NEXT PAGE

back


OpeningAct. 1Act. 2Act. 3
Act. 4Act. 5Act. 6Act. 7
Act. 8Act. 9Act. 10Ending



Act.6 力学書と結晶体



「面白いわね。……でも、これ、いったい何なのかしら。
さっきの人にとって、そんなに大切なものなのかしら……?」

― 竹本健治 『闇に用いる力学』



「と、いうわけで、はい、翌日。――おっと、朝から雪がちらついてるぞ」

琴音「寒いぜ」

「天気予報では、積もるかもしれないと言っていました。
 ――さて、今日は何をしましょうか?」

長沢「遺族として情報は何か入ってくるでしょうか? 解剖の結果が出たりとかした場合に――」

「専門的な内容は、遺族には特に流されないですね。――まあ、結果が結果なんだけど(これはあとで判明するか)」

長沢「とりあえず、遺体は帰ってきて」

「はい」

長沢「そろそろお通夜と告別式の手配も、みたいな感じですね」

芳樹「解剖のあとだから、大変な状態だ」

長沢「お化粧はちゃんとされてるのかな」

「死に化粧はされています」

長沢「とりあえず、葬式は何時からやるからと、(芳樹に)連絡します。それで、家にいますね」

琴音「(高坂に)解剖の結果、連絡くれるって言ってたじゃない」

高坂「あ、刑事さんから」

「入りますよ、連絡。――『おう、俺だ』」

高坂「(電話なのに満面の笑みで)おはようございま〜す♪」

長沢「感じいいですね(笑)」

「桜場刑事からの連絡です」

琴音「電話に一緒に耳をつけて(笑)」

「『解剖の結果が出たけど――こりゃあ奇妙だぜ』」

高坂「奇妙とは?」

「『直接の死因は、まあ、全身打撲と全身火傷なんだが――打撲の症状からして、だいたい四階かそれ以上の高さから落ちたら、これくらいになるだろうなとあるな。
 ――それはいいんだが、火傷のほうが実に奇妙でな』」

高坂「?」

「『火傷とは言っているが、正確に医学的な"火傷"とはちょっと違うような火傷だな。まあ、詳しく言うと、高温火傷でも低温火傷でも化学火傷でもない。ただ、症状が火傷に似てるんだ』」

長沢「どういうふうな?」

高坂「もうちょっと具体的に言うと、どういう症状なんでしょう」

「『えーと、ちょっと待てよ……』と、何か書類見ているらしい」

芳樹「厭な名前が頭に浮かんだんだけど(笑)」

高坂「写真って、見せてもらえるでしょうか? ――あのう、今から警察にお伺いしても宜しいでしょうか?」

長沢「ああ、腰が低い(笑)」

「『写真? あることはあるけど?』」

高坂「(美しいスマイルで。電話なのに)今から、手土産なんかを持って、お伺いいたしましょうか?」

琴音「見ていると、だんだん卑屈になっていくにいちゃんがいるよ(笑)」

長沢「おにいちゃん、かっこいいジャーナリストじゃなかったの?(笑)」

琴音「大人になるって大変だねぇ(笑)」

芳樹「大人なんて、大人なんて(笑)」

「『これから来るか?』」

高坂「宜しければ(微笑)。
 ――じゃあ、また例の、自称助手を(一同笑)」

琴音「"自称"って(笑)。おにいちゃんがそう言ったんじゃない!」

「『いいよ、連れてきな』」

高坂「じゃあ、それで電話切りますけど」

琴音「芳樹起こしに行く。起きてる?」

芳樹「起きてる。一緒に行く。――で、長沢にPメール。警察にちょっと行く。情報集めに」

長沢「何か判ったら連絡くれ」

芳樹「あ、返ってきた」

長沢「で、ずっと家にいます。こっちは」

「じゃ、警察です。到着すると、さっそく桜場ちゃんが――『おうおう、これなんだけどね』
 ――あ、でもいいのかな、ジャーナリスト以外に見せて(笑)」

長沢「見ると"アレ"かもしれないんですよね(笑)」

「というわけで、とりあえず、高坂さんにだけ見せてくれます」

芳樹「SANチェックに(笑)」

琴音「ま、大人だしね(笑)」

長沢「慣れてないと"アレ"が来るんですよね、死体だけでも(笑)」

高坂「とりあえず見ますけど」

「はい、見た。――ばっちり、生々しいのが何枚も写されていますね。確かに、身体全体が、まるで焼け爛(ただ)れたような感じになっています。ただ、その怪我の具合が、どうも尋常じゃないような感じがするのを、本能的に察知しますね」

高坂「皮脂の焼け爛れ具合が?」

「うん、今まで見たことない。まあ、そうだねえ――ちょっと<正気度>ロール振ってもらえるかな(笑)」

琴音「ちょっと(笑)」

高坂「(コロコロ……)失敗しました」

「あ、失敗しました? じゃあねえ、その写真から、ただならぬ、宇宙的な何かを――(一同笑)――感じた」

長沢「こんなん、有り得ねえ! みたいな(笑)」

「1D3、正気度を減らしてください」

高坂「(コロコロ……)…………」

長沢「最大ダメージ、3ですね(笑)」

琴音「にいちゃん固まってるけど、私たちは見せて、もら、える、の、か、な〜?」

高坂「くわっ! って顔してる(笑)」

「『何でも、身体を構成している細胞一個一個の単位から、まるで身体から剥がれ落ちているかのような――』」

長沢「ほう」

「そういう傷だということです。ボロボロボロボロと」

高坂「あまり詳しくないんで、そうなんですか、としかコメントが出せない」

「とにかく、火傷に近いけど、そう断言はできないという、そんな奇妙な状態ですね。この方面でも警察は捜査をしているらしいけど」

高坂「ちなみに、屋上の文字って、知ってますよね?」

「『なにそれ』(笑)」

高坂「あれ? 調べたんじゃないのかな?」

琴音「あ、そうだ、削っただけで終わってるよ」


(高坂は数式のインクの削り粉を取り出して分析を依頼しようとしましたが、桜場刑事から、事件とは関係がないと一蹴されてしまいました。基本的に『クトゥルフの呼び声』における警察は、"役に立たない公僕"であることが多いです。この時点で、桜場刑事は充分に役目を果たしたと言えるでしょう)


琴音「……ちょっと私も、じゃあ、見せてもらって(笑)」

「<正気度>ロールお願いします」

琴音「(コロコロ……)あ、大丈夫です」

「成功したら減らさなくていいです」

芳樹「姉貴が見ている後ろから覗く! (コロコロ……)……(((笑)))))」

「好きだなぁ、もう」

長沢「あの千尋さんが、みたいな」

芳樹「あ! 好きな人だから!(普通よりもショックが大きい)――やべえ、自分で言ってしまった(笑)」

「そう言えばそうだ(笑)。――じゃあ、1D6ということで」


(芳樹は正気度を2点失ってしまいました)


琴音「たぶん、洋服着ていたと思うんだけど……着ていたところ着ていなかったところに限らず、火傷なのかな――?」

「いい質問だねえ」


(いい質問だねえ 【慣用句】 TRPG全般において、ゲームマスターが重要な説明を忘れている状態で、まさにそれについてプレイヤーから疑問点を指摘されたとき、ゲームマスターが思わず口走る言葉。または台詞。
 類義語:「その質問を待っていた」「そう、そこなんだけどね」「おっ、鋭い」)


「えーと、服は焼け焦げてなかったって」

琴音「焦げてなかった? 服は焼け焦げてなくて、中だけ焦げていたというか――」

「YES! そうです」

琴音「髪の毛とかも残ってるの?」

「一部灼(や)けてるけど」

高坂「実際、警察の見解としてはどうなんですか? やはり、自殺で通すんですか?」

「『はっきり言って混乱している。自殺、他殺、事故、あらゆる可能性を見当しなきゃいけなくなった』」

高坂「療養所の付近の聞き込みで、炎が出たとか、何か屋上で光っていたとか、異変があったっていう目撃証言はあったんですかね」

「『聞き込みはやってるけど、今のところ、そういう証言はないな』」

高坂「何か大きな声が聞こえたとか、そういうこともない? ――そうですか……」

琴音「だいたい、担当の長谷さんって、どこにいるんでしょうね」

高坂「非常に会いたいって気はするんだけど――」

「飛び回ってるみたい。色々と」


(会わせてなるものか(笑)。……いや、いい加減、これ以上警察を利用されるのは、ちょっと……)


高坂「事件当時に療養所にいた職員ってのは、当直のふたり?」

「他にもいますが、まあ、そのふたりだけだと思っていただいて構いません」


(療養所の職員の中で重要人物は、千尋と君野だけだということですね)


高坂「ちなみに、電気回線を切断したっていう方面でも、一切手掛かりはない?」

「『ないね』」

高坂「侵入した形跡は殆どないと。……内部の犯行と見てるんですかね、警察としては」

「『それは教えられない』」

高坂「うーん」

琴音「……じゃあ、とりあえず、一回出ましょうか、ここ」

長沢「――あ、ちょっといいですか? 君野さんに連絡を取ってみたいんですが」

「ケイタイ番号知ってます」

長沢「じゃあ連絡を取ってですね、今からそっちにお邪魔していいですかね? ――療養所のほうですよ」

「『あ、構いませんよ』」

長沢「療養所のほうに行ってみて、本当にこれは申し訳ないことで、こういうのはいけないと思うんですが、と前置きをして――、豊田さん、葉山さん、相原さんの看護日誌みたいなのを見せてもらいたいんですが」

「『うーん、それはちょっと――患者さんのプライバシーにかなり関わってくるので、見せられませんねえ』」

長沢「それじゃあ、患者に関わらない部分で、看護婦のつけている日誌みたいなのは――。<言いくるめ>で何とかなりますか?」

「<言いくるめ>や<説得>は、根拠が薄弱だと難しいですし、たとえ成功したとしても、<言いくるめ>の場合、あとで相手が<アイデア>に成功すると、おかしなことに気づかれちゃいますからね」

長沢「じゃあ――、姉を殺した犯人が、手掛かりを残しているかもしれないんです! ――と言うよりも、あの三人が怪しいんじゃないかと、僕は思っているんですが――みたいなことまで言っちゃいましょう」

「『ええっ!? あの子たちが、まさかそんな!?』」

琴音「"あの子たち"――」

「はっ!!(笑)」

長沢「でも、そういう可能性がないわけじゃないんですよ。警察が何の役にも立たないんだったら、僕が調べるしかないです――! と激しい口調で」

「<説得>振ってください」

長沢「<説得>も<言いくるめ>も同じなんですよね、数値が。(コロコロ……)ああ、駄目だ! 空回りしてる」

「そうですね、感情的になっちゃいました。『気持ちは解るけど、無理なんです。諦めてください』と」

長沢「ちょっと落ち着きなさい、みたいなことを言われちゃうんですね。――すいません、と言って――そうですね、うーん、帰りますね、こりゃあ」

「それじゃあ、帰ろうとするとですね、入口から、ヨタカとヨシアが入ってきた。擦れ違います」

長沢「あ、こんにちは――って言って、擦れ違って出ます。出たあと――病室に窓ってありますか?」

「あります」

長沢「その窓のあたりに行ってみますね」

「行ってみた」

長沢「行ってみて、気づかれないように聞き耳をたててみたり、中をちまちま見てみたり」

「それじゃあ、見るなら<隠れる>しないと駄目ですね。聞くだけなら<聞き耳>でいいですけど」

長沢「まず<聞き耳>で」

芳樹「何%?」

長沢「25%。普通です」

琴音「頑張れ〜」

長沢「うりゃっ!(コロコロ……)――よっしゃ! 成功です」

「おっ。それじゃあねえ、こ〜んな会話が――」

芳樹「こ〜んな会話が(笑)」

「ヨタカが『例の本隠したけど、本当にこれで大丈夫か?』」

琴音「やっぱりあのランドセルの中にあったんや〜」

「と言うと、イチノが『大丈夫さ。彼らには想像もつかないはずだよ、僕らが為そうとしていることは。――もうすぐだよ。もうすぐ、この世界を根底から変えることができる』」

長沢「うわ〜。何だか、デカイ話だ(笑)」

「『いいかい、何度も言ってるけど、世界を壊すためには宇宙の法則を変えればいい。どうやるかって? 簡単なことだよ。要するに、マックスウェルの悪魔を仲間にすればいいんだ』」

長沢「出た(笑)」

「それで、イチノは今度、ヨシアに話しかける。『ヨシア、ちゃんとした場所に隠したの? お母さん厳しいでしょ。そういうものを持ち込んだら、すぐに見つかるんじゃないのかい?』
 するとヨシアが『うん、大丈夫。――巣箱に隠したから』」

芳樹「オッケ〜♪」

長沢「うーん」

「――以上」

長沢「以上ですか。そのあとは何か、とりとめのない話をしたりしていなかったりとか」

「そうだね」

長沢「じゃあ、そそくさと、その場を立ち去りますね」

「はい」


(あ、<忍び歩き>振らせてもよかったかな?)


長沢「立ち去って、家まで帰りまして、家に帰ったらソッコー電話ですね。こうこうこういう話を聞いたんだ。かくかくしかじか。――やけに興奮気味で。あいつら絶対危ないよ、怪しいよ」

芳樹「今、何時頃?」

「昼過ぎ頃です」

芳樹「じゃあ、まだ警察で。発狂しかかっている頃(笑)。電話掛かってきて――な、何ぃ!? 速攻でヨタカの家に忍び込みます」

「ヨタカですね?」

芳樹「あ、そっちはヨシアの巣箱、ヨロシク(笑)」

琴音「巣箱の中には本があるんだよね。ヨタカの家には何があるの?」

芳樹「ヨタカが何かを隠したってことは言ってたっけ?」

「いや、それは言ってない。ヨシアが本を隠した、とだけ」


(少々プレイヤーが混乱してしまったようです。ヨタカとヨシア、両方が本を隠したように受け取ってしまったらしく。先ほどの病室でのヨタカの発言は、あくまで"ヨシアが本を隠したけど、大丈夫か?"ということです)


芳樹「じゃあ、ヨシアのとこに行けば――本があると」

高坂「巣箱を探せば――」

芳樹「よっしゃ、行こう!」

長沢「それ行くんでしたら、合流するつもりでいます、こっちは」

琴音「でもさ、普通のお宅なんでしょ?」

芳樹「ああ……夜に行く?」

高坂「泥棒さんですか?(笑)」

芳樹「『クトゥルフ』の鉄則でしょう(笑)」

長沢「でも確証がないからなぁ……」

芳樹「私は、それじゃあ――巣箱。行きます」

琴音「我が弟ながら、なんと単細胞な(笑)。昨日は確か、君野さんが怪しいとかなんとかブツブツ言っていたなぁ(笑)」

高坂「一回、家に戻りましょうか」

琴音「(長沢には)その間に来てもらえば」

「――はい、じゃあ合流しました」

芳樹「今、夕方?」

「いや、まだ」

琴音「森川くんのお家の基本的なことって――お父さんとお母さんと住んでいるとか、そういうことって――」

高坂「いついないとか」

長沢「周辺の聞き込みってやつですね」

琴音「うん、それから、この前苛めてた子供を見つけて、ちょっと」

高坂「ちょっと裏に引き込んで話を聞くとか(笑)」

長沢「じゃあ、そうですね、森川宅周辺を」

芳樹「ちょっと聞き込みしてみますか」

「聞き込んでください。ええと、<聞き込み>ロールなんてないんだよね(笑)。それじゃあ、まあ、インタビューがどれだけ上手いかということで、聞き込む人は全員<言いくるめ>振ってください」

(コロコロ……)

長沢「32。成功」(長沢だけが成功)

「ジャーナリストが失敗してるぞ(笑)。
 ――それじゃあ、近所のお喋りな人を捕まえて、何でも訊いていいよ」

長沢「じゃあ――、あの家、森川さんちですよね」

「『ええ、そうですよ』」

長沢「あそこのお子さん、どうですかね、最近」

「『おとなしい、可愛い子なんだけどねぇ』」

長沢「おとなしい子ですよねぇ。あ、ご両親は?」

「『いますよ』」

長沢「何をなさっている方なんでしょう」

「『お父さんが会社勤めで、お母さんが、たまにパートに出てるみたいですけど』」

長沢「ああ、そうなんですか。――でも、ああいう子だと、アレですよねぇ、ご両親も色々と心配ごとが多かったりするんじゃないでしょうか。あんまり、こう、控え目ですからねえ」

「『何か、学校でも、たまに苛められたりするみたいですよ』」

長沢「やっぱりそうですか。――最近、よく療養所のほうで見かけるんですけど」

「『はあ。そうなんですか?』」

長沢「うーん――」

「『――そういえば、夏休みにあの子、野鳥の観察の自由研究で、銀賞だか貰ってましたよ』」

長沢「へえ、そうなんですか。鳥を飼ってたりとかするんですか?」

「『飼ってはいないみたいですよ。裏の森に――』」

高坂「巣箱」

芳樹「ああ、巣箱って言ってたね」

長沢「はあ、そうなんですかあ」

芳樹「よし、裏の森に。――どのへんですか? 裏の森の?」

「それはちょっと(笑)。あなたはインタビュアーじゃないです」

長沢「裏の森ですかぁ。あのへんって、鳥が多いんですか?」

「『まあ、この季節はないけど』」

長沢「夏場とかには」

「『はい』」

長沢「そうですかぁ、あとはそうですねぇ、訊きたいネタが特に思い浮かばないんですが、何かありますか、入れ知恵が?」

「こんなもんだと思いますよ。ふふん(笑)」

琴音「ふふん、って笑ってるよ(笑)」

「重要な情報は」

長沢「とりあえず、どうも〜って言って、聞いたことは、みんなに伝えます」

「はい」

長沢「どうやら、件(くだん)の巣箱というのは、森の中らしいですね」

芳樹「脚立(きゃたつ)を借りてきましょうか」

「どっから?(笑)」

琴音「ちょ、ちょっと待て(笑)」

芳樹「先行型」

長沢「とりあえず、じゃあ、森に」

琴音「その森っちゅうのは、ちなみに、森川邸の敷地内なの?」

「敷地内ではないですね」

長沢「森川邸には、人はいそうですか?」

「しーんとしているけど、どうでしょうねぇ」

琴音「待って。今日は雪がちらついているんだよ」

「そうだね、もう午後だから、だいぶ積もってきてますね」

琴音「なにか準備するものとか、ないですかね」

芳樹「脚立」

高坂「絶妙なタイミングで(笑)」

長沢「服装に問題はないですよね」

琴音「実際に見つけたとき、どうするの?」

長沢「持って帰って、開けてみて、どういうものなのかを調べるか――、いったいこれは何なのかというのを子供たちに問い質す、あるいは、こっちで解読しちゃう。――それをこっちが持っているんだということが、向こうに対して何かしら不利になると思われるようなら――」

琴音「持ってっちゃう」

長沢「持ってっちゃう、ですかね。……という計画ですが、どうでしょう」

芳樹「それでいいと思います」

長沢「じゃあ、裏の森に行きます」

「行きました」

長沢「それらしいものを探します」

高坂「あ、車で来てて、いいんですか?」

「いいですよ、別に。はい、それじゃあ、森の中へ入って探してください。――どういうところを探して廻るのかな?」

芳樹「木々の上のほうを」

「<目星>」

(コロコロ……)

琴音「成功」

「見ぃ〜っけた。大きな木の一本に、木でできた梯子(はしご)が立て掛けてありました」

芳樹「あ。梯子あるじゃん」

「よーく見ると、ああ、あれが鳥の巣箱だなぁ、と」

芳樹「上る。<登はん>要る?」

長沢「梯子だから要らないんじゃないでしょうか」

琴音「子供でも行けるよ」

「うん。上ってください。上って行くと――」

琴音「行くと――? 行くと――?(笑)」

「巣箱に辿り着きました」

芳樹「開ける」

「パカッって開けると――」

芳樹「開けると――」

「結構大きめの巣箱なんですが、その中にみっしりと、例の鉄の装丁のデカイ本が入っていました」

芳樹「持って下ります。無防備だなぁ(笑)」

「下りた」

高坂「誰か見てる人がいるかだけ、一応、周り見てみますけど」

「いなさそう」

長沢「箱の中に、他に何かは入っていないですか?」

「おっ、鋭い」


(おっ、鋭い 【慣用句】 同上)


「針金を曲げて作ったであろう、鍵風のものが」

長沢「おやあ?」

芳樹「じゃ、それが鍵だ」

長沢「それ持って行きますね。その場で開けることはせず、家に帰ってから、それを調べてみましょう」

「誰の家に行くのかな」

芳樹「うちでいいよ」

長沢「鷹見家で」

芳樹「(長沢家は)葬式やってんのにね」

「ああ、そうだよね(笑)。じゃあ、鷹見家へ行った。
 ――開けますか?」

長沢芳樹「開けます」

「誰が開けますか?」

芳樹「私が開けます」

「それじゃあ、例の鍵を使って開けようとするんですが、なかなか開きませんね。どうやら、ちょっとしたコツが要りそうです。<錠前×2>振ってください」

芳樹「62%。(コロコロ……)ああ! 失敗だ!」

琴音「もう、ちょっと貸しなさいよ。と、私がやってみます。(コロコロ……)全然駄目。おかしいわね、開かないわ、これ」


(他のふたりも試してみましたが、やはり開きませんでした)


長沢「開かないですねぇ」

琴音「ペンチとかでぐりぐり力技っちゅうのはどうなんでしょうか?」

長沢「蝶番(ちょうつがい)みたいなのはついてますよね」

「ついてます」

長沢「それを何とか外部から開けたり、蝶番を抜いたりとかはできないんでしょうか」

「蝶番ですか。<機械修理>ですね」

長沢「<機械修理>かぁ」


(芳樹、長沢と失敗。しかし続く高坂で……)


高坂「(コロコロ……)あ、成功しちゃった」

「蝶番を外して開けた。中から本が」

芳樹「何語?」

「英語」

長沢「英語ですか。英語はできないんだなぁ」

「"The Dynamics used the Darkness"と書いてあります」

芳樹「辞書を片手に」

琴音「ペラペラやりますか」

長沢「パラパラと捲って、図版なんかがないかどうかを――」

「さて、一枚捲ると、おや? と思った」

琴音「おや?」

「かなり変な本でして、文章は普通に英語で書いてあるんですが、本の中が、球状に刳(く)り抜かれている構造になっている」

芳樹「んん?」

長沢「拳銃とか隠すみたいな」

「そんな感じですね。その球形の穴の中に、すっぽりと何かが収まっている」

長沢「は? それが何かは、パッと見て解りませんか?」

「真っ黒い、石のような物体」

長沢「うわあ(笑)、アレか?」

「なんだろ?(笑)」

長沢「でも、あれは球状じゃないしなぁ」

「まあ、球状とは言っても、でこぼこしてるよ」

長沢「でこぼこしてますか。アレかな? アレかな?」

「真っ黒い、まるで闇そのものといった感じの」


("アレ"? ――何のことかな。さあ、判らないなぁ(映画『ゴジラ』の芹沢博士風に))


長沢「例えば、二枚目のページを捲りますよね。そうすると、すんなり捲れるんですか?」

「うん。スッと捲れるよ」

琴音「半分くらい捲ると、半分くらい露わになると」

「そういうこと」

長沢「文章を読んでいると、穴のところは切れてるんですか?」

「穴のところは避けて――文章は繋がっている」

高坂「んん? じゃあ、コレは最初からの付属品――ですよねぇ」

「と、それを見た人は<正気度>ロールを」

長沢「やっぱりぃ(笑)。40しかないんだよなぁ」

「その黒い、10センチ強の物体の奥に、何かやばいものを見たような。宇宙的な影がちらついたような気がした。"向こう側"から何かがこちらを覗いているような……」

長沢「やばい。やっぱりアレなのかなぁ」

(コロコロ……)

長沢芳樹「失敗しました」

「失敗したら1D3。成功したらいいです」

長沢「うわ、3点喰らっちゃった」

「更に、失敗したおふたり」

琴音「子供は脆(もろ)いのね(笑)」

「それぞれPOWは幾つでしょう? ――(長沢:8、芳樹:14)――えーと、じゃあ……」

琴音「史彦くん、さようなら(笑)」

「♪〜」

芳樹「楽しそう(笑)」

「(芳樹に)POWの抵抗ロールで、10%以下出してください」

琴音「14あって10%以下なんだから……」

「長沢さんは01%以下(笑)」

琴音「ほら(笑)」

長沢「助けて、姉ちゃん〜」


(ルールとしては自動的失敗になるのでしょうけれど、1%くらいのチャンスは与えてもいいと思いますので――)


(コロコロ……両者、失敗)

「その結晶体のようなものの中から、誰かが覗いているような気がして、目が合ったように思えた」

長沢「うわ」

「まるで、心の中を見透かされているような感じだ」

琴音「なんか、様子変になりました? あからさまに」

「そうだね。正気度減ってますしね。ぼーっと見つめたまま」

琴音「揺り動かしてみる。――芳樹!」

芳樹「混乱していますね。確実に」

琴音「ちょっと、フミくんもどうしたのよ、いったい」

長沢「い、いや――何か、見えたって言うか――見られたって言うか――こう、何か……。ろれつが回りませんね。上手いこと説明できない」

「さて、どう扱いましょう、この代物を――」

NEXT PAGE

back


OpeningAct. 1Act. 2Act. 3
Act. 4Act. 5Act. 6Act. 7
Act. 8Act. 9Act. 10Ending