさんが率先して入ろうとしますが、そのまま入らせますか?」山形「いや、俺が先に行きます!」
K「『いいのか? 覚悟しろよ』」
神保「恐えなあ」
山形「行きます。キリト関係は、もうヤマ踏んでますから、と言っとく」
K「じゃあ、どうぞ。マンホールから、壁についているハシゴを使って下りていくことができます」
山形「下りました。銃とライトを構えます」
(山形のプレイヤー氏が、実際に持参したグロックとフラッシュライトを構えました)
K「下りたところは一本道になっています。左右に通路が延びていて」
山形「マッピングしますか?(笑)」
K「まだいいです」
神保「まだ、ということは――?(笑)」
K「すぐ近くには、やつの気配は感じられません。――引き続いて、ツカモリも下りてきました」
山形「えーと、〈追跡〉……持ってねえ! 痕跡見つからないかな? (コロコロ……)見つかんねー! 駄目だ、水が流れてるから、足跡なんてねえっす」
K「そうしましたら、いきなりパーン! と」
山形「うわあ、撃ってきやがった!」
K「えーと、これは演出上、自動命中ということで」
山形「自動命中なんだ(笑)」
K「ツカモリさんの肩をかすめました。かすり傷です。咄嗟にツカモリは壁に身を寄せて、そちらへ銃を向けます」
山形「もう、めくら撃ちします」
K「じゃあ、未照準のルールということで、1ラウンドの攻撃回数を2倍にでき、命中率は5分の1です。1ラウンドに3発撃てる銃でしたよね? すでに銃を構えていたので、6発以内で好きなだけ撃っていいです」
(とりあえずDEX順の行動は無視して、一気に判定することにしました)
山形「(コロコロ……)1発だけ当たり」
K「6発撃ったんだ(笑)。じゃあ、ダメージ振ってください」
山形「(コロコロ……)10!」
K「おおっ、危ない。〈CON×5〉ロール〜(気絶判定)。(コロコロ……)それでは、当たった手応えは感じましたが、バシャバシャっと足音が遠ざかっていった」
山形「おやっさん、当てましたよ! 当てましたよ!(笑)」
K「『よし、その調子だ。行くぞ! ――だが、もう一度言っておくが、やつを人間と思うな』」
山形「走りながら話してるってわけだ」
K「『それと、今日は仕事の引き継ぎで連れてきたわけだから、これもついでに言っておくが、もし俺に何かあったら――いいか、家を調べろ』」
山形「家ですか? どういうことですか、おやっさん?」
K「『壁に耳ありだ。これ以上は言えん』と言って、チャパチャパと追っていきます。
――やがて、下水道が丁字路に行き当たり、やつが左に曲がったのが一瞬見て取れました」山形「行きます」
K「いきなり飛び出しますか?(笑)」
山形「こうします(曲がり角からライトと銃口を出し、覗き見る仕草)」
K「そうすると、パン! パン! と発砲してきました。もちろんこんなのは当たるわけないですが」
山形「じゃあ、マズルフラッシュのところをよく狙って撃つ」
K「じゃ、よく狙って撃とうとしたところ、何か大きなものが向こうから飛んできた」
山形「ええっ!?」
神保「あ、あれだ。頭だ」
K「〈投擲〉ロール――(コロコロ……)はずれた。山形さんの足もと近くの水に、じゃぷん、とそれが落下し、水面にモヤモヤと黒く長い髪が広がります」
山形「野郎ーっ!」
K「では、ここから戦闘ラウンドに入りましょう。こちらはDEX12で、ツカモリがDEX10なので、こっちから撃ちます」
山形「山形一番最後だから(笑)(DEX3)」
K「ちなみに、ふたりはどういう体勢になるのかな」
山形「自分は、膝ついて撃ちます」
K「じゃ、ツカモリは立って、その上から撃つ格好で。ちなみにコルトオフィサーズACPは45口径なので、1ラウンドに1発しか撃てません。ダメージは1D10+2ですが」
山形「重いの持ってんなー」
安原「強いなあ」
山形「ちなみに私の銃は、濡れても大丈夫です。砂が入っても大丈夫です(笑)」
K「お前はトミー・リー・ジョーンズか!」
第1ラウンド
K「向こうは発砲します。(コロコロ……)はーずれ。
で、次にツカモリさん。命中率高いなあ。(コロコロ……)あーたり!」山形「うわ! 当たってるし」
K「(コロコロ……)ダメージ4点」
山形「とどめ刺しちゃうんじゃないの?(笑)」
K「バシャーン、と水音がして、ライトの輪の中で、白い服の姿が仰向けに倒れたのが見えた」
山形「じゃ、とどめを刺します(笑)。人間と思うな、って言ったじゃないですか(笑)」
K「このラウンドで3発撃てますが、水の中に半分沈んじゃっているので、命中率半分でお願いします」
山形「(コロコロ……)全部失敗!」
(早くも1ラウンドで戦闘終了)
K「それでは、ツカモリさんは慎重に銃を構えながら近づいていきます」
山形「それじゃ、自分も」
K「一緒に近づきました。すると、相手はまだかろうじて生きているみたいです。虫の息で、もう抵抗はできない状態ですが」
山形「じゃあ、拳銃を蹴って、遠くへ飛ばしましょう」
K「はい。拳銃ですが――トカレフです」
山形「(笑)蹴って銃を飛ばして、その手を踏む」
K「踏んだ。水面から顔は出ているのですが、犯人の若い男は結構イケメンでして、彼は顔面蒼白なのですが、不敵にニヤリと笑い、謎めいたことを言うわけですよ、これが。
――『人が集い、情報が受け継がれ、そして濃厚な霧が立ちこめる。そのときシラミネキリトは甦る』」山形「またキリトか! キリトってなんなんだぁっ! と、顔に銃を突きつける」
K「そうすると、ニヤニヤしながら山形さんのほうを見て、ゆっくりと左手を差し出した。何か光るものが――鍵が握られています」
山形「取る」
K「『お前もどうせ、楽園に行きたいんだろう?』」
山形「なんだこの鍵はーっ!? と、もう1回銃を頭に突きつける」
K「すると、ゴフッと血を吐きました」
山形「ああー、絶命しやがった」
K「その瞬間、隣で大きな銃声が(笑)。ツカモリさんがまた撃ちました。まるで弾倉を空にするかのような勢いで――本当に空にはしないけど――バン! バン! と撃ちます。で、完全に絶命しました」
山形「おやっさん!」
K「無言で何か考えてるのか、思いつめたような表情です」
山形「しょうがないからトカレフを拾いに行く」
K「拾ってください」
山形「えーと、ト・カ・レ・フ(キャラクターシートに記入しようとする)」
K「ポケットに入れちゃ駄目です。ファンタジーRPGではありません(笑)」
安原「モンスターの持ってた武器と鍵を手に入れたぞー(笑)」
K「山形さんが銃を拾っている間に、ツカモリさんが突然『誰だっ!』と叫んで、さらに通路の奥のほうへ銃を向けました」
山形「自分も、パッとライトを向ける」
K「奥のほうは、特に何も見あたらない。誰もいないし、なんの気配もない。動きもないし物音もしない。――しかしツカモリの目が、恐怖に見開きました。『お、お前は――!』」
山形「な、何も見えませんよ!? おやっさん、おやっさん! 誰かいるんですか!?」
K「『山形、お前にはやつが見えなかったのか!?』」
山形「見えません!」
K「『やつは――キリト……そうか……そういうことか……』などと、ひとりで納得してます」
山形「おやっさん、どうしたんですか!? おやっさん、おやっさーん! ……というところで、Actが変わるのか?(笑)」
K「まだ」
山形「まだか(笑)」
K「『そういうことか……』と納得した様子で、続けて、『しょせん俺は、霧の中でもがいていただけ、というわけだ。すべては20年前に始まっていた。俺には止めることができなかった。だからお前に託す。頼んだぞ、山形』」
山形「ど、どういうことですか?」
K「『俺は――キリトにはならん』と言って、自分のこめかみに銃口を当て――」
安原「うわーっ」
山形「うわ、よせよせ! おやっさん!」
K「――引き金は引かれました」
山形「うわあ、おやっさーん! ――Act.2へ(笑)」
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