― 楳図かずお 『まだらの少女』
◆蛇に対する崇拝は汎世界的に存在しており、同時に蛇神の血を引く神人や魔人の伝説も数多くあります。<蛇の御子>は蛇と人間の要素をあわせ持つ奇妙な存在です。その誕生は様々なものが考えられ、イグを初めとする蛇の神と人間の混血児、蛇人間が関わっているものなどがあるでしょう。蛇人間と異なるのは、彼らはもともとは人間の血の中に生まれた存在であるということです。
古代には<蛇の御子>を神の申し子として崇める土地も多くありましたが、現在では怪物と見られることの方が圧倒的に多いでしょう。古より代々、流れる蛇の血について語り伝えてきた一族もありますが、隔世遺伝によって普通に生きてきた人間に蛇の血がいきなり顕現するという悲劇も起こりえます。<御子>にはクトゥルフ神話について何も知らない者も少なくありませんが、イグなどの蛇神の知識や崇拝を受け継いでいるものや、蛇人間や大地の妖蛆などの怪物と関わりを持っているものもいます。
<蛇の御子>の形態は様々です。わずかな鱗、四肢のつけ根に走る切れ目のような筋、微小な尾などが認められる他はまったく「人間」である者もいます。蛇そのものの目、二股の細い舌、おびただしい鱗などのより顕著な特徴を持つ者もいます。蛇をそのまま人間の形に封じたような爬虫人間もいれば、上半身が人で下半身が蛇あるいは人間の頭を持つ大蛇など伝説中の怪物を思わせる姿の者もいます。蛇人間や大地の妖蛆と見分けがつかない者もいれば、人間の性質がほとんどなく完全な蛇の姿に近い者もいます。出生や生態もさまざまであり、一生を同じ姿ですごす者もいれば深きもののように人間から蛇の怪物に変異してゆくものもおり、さらに完全な蛇の姿になる場合もあります。人間の母親から卵として生まれ落ちることすら考えられます。<蛇の御子>の存在は古今東西の様々な伝説に影を落としているのかもしれません。大きさや知能の程度も千差万別です。
特に強力な<蛇の御子>の中には強靭な生命力で傷を再生する、頭髪を蛇のごとく蠢かせるなど人間にも普通の蛇にもない奇怪な能力を有しているものすらいます。『メデューサの呪い』に登場するマルセリーヌ・ベダールも<御子>の一人だったのかも知れません。
下のデータは半分以上が蛇の姿に成り変っている<蛇の御子>と、人間の姿を多くとどめている<御子>のものに分かれています。
蛇の御子、鱗ある血
能力値 | ロール(人型の<御子>) | 平均値(人型の<御子>) |
STR | 4D6+6(3D6) | 20(10〜11) |
CON | 2D6+6(2D6+6) | 13(13) |
SIZ | 5D6(2D6+6) | 17〜18(13) |
INT | 3D8(4D6) | 13〜14(14) |
POW | 2D6+6(2D6+6) | 13(13) |
DEX | 2D6+6(2D6+6) | 13(13) |
APP | 該当せず(3D6) | 該当せず(10〜11) |
移動 8(8) | 耐久力 15〜16(13) |
武器: 以下の攻撃手段は、すべてその個体の形状によって有無が左右されます
拳 50%、ダメージ 1D3+db
鉤爪 30%、ダメージ 1D6+db
噛みつき 30%、ダメージ 1D6 個体によっては、CONに等しいPOTの毒がある
尾 35%、ダメージ 1D8+dbまたは〈組みつき〉
生きた髪(刺し) 25%、ダメージ 1D8
生きた髪(巻きつき) 60%、ダメージ からめ取り(振りほどく際は、<御子>のPOWに対して抵抗します)
鱗のつぶて 30%、ダメージ 1D8+1/2db
装甲:皮膚の多くを鱗に覆われている怪物じみた<蛇の御子>は鱗による1ポイントの装甲を持っています。それ以外の<御子>でも、鱗の生えている箇所に部分的な装甲を認めても構いません。また、特に強力な<御子>はその生命力で1ターンに2ポイントの耐久力を回復させます。
呪文:<蛇の御子>はその身に流れる血の力で、誰でも1D3の呪文を知っています。《イグの子供の召喚/従属》《犠牲者を魅了する》など、蛇のイメージをうかがわせるものが中心になるでしょう。経験や学習を積んだ<御子>はさらに多くの呪文を知っているかも知れません。
正気度喪失:わずかな特徴をのぞいて人間と区別のつかない<蛇の御子>を見ても正気度ポイントを失うことはありませんが、眼や舌、皮膚の大部分など蛇の特徴が目だつ<御子>を見たときは0/1D3の正気度を失います。完全に怪物と呼びうる<御子>を見て失う正気度ポイントは1/1D6です。