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Act.2 謎の数式



「さて、少し数式を使って言えば、全く同一ではないパラレル・ワールドのセット、
{ψ123,……,ψn,……,}
を考え、任意の事件態に対して、そのひとつの確率が、
p(ψn)
で与えられるとします」
「数式は不得意なんですが……」 

― 竹本健治 『閉じ箱』



長沢「とりあえず、あれですね、ブレーカーが落ちていてコードが切られていたという現場を見せてもらえないでしょうか」

芳樹「ドラムスティックを回して(笑)。くるくるっ――。武器(笑)」

「『あなたは駄目です』なんて言われそう(笑)」

芳樹「いや、腰に入れてるから。<マーシャルアーツ>を使うときに出して、くるくるっと(笑)」

「――『はい、どうぞ』と見せてくれます。鍵を開けて、電力室へ。壁いっぱいに配電盤です」

芳樹「<機械修理>でそれを見て、何か解ることある?」

「<電気修理>ですね、これは」

芳樹「<電気修理>……10%ね(初期値)」

(コロコロ……)

芳樹「おっ、04!!」

長沢「お、凄い。――僕は解らなかった」

「君野さんの説明を受けてそれを見るとですね、ブレーカーが下りてたところやコードが切られていたところ――今はもちろん復旧していますが――そういうところを見ていくと、これが人為的なものであれば――恐らくそうでしょうけど――その人はそこそこ電気機械関係に詳しいんだろうな、ということが解ります」

長沢「ほう」

琴音「選んで切る、みたいな」

長沢「的確に落とせるところだけを切っていると?」

「そう。照明だけを。ただし一個だけ、照明とナースコールを一緒に管理している部分がありまして、そこも一緒に落ちてた。
 ……それを考えると、恐らく夜中に落ちた電源は、照明全部とナースコールということになりますね」

芳樹「じゃあ、空調とかは落ちてなかったと」

「はい」

芳樹「じゃあ、他の入院患者に影響はないっちゅうことに?」

琴音「うん、人工呼吸器とかは大丈夫」

長沢「そういうコンディションが悪くなることはないんですかね」

芳樹「ナースコールと電灯が切られたということは――、人が騒いで動かないように、とか。誰か人を呼ばれないように、とか――」

長沢「ここまで来れば確信しますね。――姉ちゃんは殺されたんだ」

芳樹「"あの子たち"ということは、数人? ――犯人は数人いる――ということを言いながら、ドラムスティックを回す(笑)。トレードマーク(笑)」

長沢「……と、なると……あの子たち……」

芳樹「この療養所を出入りしている業者みたいなのは?」

「『業者さんですか? まあ、いますけど』」

芳樹「機械関係で」

「『まあ、定期的にこのあたりはチェックしてますよ』」

芳樹「そうゆう人じゃないか……そら、ストレートすぎるもんな」

長沢「"あの子たち"から推理して――、お姉ちゃんの部屋に、卒業アルバムとかって、ありますか?」

芳樹「あ、日記。お姉ちゃんの(笑)」

長沢「そうですね。まず家に帰って、お姉ちゃんの部屋に行ってみることにします」

芳樹「あ、療養所の中にもロッカーあるじゃないですか」

「ありますよ」

芳樹「お姉ちゃんのロッカーに行こう」

長沢「そうですね、じゃあ、遺品というか――」

「ですね、まだ遺品の整理はしてないです。じゃあ、お姉ちゃんのロッカーの中を」

長沢「君野さんに連れていってもらって」

「まあ、ロッカーは小さいので、そうだね、<目星×2>でいいですよ」

芳樹「100%越える」

「00は失敗です」

(コロコロ……)

芳樹「オッケー♪」

長沢「僕は失敗です」

「ここには何もないですね」

芳樹「お姉ちゃんが使ってた机」

「そこも一緒に調べました」

芳樹「療養所にはお姉ちゃん系はないか、あと――お姉ちゃんの友達関係は?」

長沢「交友関係について、こっちは何か知ってないですか?」

芳樹「君野さんのウラを取る(笑)」

長沢「たぶん、君野さんを疑うことは、こいつ(長沢)はないでしょうから。――お姉ちゃんの友達だ」

「交友関係で特別なことはなかったと思いますよ」

芳樹「でも"あの子たち"ということは、知ってるっていうことだから――。"まさか"って言うくらいだから、信用してたってことでしょ」

長沢「意外性が、ってことですよね。うーん、となると――お姉ちゃんの担当の患者さんとかがあれば、そういう人がどういう人だったかというのを訊いてみたいなと思うんですけど」

「担当の患者さんはいましたよ。『千尋ちゃんは、一階の患者さんを何人か担当していまして』――言います?」

長沢「はい」

「『えーとですね、まず、女子大生の患者さんがひとり、それからその向かい側の角部屋に、中学生の男の子ですね。その男の子の隣に、三十代のサラリーマンですね』――まあ、この三人といったところでしょうか」


(もっといてもいいのかもしれませんが、出しすぎは禁物。シンプルに行きましょう)


長沢「この三人を担当してたんですね」

芳樹「話を訊きに行きますか?」

長沢「いや、ここはまず家に帰って――」

芳樹「日記」

長沢「――だと思いますね。後輩じゃないかなぁ、とかいう推理が頭に来てる気がするんで、そっちのほうを調べに帰ります」


(場面転換)


「では警察組」

高坂「知り合いの刑事さんみたいな人って、いるんですか?」

「いますね」

高坂「その人がいるかどうか……」

琴音「とりあえず、ちっちゃいテレコを鞄の中に入れて」

「はい。それじゃあ、そうだね――桜場(さくらば)刑事という方が知り合いです」

高坂「もしかして、じゃあ、琴音ちゃんのほうも知っている――?」

琴音「私は警察に捕まるようなことは、芳樹と違ってしたことない(笑)」

芳樹「あ、迎えに来て知り合っているかも」

「そうだね、見たことくらいあるかも」

高坂「別に助手とかって言わなくても、知ってるんだろう」

「そうだね、この刑事さんは知ってる。というわけで――」

高坂「(素敵なスマイルで)あ、どうも(笑)」

琴音「いつも弟がお世話に(笑)」

芳樹「そんなに捕まってるんかい!?(笑)」

「『――で、今日は何の相談だい』」

高坂「またぁ、そろそろ来る頃だと思ってたんじゃないの?(笑)」

「『また芳樹が何かしたのかい?』――ドラムスティックで人の目を突いたとか(笑)」

琴音「いつもご迷惑をかけてすみませんねぇ」

高坂「療養所で何かあったとか聞いたんですが」

「『療養所? ああ、あれか……』」

高坂「新聞にちょこっと載ってたやつ。あれって、担当の刑事さんって――?」

「『担当は俺じゃないけど、まあ、俺と仲のいい刑事で、いるよ』」

高坂「(営業用スマイルで)ここはひとつ、桜場さんのお力でですね(笑)、お友達にさせていただきたいなと思って、ちょっと今日は来たんですけど、どうでしょうか?」

「『弱ったなぁ』と」

琴音「私、今日は、かずにいちゃんの助手なんです。宜しくお願いします」

高坂「駅前にいい店見つけたんで(笑)、今度ご一緒にいかがでしょう? 接待いたしますので(笑)」

芳樹「危ない、危ないぞ(笑)」

琴音「ちょっと汚い大人、と見る目が変わる(笑)」

「いいのかな、これって?(笑) まあ、いいや。――『しょうがねえなぁ。記事にするのかい?』」

高坂「うーん、内容によっては、かな。(100万ドルのスマイルで)ま、いつものとおりご迷惑をおかけするようなことは一切いたしませんので。よしなに(笑)」

長沢「やっぱり、ジャーナリストは腰が低いのかな」

「『まあ、カズちゃんなら信頼できなくはないけどね』」

高坂「でしょ? でしょ?」

「何か振らせようかな……(笑)。えっと、その担当刑事に話を訊きたいわけ?」

高坂「要は、その事件のことが訊ければ嬉しいなぁと思ってるんだけど」

「じゃあ、桜場刑事が他の刑事に色々と話を訊きに行って戻って来て、『あ、そいつ今、出てるわ』」

高坂「ああ」

「『何なら、俺が訊いとくけど?』」

高坂「どうしようかな……。現状、ここで判る話って、ある? 全部、担当の刑事さんじゃないと判らない? 話程度で聞いてることがもしあれば――」

「『ああ、そういうのはちょこちょこ聞いてるよ。まあ、そいつは長谷(はせ)っていうんだけどね』――登場するかどうかは分かんないけれど(笑)。
 『よく一緒に飲みに行ったりする仲だから、ちょくちょく話は聞くが――頭捻ってたよ、あいつ。自殺とも事故とも断定しかねるってな』」

琴音「でも新聞の調子だと、どうも自殺っぽいようなことを」

「うん。自殺の線で警察は捜査を進めているみたいな書き方」

琴音「でも、そんな自殺するようなことなかったと思うんですけど、私」

「『うん。そっちのほうも今、ウラ取ってるみたいだけどな』」

琴音「だって、数日前に会ったときには、あんなに屈託なくおしゃべりもしてたのよ」

「『衝動的な自殺かもしれないぞ、お嬢ちゃん』」

琴音「衝動的な――でも靴は脱いでなかったっていうのは――?」

「『そこなんだよな。靴は脱いでない、遺書は書いてない、しかもあの背の高い金網を乗り越える手間がある。それと――、あの火傷だ』」

琴音「あの火傷? 何、その火傷って?」

「『ああ、知らないのかい』」

琴音「どこを火傷してたの?」

「『ガイシャは全身に火傷を負っていたって聞いてるが――』」

高坂「火傷。……軽いの?」

琴音「じゃあ、死因は火傷によるものなの?」

「『そのへんも、まだ、解剖の結果がこっちに廻ってきてないんだ』」

琴音「落下っていっても、屋上から落ちたとは断定できないんじゃないですか? 窓から落ちたのかもしれないし、もっと高いところ――飛行機から落ちたのかもしれないし。そんなことないけど(笑)」

高坂「目撃者がいたんですよね?」

「落ちた後だけれども」

琴音「地べたの上にいるところが見られたんですよね」

高坂「落ちたときには、もう即死?」

「『即死じゃなかったって聞いてるぜ。一分か三十秒か判らないが、息はあったと』」

高坂「ちなみにその療養所って、何階建て?」

「四階建て」

高坂「四階建てで上から落ちて即死――しないのかな……?」

琴音「解剖って、いつごろ終わりそうなんですか、桜場さん」

「『今日中には終わるんじゃないか』」

琴音「今日中……。
 ……自分で自分を火傷させて落ちるなんて、そんなの変よ。ねえ? 変だと思うでしょ、刑事さん」

「『変だよなぁ』と、言いつつズズズズと茶を啜る」

琴音「そうだ、あの療養所で昔にもそういうことってあったのかしら」

高坂「図書館で新聞を調べる?」

「それしかないね。桜場刑事はそういうのは知らない」

琴音「……解剖の結果が出ないとねぇ。――じゃあ、とりあえず――」

「『何だったら、結果出たら教えてやるけど』」

高坂「いいんですか? お願いしちゃって」

「『いいよ、いいよ。今度寿司ね、寿司』(笑)」

高坂「(謙(へりくだ)ったスマイルで)お任せください、そういうことは(笑)」

琴音「にいちゃん、お金あるの?」

高坂「ここでは言ってほしくなかった(笑)。
 ――(上得意に見せる営業用スマイルで)じゃ、また何かありましたら来ますんで、そのときはひとつ、宜しくお願いします」

琴音「宜しくお願いしますぅ」

「はぁい、出てどこへ行きます?」

琴音「過去の、そういうことがないかどうかを調べに、図書館か新聞社か」

高坂「私的には新聞社へ行きたいんですが」

芳樹「ふた手に分かれる?」

琴音「――まだこの時点では大丈夫だよね、ひとりになっても(笑)」

長沢「怪異に気づいて集団行動が崩れてからが(笑)」

琴音「療養所にも行きたいけれど、芳樹が行ってたからなぁ、でも、現場を見ておきたいっていうのもあるし……」

高坂「新聞社で過去の事件を洗った経由で、現場に行ってご当地の人に詳しく話を訊く」

琴音「先にまず下調べをしてから。――さすが、そうでなくっちゃジャーナリストは勤まらないのね。
 じゃあ、ふたりで探せば半分の時間で済むっちゅうことで」

高坂「ちゅうことで、早速新聞社に向かうことにします」


(場面転換)


「その頃、こちらふたりは、自宅――長沢家に着きました」

芳樹「ブンブンブーン(バイク音)」

長沢「姉ちゃんの部屋に行きますね。探します。アルバムなど、パーソナルなデータを」

「<目星>です」

芳樹「机などを調べる」

琴音「なんか、鼻息が荒いよ、芳樹くん(笑)」

(コロコロ……)

長沢「あー、失敗です」

芳樹「成功成功」

「そうだね、じゃあ、卒業アルバムは見つかります。日記はつけてませんでした。……未来日記はつけていますが(一同笑)」

長沢「やなお姉ちゃんだなぁ」

「桜坂をかけながら(笑)――というのは嘘ですが(時事ネタ)」


(なんか、流行ってるみたいですね。自分の未来のことが書かれていて、夜中にそれが届けられて、読むと寿命が百日縮まるという……)


長沢「じゃあ、卒業写真を見てみますね。同じクラスの人、それから写真に写っていて仲よさそうな人とか、あとクラブの写真を見てみますね」

「見てみました。じゃあ、<アイデア>ロール」

長沢「<アイデア>? ピキーンと閃(ひらめ)くものがありますよぉ(←<アイデア>90%)。
(コロコロ……)はい、成功です」

「うーん、特に閃かないですよ。ときどきお姉ちゃんと遊ぶ友達の顔はあるかもしれないけど」

長沢「これといって妙な人は」

「写っていない」

琴音「妙な人(笑)」


(写ってたら大問題ですね)


芳樹「卒業文集みたいなのはくっついてない?」

「まあ、あっていいでしょう」

芳樹「何か情報はないですか。書き込みとか」

「(首を振る)」

長沢「ないですかぁ」

芳樹「部屋の中をもっと調べていいですか? 箪笥の中に隠してるようなのとか」

長沢「それは自分が探します。(芳樹に)やめろ、やめろ、それは駄目だよ(笑)。――というわけで、少ない<目星>で。(コロコロ……)また失敗です」

「ないですね」

長沢「とすると、やはり仕事場――」

芳樹「日記がないんだろ? ――どうしても日記にこだわってしまう(笑)」


(まあ、お約束ですからねぇ。死ぬ直前までしぶとく日記を書き続ける犠牲者というのは)


芳樹「アルバムの電話番号に掛けまくるとか(笑)」

長沢「じゃあ、お姉ちゃんが仲よくって、自分も知ってる人に、連絡取ってみます」


(千尋の友人に電話をしてみましたが、特に手掛かりとなるようなことは得られませんでした。
 ――結局、現場百遍ということで、再び療養所に赴くこととなりました)


(場面転換)


「そのころ、新聞社では」

高坂「行く前に、ちょっと電話したいんですけど。桜場刑事に。私、お金ないんですけど、ケイタイ止められてないかなぁ(笑)」

琴音「仕事にならないような気が……」

「大丈夫です。『おう。俺だ』と桜場刑事が出ます」

高坂「すいません、さっき訊き忘れたんですけど、目撃者の方の供述とかいうのは――?」

「『ああ、長谷も頭抱えてたけど、何だったかな……闇とか子供とか言ってたぜ』」

芳樹「子供!? ――子供は初耳だ」

「こういうのは伝言ゲームですからねぇ」

長沢「最初に言った言葉が、どう伝わってきてるかということが――」

高坂「闇、子供――。順序立てて言うと、どのようなことなのでしょう」

「『知らん!』と言われる(笑)」

高坂「(笑)解りました、と切って、新聞社に入りましょうか」


(ジャーナリストである高坂は顔パスで入れました)


高坂「知った顔とかっています?」

「そうだね、何人もいる」

高坂「じゃあ、適当に、それなりに暇そうな人を」

「捕まえた。ゲットした」

高坂「(これ以上ないくらいのスマイルで)あ、どうもこんにちは〜(笑)」

長沢「腰低いですねぇ(笑)」

「『お、しばらくだねぇ』と言われる」

高坂「新聞見たら、療養所で事件が起きたとかあったんだけど? なんか判ってることとかあったら――私も判ったことをリークするってことで、どうです?(笑)」

「『何? 今調べてんの? あれ』」

高坂「死んだ人が、知らない人ではないと言うか」

「『それじゃあ、色々と情報掴んでるんでしょ? 被害者のこと。人となりとか知ってるんでしょ?』」

高坂「まあ、色々とね。知らないってことはないかな(笑)。聞かせてくれる内容にもよるかなぁ(笑)」

「そちらの内容にもよるから……そうだね、ここは<言いくるめ>か<説得>、好きなほう振ってみて」

高坂「<言いくるめ>で。(コロコロ……)普通に成功」

「じゃあ、『何が訊きたいんだい?』ということで」

高坂「目撃者とかはいるの?」

「『ああ、ひとりいるって話だよ』」

高坂「その人の話は聞いてます?」

「『直接こっちは聞いてないけど。まあ、取材拒否というか、警察に全部お話ししたということだね。思い出したくないみたいだけど』」

高坂「事件の概要というのは、どんな感じでしょう。やはり、屋上から飛び降りて――?」

「『うん、まあ。屋上から、飛び降りたかどうかはまだ怪しいけど』」

高坂「火傷があったとかなんとか」

「『火傷? ああ、そういうことも聞いたけど、そのへんは曖昧だね』」

琴音「(高坂に小声で)とりあえず、過去の新聞見せてもらえませんかって」

高坂「ちなみに、ここで出してる昔の新聞って、見せてもらえます?」

「『ああ、いいよいいよ』」


(というわけで、ふたりは資料室へ。鳴兎子療養所の古い歴史を遡り、検索システムを駆使しつつも、山のように積まれた資料と格闘しました)


「<図書館>ロ〜ル」

(コロコロ……)

高坂「おっ、クリティカルだ! ――って、00(大失敗)じゃないですか(笑)」

琴音「こっちは普通に成功ですね」

「成功してくださったのに申し訳ないんですが(笑)、この療養所では特に、過去に似たような事件とか、もの凄く怪しい出来事とかいうのはないです」

芳樹「夕方になっちゃいました」

長沢「その間に――現場百遍」

琴音「何にもなかったみたいですねぇ」

高坂「療養所に行くしかないですねぇ」

琴音「その前に――お腹空いたんですけどぉ」

高坂「おおっ(笑)。(お金がないので)一回、家に帰ろうか?(笑)」


(場面転換)


「じゃあ、療養所に再び来ました」

長沢「療養所の裏側に行きます」

芳樹「"写るんです"を買っていきます」

「はい。買った」

長沢「で、そのへんをパシャパシャ写真取りながら、調べてみます」

芳樹「現場で、燃えてるというか、焦げてるところを探す」

「現場というと、下ですか? 上ですか?」

芳樹「両方」

「<目星>振ってみてください」

(コロコロ……)

芳樹「あ、成功」

「えーとですね、上に何か見つけました」

長沢「上ですか」

芳樹「屋上。何が焦げてる?」

「焦げ目じゃないんですが、屋上全体を色々調べてみるとですね、屋上のちょうど真ん中あたりの床――コンクリになってるんですけど――そこに、黒いインクか何かで書かれた文字を見つけます。
 ――ずらーっ、と長くて細かい、数式のようなものが書かれている」

長沢「んんぅ?」

芳樹「それは今、(実物を)見せてもらえますか?(笑)」

「僕は算数には疎いので、作ってはいませんが(笑)――どうやら、何かの証明式らしい」

芳樹「あ、それ、じゃあ、写す!」

「写していいです。ロガリズムがどうの、タンジェントがどうの、ジュールがどうの、色々と難しい記号を使っています(笑)」(←文系の限界)

長沢「eだのcだのaだの」

「それを見た人は、<物理学>ロール。2倍で振っていいです」

長沢「<物理学>――持ってる! 15%!」

(コロコロ……)

長沢「ああ、失敗!」

「長沢さんは(<物理学>技能を持っているので)、物理に関係した式だろうな、くらいは予想がつきます」

長沢「じゃあ、たぶんこれ、何か物理の式だよ、みたいなことを」

芳樹「それを聞いたら、じゃあ、物理の先生のところに持っていけば何か解るかもしれない。学校行こう」

長沢「その前に、この、(千尋が担当していたという患者たち)女子大生、中学生、サラリーマンに会っておきたいなぁ」

芳樹「ああ、その手があったか。じゃあ、メモをポケットに仕舞って――」

長沢「行きます」

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